映画『ボーン・アイデンティティー』の続編『ボーン・スプレマシー』(The Bourne Supremacy / 2004年)のエンディングに出てきたロシアの巨大な高層集合住宅(マンション)。
各部屋に明かりが灯されて「人々がそこに暮らしている」ということを感じさせる印象的なシーンでした。
この高層集合住宅は、実際にロシアで撮影されており、そのロケ地はこちら。
イレーナ・ネスキーが住む高層集合住宅
Film Location(ロケ地)
- Ulitsa Krylatskiye Kholmy, 33 корпус 2, Moskva, ロシア 121614
- 座標:55.7579460037225, 37.4167664569895
ロシア・モスクワ郊外に実在する高層集合住宅が撮影に使われていました。
室内のシーンも、窓の外にこの高層集合住宅が映っていたので、この建物内で撮影されたことが分かります。
謝罪行脚
ここにかつてジェイソン・ボーンが任務で殺害したVladimir Neski・・・の娘、Irena Neski(演じるはOksana Akinshina/オクサナ・アキンシナ)が住んでおり、ジェイソン・ボーンは「自分が犯人であり、父親が母親を撃ったたわけではない」と「両親の死は自分が工作したものである」という真実と謝罪を伝えに訪れます。ちなみにこの『ボーン・スプレマシー』の続編である『ボーン・アルティメイタム』(The Bourne Ultimatum)では、「ボーンがネスキー殺害の犯人である」と報道されるシーンがあることから、この高層集合住宅のシーンの後、イレーナ・ネスキーはロシアの捜査機関にこのことを話し、マスコミにもリークされたことがわかります。
もう1つのエンディング
このロシアの団地でのシーンですが、Alternative Ending(もう1つのエンディング/非公開エンディング)も撮影されています。 そのエンディングの流れは、- ボーンが娘イレーナ・ネスキーに会って謝罪したあと、
- ロシアの団地の中庭(公園)を歩いている時に、意識を失い倒れる。
- 目覚めたらそこはドイツ・ベルリンの病院のベッドの上で、
- 傍らにはパメラ・ランディがいる。
- パメラがボーンと少し会話して病室を出た直後(病室の外は警備されている)、
- ボーンは忽然と病室から消えていた・・・
このもう1つのエンディングを採用しなかったことは正解でした。リズムが悪く、切れがないからです。ジェイソン・ボーンの最強感や神秘性も失われます。
劇場公開版では、ボーンはロシアの団地で倒れることなく、映像はロシアの高層集合住宅を映して画面はアメリカ・ニューヨークに切り替わります。そしてボーンはパメラに電話して"Get some rest, Pam. You look tired"(少し休んだ方がいい。 疲れた表情をしてる。)と言い、映画「ボーン・スプレマシー」は終わります。
このエンディングは、映画が公開される2週間前に急きょ撮影し直され、差し替えられたそうです。
Two weeks before [the film's] release, [Greengrass] got together with its star, Matt Damon, came up with a new ending and phoned the producers saying the new idea was way better. And it would cost $200,000 and involve pulling Damon from the set of Ocean's Twelve for a re-shoot. Reluctantly the producers agreed—the movie tested 10 points higher with the new ending.
https://en.wikipedia.org/wiki/The_Bourne_Supremacy_(film)
ボーン・シリーズの成功は、ギリギリのところで成立していたことが、この差し替えたシーンの比較で分かります。
マット・デイモンのボーン・シリーズの第一作『ボーン・アイデンティティー』でも、似たようなエンディングの差し替えが起きていて、差し替えられた元のエンディングは、かなり微妙な仕上がりでした。『ボーン・アイデンティティー』も成功と失敗が紙一重だったことがうかがえます。
その詳細