アスタラビスタ、ベイビーは不可能なターミネーター2

ターミネーター

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ターミネーターの名セリフ

イギリスのジョンソン首相辞任のスピーチの最後の最後に使われたりと、 「Hasta la vista, baby(ハスタ・ラ・ビスタ/アスタラビスタ、ベイビー)」という決めゼリフが現実世界でも使われることがあります。

Hasta la vista, baby(ハスタ・ラ・ビスタ/アスタラビスタ、ベイビー)の意味と所縁

映画「ターミネーター2」の名言

「Hasta la vista, baby(ハスタ・ラ・ビスタ/アスタラビスタ、ベイビー)」とは、名作映画「ターミネーター2」(T2)にて、シュワちゃんターミネーターが発した「地獄で会おうぜ、ベイビー」「さっさと失せろ、ベイビー」、「あばよ、ベイビー」などと翻訳されている有名なセリフです。

但し、どちらかというと「見限るための、かっこつけた乱暴な言い回し」なので、安易にマネはしないほうがいいでしょう。

ジョン・コナーがターミネーターに教えたスペイン語

T2の劇中、「もっと人間らしい、自然な言葉を話せよ。」ということで(ロサンゼルスの若者の間で流行っているイケてる言葉ということで)、ジョン・コナーがターミネーターT-800(シュワちゃん)に教えたスペイン語です。
(ジョン・コナーはターミネーター襲撃から避難するため、メキシコ~中南米で生まれ育ち、スペイン語はそこそこ話せる、という設定です。)
→関連記事:ジョン・コナーの犯罪履歴とパトカー端末

ロサンゼルスは元々メキシコ領

なぜスペイン語かというと、T2の舞台はロサンゼルス(元々はメキシコ領)で現在もメキシコに隣接しているため、メキシコ(スペイン語圏)からの文化や移民の影響が大きいという背景もあります。

そもそもLos Angelesという地名からしてスペイン語で、英語に訳すとthe angelsで、「天使たち」という意味になります。ということは、大谷翔平選手が所属する「ロサンゼルス・エンゼルス(Los Angeles Angels」は、直訳すると「天使たち・天使たち」という変なチーム名である、ということになります。

アメリカに住んでいると、「Do you speak Spanish?(スペイン語話せる?)」と日本人であっても尋ねられることがよくありますが、それほどアメリカではスペイン語が第二言語として飛び交っています。
ちなみに日本語で「明日またな。」とスペイン語母語者に向かって言うと、「アスタマニャーナ(Hasta mañana.)=明日またな。」と同じ意味・言葉に聞こえるそうです。

日本語の「明日またな。」=スペイン語の「アスタマニャーナ(Hasta mañana.)明日またね。」

実はこのセリフの名シーンは成立しない

しかし、このT2という映画をよく見ると、実はこの「Hasta la vista, baby(アスタ・ラ・ビスタ/アスタラビスタ、ベイビー)」の名シーンは成立しない(実現不可能である)ことがわかります。
ある意味、T2における最大の撮影ミスともいえます。

以下、順を追って説明していきます。

Hasta la vista, baby発祥のシーン

Hasta la vista, babyのシーンは、T2の後半のほうで、液体窒素で固まってしまった液体金属T-1000を、シュワちゃんことアーノルド・シュワルツェネッガー演じるT-800が銃で1発でぶっ壊す際の「決め台詞」として登場します。

その際、シュワちゃんが使った銃は、T2の冒頭、バイカーが集うバー「The Corral」(ザ・コラル)で、バイカーから奪ったColt Series 70/Detonics 1911 Hybrid(コルト シリーズ70とデトニクス1911を掛け合わせたカスタム銃)です。名前が長いので 以降、Coltonics 1911(コルトニクス1911)と書きます。

T-800は、このコルトニクス1911を、映画の終盤までずっと使い続けています。

Hasta la vista, babyのシーンが成立しない理由

しかし、あの「かっこいい」Hasta la vista, babyのシーンが成立しない理由が2つ、存在します。

理由1:サイバーダイン社で捨ててしまった・・・

T2の中後半、サイバーダイン社を爆破して脱出する際、T-800が出入口付近にいるSWAT隊員の足を撃つ際に、このコルトニクス1911を使用しますが、一通り撃ち終わった後、そのコルトニクス1911を、右手でポイっと床に投げ捨ててしまいます。
ターミネーターとコルトニクス1911

その後、T-800は建物の外に出て、車を仕入れて建物に戻ってくる(宣言通り I'll be back.してくる)のですが、ずっと運転席に座ったままで、一度もその投げ捨てて床に落ちたコルトニクス1911を拾うシーンもタイミングもありません。

つまり、ここでコルトニクス1911を捨ててしまったので、その後の工場での液体金属T-1000を"Hasta la vista, baby"と言いつつ「かっこつけて」撃とうとしても、コルトニクス1911は持っていないはずなので、このシーンは本当は成立しないことになります。

理由2:口径が違う・・・

さらにいうと、この「Hasta la vista, babyのシーン」では、すでに弾切れを起こしており、撃てなかったはず・・・という問題も存在します。

このコルトニクス1911は、劇中、コッキングするシーンを見ても分かるように、バレルが45口径よりも一回り小さいので、9mm口径にコンバージョンされている(9mm コンバージョンユニットを使用している)ことがわかります。

しかし、T-800は、Pescadero State Hospital(ペスカデロ警察病院)にサラコナーを救出に向かう際、病院の守衛の足をコルトニクス1911で撃って、マガジンを3つ、奪いますが、この守衛が持っていた銃は、シルバーのM1911A1(45口径/.45 ACP.)でした。奪ったマガジンから見える弾も45ACP弾でした。

その奪った弾とマガジンをコルトニクス1911の予備弾としてずっと使い続けるのですが、9mm口径のコルトニクス1911なので、45口径の弾は使えないはずです。

つまり、その後の工場のシーンで、固まった液体金属T-1000を"Hasta la vista, baby"と言いつつ撃とうとしても、すでに9mm口径の弾は尽きているので、撃てないはずです。よって、その意味でもこの「ハスタラビスタ、ベイビー」という名シーンは、本来は実現不可能である・・・ということになります。
(弾の口径違い以前に、前述の通り、そもそもコルトニクス1911を、捨ててしまっており、持っていないはずなのですが。)

以上、細かすぎるツッコミではありますが、そんな楽しみ方が、名作ターミネーター2にはある、という小話でした。

ちなみに昔(2015年11月)、ウェスタンアームズからT2モデルの銃2丁を忠実に再現したガスガンが販売されていました。

【その他参考】:
ガスブローバック®「WA【コルト】ガバメント《T2》/リアルスチール」
■ 標準価格 38,000円(+税)
「ターミネーター2」に登場したガバメントカスタムを再現したモデルがこちらです。劇中でシュワルツェネッガー演じる、T-800型ターミネーターが手にしていた一丁をモデルアップしました。
鮮烈な印象の2トーンボディは、劇中で使用されたプロップに基づき、デトニクス・スコアマスターフレームと、コルト・シリーズ70スライドを組み合わせたもの。金属風に仕上げられたリアルスチール・フィニッシュ仕様のスライドには、プロップの”9mm”口径仕様にあわせ、専用刻印を彫り込みました。
https://www.wa-gunnet.co.jp/blog/magna/1375

※スライドの刻印:
COLT'S MK IV / SERIES'70
GOVERNMENT MODEL
9mm LUGER CALIBER


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