I call shotgun, I call 9mm.【ショットガン】とは

サラコナークロニクルズ

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I call shotgun

拘留されているデレク・リースの救出に向かうべく、高校にジョン・コナーとキャメロンをジープでピックアップに行ったサラ・コナー。
(「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」シーズン1第5話「チェス大会 / Queen's Gambit」)

その際、サラコナーが「遠足に行くわよ!」と呼びかけたのに対して、ジョン・コナーが「俺、ショットガン!」と言い、続けてキャメロンが「私は9ミリ拳銃!」と言って車に乗り込む・・・という、日本人にとっては謎のシーンが収録されています。

SARAH: Field Trip! (遠足に行くわよ!)
JOHN: I call shotgun! (オレ、ショットガン!)
CAMERON: I call 9mm. (私、9ミリ拳銃。)

I call shotgun.「オレ、ショットガン」の意味は?

この会話は、アメリカの西部劇(西部開拓時代)由来で、ショットガンとは助手席のことを指しています。

17、18世紀の西部開拓時代のアメリカでは、馬車の助手席にはショットガンを持った警備員が乗ることが多かったことに由来しています。

そのため、サラ、ジョン、キャメロンの3人の会話の直訳は上述の通りですが、3人のセリフの本意は以下の通りになります。

起) SARAH: Field Trip! (遠出するわよ!)
承) JOHN: I call shotgun! (オレ、助手席 取った!)←フリ
結) CAMERON: I call 9mm. (じゃ 私、後部座席。)←オチ

キャメロンは、ショットガンよりも小さい「9ミリ口径の拳銃」で後部座席を表現し、オチを付けた・・・といった感じです。

その後、サラ、ジョン、キャメロンら3人が車に乗って向かった先は、こちらデレク被弾とVICKのチップを引き抜いた湾岸道路となります。

西部開拓時代の「ショットガン」の例


17、18世紀の西部開拓時代のアメリカは、当時、人・物・郵便やら現金やら金塊やら、あらゆるものが馬車で運ばれていました。その駅馬車や郵便馬車、現金輸送馬車を強盗や野生動物から守るために、馬車のフロントシートにはライフルやショットガンで武装した警備員が同乗していました。そのため、当時は助手席に乗ることを“riding shotgun”と呼んでおり、それが「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」の上記のシーンの由来となっています。

懐かしの1939年製作の映画『駅馬車』(Stagecoach)にも、ジョン・ウェイン(リンゴ・キッド役)と保安官の間の会話で riding shotgun が登場しています。

Sheriff:I'm gonna ride shotgun.
Ringo(John Wayne): Didn’t expect to see you riding shotgun on this run, Marshal. Going to Lordsburg?

このriding shotgun・・・(A stagecoach guard is) riding (with a) shotgun.
の、末尾の“ shotgun”が残って、

I call (that I am a stagecoach guard riding with a )shotgun.

I Call Shotgun.

「ショットガン=助手席」、「ショットガンと宣言(コール)した。」=「私は助手席に乗るにふさわしい、頼りになる人間。」というニュアンスになったようです。

日本でもそうですが、車の助手席は通常、ナビなどができる「頼りになる人」や「大人」が座る席、一方、後部座席は通常、子どもかお客さんが座る席とみなされる場合があります。
そのため子どもは背伸びをして助手席に乗りたがり、現代では「I call shotgun.」と子供が叫んで、親が「あんたはまだ早いでしょ!」という親子間でのお約束のやりとりとして、またはドライブに出かけた若者同士が席の取り合いで早い者勝ちで、よくこの慣用句が使われています。


人気TVシリーズ「BONES-骨は語る」のシーズン1第13話「家族の庭」(The Woman In The Garden)にも、
Hodgins: I call shotgun・・・I called shotgun・・・
と、車に乗る際に、このセリフが登場しています。

I call 9mm.キャメロンの一捻り(オチ)

・・・とここまでは「Call Shotgun」の慣用句の成り立ちと登場例ですが、この決まり文句に一ひねりを加えたのがサラ・コナー・クロニクルズのキャメロン。

ジョンが「オレ、ショットガン!」と宣言して助手席を取ったので、大きな(大口径の)ショットガン(=頼りになる助手席に座る者)に対し、小さな9ミリ口径の拳銃を持ち出して、後部座席に座ることを現代流にアレンジして控えめに表現しています。

このシーン、キャメロンがこれをギャグと認識して言ったのか、単にデータの1つとして9mmを持ち出しただけなのかは不明ですが、いずれにしてもこのシーン、オチは成立しています。もちろん、サマー・グローや製作陣はギャクとして意図的に挿入しているのは言うまでもありません。

この車に乗るシーンの前のほう、高校のキャンパスのシーンにて、

Cameron: You're grieving.(死を悼んでいるんでしょ。)
John: How do you know what grieving is?(「死を悼む」が分るのか?)
Cameron: I read all the note.(弔いのカードを全部読んだの。)

と、キャメロンが「死を弔う」の意味を理解しているというシーンが前フリとして挿入されていたり、それ以外にも、

Cameron:I fooled you. (冗談を言ったの。)
Cameron:I fooled you again. (また冗談を言ったの。)

と何回も発していることから、キャメロンがかなり人間の抽象的概念を理解しており、この I call 9mm.も「マシーン」であるキャメロン自身がジョークとして発したと捉えることができるでしょう。

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西部劇の遺伝子

ちなみに、この3人が車に乗り込んだシーンは、ワーナーブラザーズ・スタジオのブリッジビルディングの傍らで撮影されたのですが、昔はこの辺り一帯は、西部劇のセットが組まれていた場所です。昔はハリウッドと言えば、西部劇ばかりでした。馬車が車に変り、家屋も服装も銃も現代風になりましたが、西部劇のアメリカン・スピリッツは形を変え、今も映画やドラマの中に脈々と受け継がれていることを感じさせるシーンでした。


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