ターミネーター出演者の故人を悼む

ターミネーター

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ターミネーター・シリーズに出演した俳優の中には、すでにお亡くなりになられた方もいらっしゃいます。

例えば「ターミネーター1」出演者だけでも、すでに6名、亡くなっています。

以下、作品ごとに故人を悼みます。

ターミネーター1

映画『ターミネーター』(The Terminator、T1)1984年。

チノ・ウィリアムズ(ゴミ収集車の作業員)

チノ・ウィリアムズ(Chino Williams)
1933年7月26日生~2000年4月5日没(66歳)

ターミネーター・T-800のタイムトラベル到着時に居合わせてしまったゴミ収集車を運転する黒人のおじさん。現代人で最初のシュワちゃんT-800の目撃者となります。場所はロサンゼルスのグリフィス天文台(Griffith Observatory)
→関連記事:ターミネーターのロサンゼルス摩天楼のロケ地3選

実はT1の当初の脚本では、T-800ターミネーターのタイムトラベルの到着地点は小学校で、最初の目撃者はとなっていたので、当初の脚本通りだったら、ゴミ収集車の作業員(チノ・ウィリアムズ)は出演していなかった可能性があります。
→詳細:カイル・リースと来た別の兵士(ターミネーター1脚本)

ビル・パクストン(パンクグループの一員)

ビル・パクストン(Bill/William Paxton)
1955年5月17日生~2017年2月25日没(61歳)

グリフィス天文台の展望台で、シュワちゃんT-800に衣服を奪われたパンク・グループの一員。顔にタイヤ痕のメイクを施し、"Nice night for a walk, eh?"(散歩するのにいい夜だな?)と現代人で最初にターミネーターT-800に話しかけた人物です。

ビル・パクストンは「ストリート・オブ・ファイヤー」「コマンドー」「ときめきサイエンス」「エイリアン2」「プレデター2」「トゥルーライズ」「アポロ13」「タイタニック」「オール・ユー・ニード・イズ・キル」他、日本でも公開された出演作がたくさんある名脇役。憎めない愛嬌あるキャラクターを演じることから、日本でも隠れファンは多いようです。

ジェームズ・キャメロン監督作品にもたくさん出演しているので、「キャメロン・ファミリー」と呼ばれていたこともあります。

ディック・ミラー(アラモ銃砲店の店主)

ディック・ミラー(Dick Miller)
1928年12月25日生~2019年1月30日没(91歳)

ターミネーターT-800が銃を調達したアラモ銃砲店の店主を演じたディック・ミラーは90歳超えのご長寿でした。
T-800の"Phased-plasma rifle in the forty watt range."(射程400可変式プラズマライフルを。)という無茶振りを軽く受け流す(噛みあっているような/いないような)軽妙なトークは、ターミネーターにおける名シーンの1つとなりました。

そのため、映画「コマンドー」(→映像使いまわしでコスパ最強映画「コマンドー」)や、「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」でもこの銃砲店でのオマージュシーンが盛り込まれています。↓

フランコ・コロンボ(未来の地下壕のターミネーター)

フランコ・コロンボ(Franco Columbu)
1941年8月7日生~2019年8月30日没(78歳) ボディビルダー兼俳優のフランコ・コロンボは、カイル・リースの未来の回想シーンで、人類抵抗軍の地下壕に侵入し、プラズマ砲を撃ちまくり、サラ・コナーの例の写真を焼いてしまったターミネーターを演じました。

特質すべき点は、シュワちゃん顔と異なるターミネーターも確かに存在する、という点です。地下壕の検閲で見分けがつかず潜伏できたことから、フランコ・コロンボ演じたターミネーターはT-600ではなく、T-800系だったと見ることができ、つまりシュワちゃん顔(モデル101型)以外のT-800だったことになります。

さらに、フランコ・コロンボは身長165cmで、シュワちゃんT-800より20cmも背が低いので、いろいろな大きさのT-800がいたことになります。「サラ・コナー・クロニクルズ」のターミネーター・キャメロンを演じたサマー・グローの身長が166cmでほぼ同じであることから、フランコ・コロンボが演じたターミネーターは、キャメロン(TOK715)と同じタイプだったのでは?と見ることもできます。

ノーマン・フリードマン(ホテルの清掃スタッフ)

ノーマン・フリードマン(Norman Friedman)
1936年9月6日生~1998年11月4日没(62歳)

ターミネーターT800が潜伏する安宿(ホテル)の清掃人を演じたノーマン・フリードマンは、実生活では実はカリフォルニア州立大学の社会学の教授でもありました。

ホテル潜伏中、体の損壊部位から異臭を放ち始めたターミネーターT-800に対して、"Buddy you got a dead cat in there?"(おい、猫の死体でも置いてあるのか?)とドア越しに話しかけ、"F●ck you, a●●hole."(くたばれ、バカヤロー。)と軽くあしらわれてしまいます。

A.I.が人間の抽象的な質問に対して、ファジーに(あえて乱暴に)対応してその場を無難に収めるという、お笑い 兼 怖いシーンですが、A.I.が「社会学の大学教授」を手玉に取った、と見るとさらにジワるものがあります。

ポール・ウィンフィールド(刑事)

ポール・ウィンフィールド(Paul Winfield)
1939年5月22日~2004年3月7日没(64歳)

ポール・ウィンフィールドは、味のあるエド・トラクスラー刑事を演じていました。タバコの吸い殻が入ったコーヒーを飲もうとしたり、メガネの端をくわえながら考えたり、部下の刑事(ランス・ヘンリクセン)に電話中に書く物を要求したり・・・と、ジェームズ・キャメロンならではの細かい演出で、人間味(ヒューマニズム)あふれるキャラクターに仕上がっていました。

このヒューマニズムの演出(ちゃんと血も心も通った人間がターミネーターに抹殺されるという演出)の積み重ねは、相対的にターミネーターというマシーンの恐怖を増大させる効果があります。残念ながら「ターミネーター・ニューフェイト」ではその辺りの工夫が微塵もなく、明らかに「ニューフェイト」はJ.キャメロン監督作品ではなかったことを思い知らされた部分でもあります。

ポール・ウィンフィールド演じるエド・トラクスラー刑事は、ターミネーターT-800と対峙した後、「カイル・リースの話がやはり本当だったのだ」と理解する柔軟性があり、カイル・リースが警察署から脱出する際に呼び止め、自らの銃(リボルバー Ruger Security Six)を授け、最期の力をふり絞ってカイル・リースを支援します(しかしこのシーンは劇場公開版ではカットされていました)。 このTIKIモーテルで、カイル・リースがサラ・コナーに手渡した銃が、そのエド・トラクスラー刑事が託したリボルバーです。
→詳細:サラ・コナーが同じ銃で偲ぶカイル・リース

「ターミネーター1」が名作といわれる由縁は、以上のような味のあるたくさんの脇役たちの存在と、そんな脇役たちに命を吹き込んだ細かく丁寧なジェームズ・キャメロンならではのこだわり演出あってこそ、なのでしょう。

アール・ボーエン(シルバーマン博士)

アール・ボーエン(Earl Boen)
1941年8月8日~2023年1月5日(81歳没)

俳優アール・ボーエンは、『ターミネーター1』と『ターミネーター2』と『ターミネーター3』にて、犯罪心理学者のピーター・シルバーマン博士を演じました。肺癌のためハワイの自宅で死去。シリーズを通して、「ターミネーターにねらわれる人々・・・サラ・コナーやカイル・リース、ケイト・ブリュースター・・・や、ターミネーターを目撃した生き証人」として、当事者ではない第三者的な視点の役割を演じ、作品に味わいを与えていました。

ちなみにキャラクターとしては、『ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ』にもシルバーマン博士は登場し、人間不信に陥り山奥へ隠居。T2のぺスカデロ警察病院で遭遇した液体金属ターミネーターT-1000の美しさを語っていました。
→詳細:シルバーマン博士の山小屋

ターミネーター2

映画『ターミネーター2』(Terminator 2: Judgment Day、T2)1991年。

ロバート・ウィンリー(バーにいたバイカー)

ロバート・ウィンリー(Robert Winley)
1952年12月9日生~2001年10月21日没(48歳)

バイカーが集うバーでビリヤード中、シュワちゃんT-800に葉巻を押しつけ、衣服とバイクと銃(コルトニクス)を奪われたCigar Biker(シガー・バイカー)を演じたロバート・ウィンリーは若くして亡くなりました。 上の2つの事象の立役者でもあります。ロバート・ウィンリー演じるこのキャラクターがいなければ、T2は成立しなかったといっても過言ではない、重要人物でした。

ピート・シュラム(バーの店主)

ピート(ピーター)・シュラム(Pete Schrum)
1934年12月16日生~2003年2月17日没(68歳)

こちらも冒頭のバーのシーンの最後に、立ち去ろうとするシュワちゃんT-800に向かって銃を威嚇発砲したバーの店主(バーテンダー)ロイド役を演じたのがピート・シュラム氏。エンドクレジットには、Lloyd PETE SCHRUM と記載されています。

そんな彼は、銃ウィンチェスターM1887とサングラスを奪われ、T2シュワちゃんT-800の一番アイコニックな造形を完成させた立役者でした。
前述のバーのバイカー、ロバート・ウィンリー同様、「このキャラクターがいなければ、あのウィンチェスターM1887のスピンコックは見られず、シュワちゃんのサングラス姿も見られなかった・・・そして、T2は成立しなかった」といっても過言ではない重要な役どころを演じたのでした。

レスリー・ハミルトン(サラ・コナーの影武者/リンダ・ハミルトンの姉)

レスリー・ハミルトン(Leslie Hamilton)
1956年9月26日~2020年8月22日(63歳)

サラ・コナーを演じたリンダ・ハミルトンの双子の姉であるレスリー・ハミルトンの本職はER(救急救命室)の看護師でした。死因は明らかにされていないので、新型コロナウィルス感染症が関係しているかは不明です。

レスリー・ハミルトンは、T2において、
  • T-800のチップを抜く鏡のシーン(実は鏡ではなく、サラ・コナーのミラーとして)
  • 工場でT-1000がサラ・コナーに化け、ジョン・コナーに近寄るシーン(手前側がリンダ、後ろ側で銃を構え、若干ぼやけ気味に映されているのがレスリー)
に登場しました。

T-1000が化けた病院の警備員も双子ということで、CGを多用しながらも、双子の起用というアナログ手法も取り入れた、「双子ムービー」T2ならではの温かみある面白さの一翼を担っていました。

ジーン・ウォーレン Jr.(ミニチュア特撮の匠)

出演者ではありませんが、T1、T2でミニチュアの特撮を担当した会社 Fantasy II Film Effectsのオーナー、Gene Warren Jr.(ジーン・ウォーレン・ジュニア)が、2019年11月28日に78歳で亡くなられています。

  • T1の未来の戦争(戦場)
  • T1のタンクローリーの爆破シーン
  • T2の未来の戦争(戦場)
  • T2の液体窒素タンクローリーの滑走シーン

などはすべてこの人が手掛けるミニチュア特撮で撮影されており、ジーン・ウォーレン Jr.がいなければターミネーター1と2は成立しなかった、といっても過言ではありません。
→詳細:ターミネーターが泳げず沈んだ巨大プールはT1,T2特撮工房

ターミネーター4

『ターミネーター4』(Terminator Salvation, T4)2009年。
ターミネーター4

アントン・イェルチン(カイル・リース)

アントン・イェルチン(Anton Yelchin)
1989年3月11日生~2016年6月19日没(27歳)

T4で若き日のカイル・リースを演じたアントン・イェルチンの自宅での事故死は衝撃的でした。 事故の経緯
  1. ハリウッドにある自宅からマイカー(ジープ・グランドチェロキー2015年式)で仕事に向かう際、
  2. 門の外へ一旦、車を出して止め、
  3. 車外に出て門を閉めている間に、
  4. 車が勝手にバックしてきて(サイドブレーキの引きが不十分またはシフトレバーの不具合・・・パーキングにしてもニュートラルに戻るリコール車種の可能性)
  5. 車と門に挟まれて死亡
  6. 仕事に現れないスタッフが不審に思い、自宅を訪問して発見・・・発見時はギアはニュートラルでエンジンはかかったまま・・・
という不慮の事故でした。

事故現場 この現場は、ハリウッドの山中ということもあり、門から道路までの間に傾斜がある(少し坂になっている)のがポイントです。現在ではその門があった場所は取り壊され、塀で覆われています。

アントン・イェルチンは、その後、Hollywood Forever Cemetery に埋葬されています。

埋葬場所

以上が2021年9月現在です。

ターミネーター・シリーズ出演者は、すでにご高齢で引退した人、消息が不明な人、何度も心臓手術を経験した人など、現在60歳台を筆頭に、すでに70歳台、80歳台の人も多いため、これから数年~10年以内に、主役級の人たちの中からも訃報が届くことになるでしょう。

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