スカイネットの標的となったマーティン・ベデルを保護する目的で、マーティン・ベデルが通っているというPresidio Alto Military Academy(プレシディオ・アルト・ミリタリー・アカデミー)に短期入校したジョン・コナーとデレク・リース。
(「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」シーズン2第5話「永久に別れを/Goodbye to All That」)
Presidio Alto Military Academy(プレシディオ・アルト・ミリタリー・アカデミー)は、フィクションの陸海軍士官学校(プレップ・スクール)です。
校名にプレシディオと付いている通り、ドラマの設定上はプレシディオ(カリフォルニア州 Carlsbad)にあることになっていますが、実際のロケ地はマリブの山奥にある建物です。
King Gillette Ranch as Presidio Alto Military Academy
Film Location
- King Gillette Ranch(Dormitory)
- 26800 West, Mulholland Hwy, Calabasas, CA 91302 U.S.A.
- 座標:34°06'07.5"N 118°42'12.2"W
34.102084, -118.703398
- この建物を→Googleで立体的に見てみる
King Gillette Ranch(キング・ジレット・ランチ)は現在は「青少年の家」のような感じで、専ら子ども達が歴史を学びながら自然も堪能するレクレーション施設として使われている建物です。
このMAP(www.mobilemaplets.com/showplace/11540)によると、Presidio Alto Military Academyとして使われた建物は、ふだんは DORMITORY(宿泊施設)として使われているようです。そのため、適切に予約が取れれば、泊まろうと思えば泊まれるかもしれません。
ちなみに劇中でデレク・リースが持っていた現場地図が、上の www.mobilemaplets.com/showplace/11540 とほぼ同じものだったのがおもしろかったです。
尚、このKing Gillette Ranchがある Mulholland Hwyを道なりにずっと西へ進むと、カイル&デレク・リースの墓とキャサリン・ウィーバーの家があります。
プレシディオ・アルト・ミリタリー・アカデミーでの見所・解説
射撃練習場でのSPORTS
このPresidio Alto Military Academyでの射撃練習場のシーンでは、ジョン・コナーが隣で射撃をしている生徒に、銃(Colt M16A2)がジャムった(弾詰まりした)時の処理手順を、S.P.O.R.T.S.(スポーツ)として教えるシーンがあります。- S- Slap(はたく)
- P- Pull(引く/コッキング)
- O- Observe(よく見る)
- R- Release(もどす)
- T- Tap(たたく)
- S- Shoot(撃つ)
ジョン・コナーがこの時点で、銃の基礎的扱いを習得し、射撃の腕もそこそこあることがうかがえます。サラ・コナーから幼少期から未来の戦闘に備えて鍛えられていたことが分かるシーンです。
→関連記事:ジョン・コナー【幼少期】がサバイバル訓練したジャングル
ゴーグル(サングラス)の瞬間移動
ちなみにこのシーン、ジョンコナーが銃の弾詰まりをSPORTSで直して、見本を示して銃を撃つ時、撃つ直前は射撃用ゴーグル(黄色いサングラス)を頭にかけているのに、撃つ瞬間にはゴーグルを目につけており、撃ち終わった瞬間にはまた頭の上に戻っている・・・というゴーグル(サングラス)の瞬間移動が見られておもしろいです。映画「トップガン」でも、最後のほうでトム・クルーズが仲間に抱きかかえられる際にサングラスをかけたり、かけていなかったりするという、有名なサングラスの瞬間移動シーンがあったのですが、それを彷彿させました。
尚、射撃練習場のシーンもこのKing Gillette Ranchの敷地内の駐車場の脇にある空地で撮影されており、射撃場の背後に、
座標:34°06'27.0"N 118°42'07.7"W
34.107486, -118.702138
の山の斜面にある特徴的な白い建物が映り込んでいるのでわかります。
未来のジョン・コナーの伏線
例えば、- なぜジョン・コナーは未来で孤独なのか
- なぜ再プログラムド・ターミネーターを多用するようになったのか
の理由がこの「永久に別れを(Goodbye to All That)」では描かれています。
ジョン・コナーが、未来において、あまり周囲に人間を近づかせないようにしていたのは、このエピソードで出てきたマーティン・ベデルのように、ジョン・コナーの近くにいる人間は皆「ジョンのために」死んでいくか、命を狙われてしまうためです。
人間は亡くなってしまうと命の代替は利きません。そのため、ジョン・コナーは人命を尊重するために、人間の代わりにターミネーターを捕獲し、リプログラムして、各基地に配置するようになりました。
そのことが、「ターミネーター2」でリプログラムしたT-800を、過去に送ることにもつながっています。
この「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」シーズン2第5話「永久に別れを(Goodbye to All That)」は、未来のジョン・コナーの、特に精神的な部分が形成されていく様子がよく描かれています。
「オズの魔法使い」とターミネーター
ターミネーター、特にサラ・コナー・クロニクルズは「オズの魔法使い」と旧約聖書をベースに展開していくシーンが多いです。例えばこのシーズン2第5話のPresidio Alto Military Academyでは、保護した幼い方のマーティン・ベデルに「オズの魔法使い」の本を読み聞かせるのに被せて、ジョンとデレクがT-888を退治する様子を描いています。T-888を魔女に仕立て上げた感じです。
(劇中に登場したのと同じ表紙デザインのもの)
キャメロンがサラ・コナーに向かって、
It was John's favorite.(オズの魔法使いはジョンのお気に入りの本だった。)
とボソッと言うシーンが印象的でした。
シーズン2でのコナー一家の偽名が Baum になっているのも、この「オズの魔法使い」の作者 Frank Baum にちなんだものです。
シーズン1第2話「汝自身を知れ(Gnothi Seauton)」では、サラコナーはキャメロンのことを「ブリキ君(Tin Man/ティンマン)」と呼んでいます。これは「オズの魔法使い」に登場する心がないブリキ男に、(人を簡単に殺めてしまう)心がないキャメロンを引っかけたものです。
このサラコナーのイヤミに対して、キャメロンは、
I know what the Tin Man is. He needed a heart. The Wonderful Wizard Of Oz written by L. Frank Baum in nineteen hundred, first published ・・・(中略)・・・You read it to him over and over again, in Spanish. He never told you, but it was one of his favorite things that you did. He used to talk about it a lot.
(ブリキ男は知ってる。彼はハートが必要だった。フランク・バウム作のオズの魔法使い・・・あなた/サラはジョンに何度もスペイン語で読んであげていた。ジョンはあなたに言ったことはないけど、あなたがジョンにしてあげたことでジョンが好きだったことの1つ。彼はよくそのことを話していた。)
という言葉で言い返し、サラを黙らせています。「オズの魔法使い」は、「未来のジョン」と「現代のサラ」をつなぎ留める道具にもなっていました。
また、「ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ」の監督と脚本を担当したジョシュ・フリードマンに関しては、「オズの魔法使い」についてこんな記事もあります。
米NBC「オズの魔法使い」を題材にしたダークドラマを制作
https://eiga.com/news/20140121/15/
ターミネーター4にも受け継がれる
「オズの魔法使い」からヒントを得ることは、ターミネーター4にも受け継がれています。
ターミネーター4のパンフレット記載のサム・ワーシントンのインタビューでは、
マーカスは「ふしぎの国のアリス」のアリスや、「オズの魔法使い」のドロシーと同じキャラクターだ、というふうに捉えたよ。全く未知の世界で目覚め、途中で心・勇気・知恵をそれぞれ与えてくれる人に出会い、最後は魔法使いのところまでたどり着き、質問に答えてもらう。ターミネーター版ドロシーを演じる、と言いたいわけなんだけど、ちょっとヘンかな(笑)
と答えています。マーカスの役作りに、サム・ワーシントンは「オズの魔法使い」を参考にしたようです。
バレットM82 初登場
Presidio Alto Military Academyのシーンでは、ターミネーター・シリーズで初めて軍用対物狙撃銃であるバレットM82( Barrett M82A1)が登場します。デレク・リースがマーティン・ベデルに初めて会う森の中で、デレク・リースが背中に携行しており、その後、Presidio Alto Military Academyにマーティン・ベデルを暗殺しにやってきたターミネーターT-888を仕留めるのに、使用しました。
このバレットM82は後の映画「ターミネーター・ジェニシス」でも使われました。
このPresidio Alto Military Academyが舞台となる「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」シーズン2第5話「永久に別れを(Goodbye to All That)」には、興味深い内容が凝縮されています。
# Terminator Sarah Connor Chronicles 205 P. Alto military school