ターミネーター:ニュー・フェイト続編中止の理由

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ターミネーター6続編中止
いろいろな所で『ターミネーター: ニュー・フェイト』(Terminator: Dark Fate)の続編はない・打ち切り・次回作はキャンセル(中止)、と言われています。

原因は内容がヒド過ぎて大失敗・大コケ(爆死)したから・・・この路線で続編を作りでもしたら、さらなる赤字の深堀りが確実・・・これに尽きるのですが、『ニューフェイト』の続編がない理由を、もう少し掘り下げてみます。

「コケたらニューフェイトの続編は無いよ」ジェームズ・キャメロン

元々、ジェームズ・キャメロン自身がニューフェイトを作っている当初(2017年)から「ニューフェイトがコケたら、続編は作らないよ。」と宣言しています。

Q. And the Terminator film, how is that going?
Q.[インタビュアーの質問]:ターミネーター映画(この時製作中のニューフェイトのこと)のほうはどうなってますか?
JAMES CAMERON:We’re cranking along. . . . It’s the first of three, the story is mapped out over a three-film arc, but again, if we don’t make any money there isn’t gonna be a two and a three. Technically, we’re thinking of them as three, four, and five. As if Terminator, and Terminator 2 exist, and the other ones are kind of alternate time lines that are no longer relevant.

(ニューフェイトの)製作に取り掛かってるよ。(ニューフェイトは)三部作の1作目になるんだけど、1作目で稼げなかったら、続編(2作目、3作目)は無いよ。製作的には、この三部作はターミネーター・シリーズの3番目、4番目、5番目と考えてるんだ。T1とT2は存在するけど、他の作品(T3やT4サルベーション、ジェニシスなど)は、もはやまったく関係ない別のタイムラインのお話ということで。
https://www.vanityfair.com/hollywood/2017/11/james-cameron-titanic-20th-anniversary-avatar-terminator-fox-studios-sale

とのことで、「ターミネーター・ニューフェイト」は実際、ターミネーター史上最大ともいえる赤字率(大コケ)を記録してしまったので、続編はないです。興行収入だけでなく、続編につなげるにはお粗末すぎる酷い内容でした。

元々キャメロンはT2続編に消極的

元々ジェームズ・キャメロンはT2の続編製作にはかなり消極的でした。実際、この「ニューフェイト」でも監督も脚本も担当していません撮影現場にもいっさい、足を運んでいません(ノータッチ)。そのため映像をみても、「ジェームズ・キャメロンらしさ」はどこにも微塵もありません。


などの事実から、ジェームズ・キャメロンは、「ニューフェイト」を作ってもヒットしないことは薄々、感じてはいたのでしょう。権利者(株主は中国企業)から無理やり作るよう せがまれた感は否めず、監督せず製作に軽く関わるだけに逃れていることから、予防線を張っていたように見えます。これまでもジェームズ・キャメロンが映画会社から無理やり頼まれて動く、ということはありました。
→一例:「ジェニシスこそターミネーター3だ」ジェームズ・キャメロン語録

やはりキャメロンの中では「ターミネーターは2で完結している」が本心なのでしょう。これまで何度も「ターミネーターは2で完結した。」と発言しています。
→詳細:T2で完結,スープに小便【ジェームズ・キャメロン語録】

続編はないどころか、「ニューフェイト」自体も黒歴史化する可能性は高いです。ターミネーター作品は、コケたら無かったことになるのが常だからです。

「シュワちゃんを出演させたのが失敗」「リブート(ニューフェイト続編はなし)」

その後2022年12月にも、ジェームズ・キャメロンは、
  • シュワちゃんを出演させたのが失敗。老人映画になってしまった。
  • まだ何も決まっていないが(ニューフェイトの続編ではなく)リブートを検討している。

と語っています。つまり、ニューフェイト続編は消滅(黒歴史化決定)です。
→詳細:老化ターミネーター(お爺ちゃん)は失敗-続編消滅(ジェームズ・キャメロン談)

ティム・ミラー監督「二度とない」「大失敗」

ジェームズ・キャメロン名を前面出しして大宣伝されたので、勘違いしている人もいますが「ニューフェイト」はジェームズ・キャメロンが監督ではありません。ティム・ミラー監督作品です。前述の通り、ジェームズ・キャメロンは撮影現場にはいっさい、足を運んでいません。事実、映画を観ての通り、どこにもジェームズ・キャメロンらしい演出はなく、目が肥えた観客の失望を買いました。

「二度とない。」

そのティム・ミラー監督は、「(ジェームズ・キャメロンと組むことは)二度とない。」とのことです。
Following his movie’s disappointing opening, we ask him whether he thought he would ever work with producer James Cameron again. “No,” Miller says.
「ニューフェイト」の絶望的なオープニング成績に伴い、ティムミラー監督にジェームズ・キャメロンとまた組むことはあるか?と尋ねたところ、ティム・ミラーは「ノー」と答えた。
https://www.kcrw.com/culture/shows/the-business/terminator-dark-fate-director-on-the-bumpy-road-to-a-box-office-bomb/tim-miller-on-terminator-box-office-woes-im-processing-but-im-very-proud-of-the-movie

「ターミネーター」ティム・ミラー監督、ジェームズ・キャメロンと決別宣言
https://eiga.com/news/20191128/5/

「ニューフェイト」製作中からグダグダだったようで、そうした製作環境は二度と経験したくない、とのことです。

「ニューフェイト」の後、T1の脚本家(ジェームズ・キャメロンとゲイル・アン・ハード)に権利の50%ずつが帰還したので(後述)、今後はターミネーターと名が付く新たな何かを作るには、必ずジェームズ・キャメロンらが関わることになります。つまり、ティム・ミラー監督がターミネーター作品に関わることはもう二度とありません。あれだけ酷い作品を作ってしまったので、当然といえば当然です。

「間違っていた」「大失敗」確定

『ターミネーター:ニュー・フェイト』監督、「私が間違っていた」「大失敗した」
『ニュー・フェイト』については、「“自分が観たい映画を作れば、うまくいくはず”という、凝り固まったオタク的思考で挑みました。しかし、私が間違っていました」と認め、さらには「悪い意味で大発見でしたね。映画は大失敗しましたから」とまで自虐している。
https://theriver.jp/terminator-dark-fate-tanked/
→関連記事:作る前から失敗していた「ターミネーター・ニューフェイト」

リンダ・ハミルトン「もう出演しない」

リンダ・ハミルトンも「もう出演しないことがとてもハッピー」と言っています。

I would be quite happy to never return. So no, I am not hopeful, because I would really love to be done.

(ターミネーター・シリーズに)二度と戻らないことはとても幸せよ。ええ、私は希望してないの、なぜならすべて終わったと思いたいから。
https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/linda-hamilton-would-be-happy-never-return-terminator-1274687/

上のリンダ・ハミルトンの2020年1月のインタビュー記事を読んでいると、ニューフェイトが大コケしたことで投げやり・・・むしろ逆切れで、ジョン・コナーをあのような状態にしてしまった脚本を正当化しようと躍起になっているように感じられます。リンダ・ハミルトン自身も心底ではニューフェイトが失敗だった、と痛感しているのでしょう。

「ニューフェイト」においては、サラ・コナーについては「怒り」の過剰演出ばかりで、「愛」を感じることはありませんでした。同じキャラクターで同じ人が演じても、監督が違えば「死に体」になってしまう、という最たるサンプルになってしまいました。
→関連:サラ・コナーの疑問点(ターミネーター:ニュー・フェイト)

マッケンジー・デイビス「需要がない」

「ニューフェイト」にてグレース役を演じたマッケンジー・デイビスも「観客が求めているものと違った(需要がなかった)」と振り返っています。
・・・there wasn't a demand for it [at the box office] and to think that there'd be a demand for a seventh film is quite insane. You should just pay attention to what audiences want – and they want new things and I want new things.

(興行収入的にも)需要がなかった。そして7番目の映画(ニューフェイトの続編)があると考えることはまったく正気じゃない。観客が何を求めているのか?に注意を払うべき・・・そして観客が新しいものを求めており、私も新しいものを求めている。
https://www.nme.com/features/film-interviews/terminator-dark-fate-star-mackenzie-davis-thinking-thered-be-demand-for-a-seventh-film-is-insane-2695803

マッケンジー・デイヴィスも「ニューフェイト」は観客のニーズがなかった、続編は考えられない、との見方です。

幻のグレース版「ターミネーター7」

一方で、マッケンジー・デイヴィスは、ターミネーターの7作品目は、「ニューフェイト」の続編ではなく、スピンオフ的な形で、アーノルド・シュワルツェネッガーも出演せず、グレースの未来の戦場を舞台にした物語を描く案もあった・・・とも明かしています。

しかしそれだと「T4サルベーション」と丸かぶりであり、コケるのは必須なので実現することはないでしょう。そもそもグレース自体、T4のマーカスと重複しており、新鮮味がありません。「ニューフェイト」の大失敗の原因の1つは、既視感ばかり(他のターミネーター作品ですでにやったネタのコピペで成立しており新鮮味がまるで無かったこと)だったことが挙げられます。

権利者も変わり風向きも変わった

「ニューフェイト」の後、脚本家の35年ルール(ターミネーター【2019年問題】ジェームズ・キャメロン)により、ターミネーターの商標権利(つまりターミネーターのオーナー)は、T1の脚本を担当した2名:ジェームズ・キャメロンとゲイル・アン・ハードに50%ずつ移管されました。

権利者が変わったので、今後は「ジェニシス」や「ニューフェイト」(権利者ミーガン・エリソンと株主が中国企業であるスカイダンス社製作の姉妹作品)のような、とにかく中国市場を第一優先にした酷い中国媚び作品(→詳細:ターミネーター映画大失敗の致命的な原因)は、安易には作られなくなりました。

そのゲイル・アン・ハードは、
I do think it’s a perennial with the right story with the right cast and the right direction. I think there could still be a potential future there.
正しいストーリーと正しいキャストと正しい方向性をもってすれば、ターミネーターに潜在的な未来はあると思うわ。

と言っています。→詳細:ターミネーター新作の鍵を握るゲイル・アン・ハード

つまり、「ニューフェイト」は「with the right story with the right cast and the right direction」ではなかった(=物語とキャスト、方向性が間違っていた)ということ暗に示唆しており、権利者が変わった以上、「ニューフェイト」の延長線上の作品は作られることはないでしょう。作るにしても大幅な軌道修正が必要となり、それは「ニューフェイト」とは別物、ということになります。

「ジェニシス」や「ニューフェイト」は、2010年代に入ってから中国市場で一儲けしようとチャイナ・ドリームにハリウッドがうなされていた最悪の時期に作られた作品でした。

観客も興味なし

興行収入のひどさもさることながら、「観客に興味がない」というのは一番、致命的です。

高評価レビューが露呈する大失敗の原因

「ターミネーター・ニューフェイト」の評判を語るとき、よく「賛否両論」という都合がよい曖昧な表現でごまかされることが多いですが、この「賛否両論」という単語は、「否」論が多い時に「賛」側が取り繕ってごまかす時に使われる苦肉の単語です。つまり「賛否両論」という単語を見かけた時は、「否」論が多い、ということを意味しています。

その賛否の「賛」のほう、つまり高評価レビューのほうをあえて確認すると、おもしろい事実を発見することができます。

映画レビューサイトの、一般の人たちの「ニューフェイト」に対する高評価レビューを確認すると、9割以上のレビューで「あること」が欠落していることに気づくでしょう。

その「あること」とは、新しい設定の「2つの重要なキャラクター」について、ほぼ誰も言及していない、という点です。

新しい設定の「2つの重要なキャラクター」とは、「ダニー」と「リージョン」です。この2つの名称のみならず存在自体が、高評価レビューのほとんど・・・それこそ9割以上に登場しません。

出てくるのは「リンダ・ハミルトン!」といった懐古的なご祝儀評価がほとんどで終わっています。

誰も「ニューフェイト」の新しい設定(今後の展開)にまったく興味が持てていないことがわかります。「ダニー」と「リージョン」という名前すら、おそらく映画を観終わった3分後くらいには忘れてしまったのではないでしょうか。ほとんどが「なんかメキシコ系のお姉ちゃんは出てた気がする」程度の把握で終わってしまっているように見受けられます。

このような観客の無関心ぶりからも、「ニューフェイト」の続編は到底無理であることが明らかです。

雲泥の差(「正統な続編」は逆効果)

続編が熱望される映画というのは、今後の物語の展開、キャラクターの今後に話が持ち切りになるものです。

例えば「ターミネーター2」の時はどうだったか?というと、映画公開後は「ジョン・コナー」と「スカイネット」という単語は世間一般でも周知され、よく「人間vs機械」の話題でも代名詞的に使われるようになりました。
特にコンピューターやA.I.技術を語る際、「スカイネット」や「サイバーダイン社」という単語は高い確率で登場するほどです。

また、T2で新キャラクターとなったジョン・コナー(エドワード・ファーロング)については、写真集は発売されるは、CDは出るは、「はじめての、H・・・・・・・・」のホットヌードルのCMにも出演するは、で社会現象にもなりました。いまだに「T2のエドワード・ファーロングの髪型にしたい/するにはどうすればいいか?」といった類の質問が質問サイトに出てくるほどです。

「ターミネーター2」の「正統な続編」とうたうのは恥ずかしいほど、「ニューフェイト」には雲泥の差があるのは明らかで、とても続編どころではなく、今後はいかに「ニューフェイト」を黒歴史化するか(無かったことにするか)、に焦点が注がれることになるでしょう。

以上、多方面において、『ターミネーター: ニュー・フェイト』(Terminator: Dark Fate)の続編はない理由でした。

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