ターミネーターといえば、ガソリンスタンドでのコミュニケーションが見所の1つにもなっていますが(例:T1のエンディング「嵐がやってくる」のシーン、T2の笑顔を教えるシーンなど)、「サラ・コナー・クロニクルズ」でも印象的なガソリンスタンドのシーンが何回か登場します。
チップス食べる?のガソリンスタンド
シーズン1第1話で、キャメロン・フィリップス(TOK715)とジョン・コナーの距離がまた1つ近づいたのも、このガソリンスタンドのシーンでした。Film Location
- ガソリンスタンド名:The 66 Pit Stop - Home of the Laguna Burger
(ザ 66 ピット・ストップ - ホーム・オブ・ザ・ラグーナ・バーガー)
- 場所:14311 Central Ave NW, I-40, Exit 140, Albuquerque, NM 87121 U.S.A.
- 座標:35°02'04.5"N 106°56'21.0"W
35.034589, -106.939176
- 近くの橋名:Rio Puerco Bridge(リオプエルコ橋)
参考URL:https://en.wikipedia.org/wiki/Rio_Puerco_Bridge
- 橋の座標: 35°02'00.8"N 106°56'31.4"W
35.033541, -106.942057
旧 ルート66
このガソリンスタンドは、旧ルート66(Old Route 66)沿いにあり、劇中のジョン・コナーの背後には、その旧ルート66沿いにかかっている有名なRio Puerco Bridge(リオプエルコ橋)が映っています。ガソリンスタンドの装飾や運営店舗名は、赤く装飾されたりして「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」撮影当時からは変わっていますが、建物の構造自体は、撮影当時と変わっていません。ジョンコナーの背後にある白い壁や、キャメロンの背後に見える支柱も当時のまま残っています。
このRio Puerco Bridge(リオプエルコ橋)に関しては、ルート66ファンの日本人のブログにも何件か言及されているものがあり、この道をドライブした日本人も結構、いらっしゃるようです。
キャメロン(TOK715)の「違い」
この「ターミネーター サラ・コナー・クロニクルズ」でのガソリンスタンドのシーンでは、キャメロン・フィリップス(TOK715)が、ジョンコナーと心を通わしつつも、これまでのターミネーターとはちょっと違うことをアピールするシーンになっています。落ち込むジョン・コナーに対し、まずキャメロンは、
In the future, you have many friends.
未来ではあなたにはたくさんの友達がいるわ。
と励まし、そのキャメロンの繊細の受け答えに対し、ジョンは、
What model are you?
Are you new? You seem...different.
君は何型(のターミネーター)なの?新型?(今までのと)違うようにみえる。
との問いかけに、キャメロンは、
I am.
違うわ。(I am different.の略)
と答え、ジョンがその前に勧めて「あー機械だから食べないかー」みたいなリアクションをしていたお菓子(ドリトスみたいな三角形のチップス)をつまんで、口にしてジョンを驚かせるシーンになります。
キャメロンはおそらく食べていない
このシーンでキャメロン(TOK715)は、はたして本当にチップスを食べたのか?というと、食べていないと見られます。シーンをよく観ると、チップスを右手で口に運んだあと、すぐにくるりと背を向けて運転席のほうへ向かう際、今度は左手を口元にもっていき何かを抜き取っているような仕草が確認できます。おそらく左手で口に入れたチップスを抜き取ったのでしょう。
ネット上には、「TOK715は食べ物を食べれる機能がある」「人間のように自然な経口飲食が可能」という趣旨の非公式の文言が散見しますが、それはさすがに盛り過ぎでしょう。そこまで膨らませるとさすがに興ざめの域に達してしまいます。
シーズン2でも、デレク・リースの前で「パンケーキ」を口にして、さらに飲み込むような仕草は見せますが、この時も飲み込んではいない(もしくは飲み込んでも後から出す)可能性が高いです。デレク・リースが「俺は騙されないぞ。」と言い返すのも「(そんな食べるふりをしても)俺は騙されないぞ。」という意味からなのでしょう。
このシーンでは「食べる/食べない」という世俗的な事象より、もっと深いことを示唆しているように見えます。
キャメロンの「空気を読む」能力
つまり、ここでキャメロンが「私は(これまでのターミネーターとは)違う。」と言っているのは、「食べれる機能がある」という短絡的なことではなく、「そこまで人間に同調/協調する能力がある」「人間の繊細な機微を理解する能力があり、infiltrator(潜入者)としてそこまで人間社会にinfiltrate(順応し潜伏)する能力がある」ということです。例えば、映画「ターミネーター2」ではエンリケから勧められた酒を、シュワちゃんターミネーターT-800が無視し、代わりにサラ・コナーがその酒瓶をもらうシーンがありますが、そのT-800とは違って、もっと人間社会においてうまく立ち回れる能力がある、ということを意味しているのでしょう。
これに関連して、サラ・コナー・クロニクルズでも、映画『ブレードランナー』にあった、アンドロイドに対するVoight-Kampff Test(フォークト=カンプフ検査/フォークト=カンプフテスト)をモチーフにした亀をひっくり返すシーンがあります。
→詳細:亀とターミネーターとブレードランナー
「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」では、A.I.の成長具合や機械の人間への歩み寄り、命の大切さなどが全体を通して描かれており、そのあたりの繊細なタッチを汲み取っていくと、この作品をさらに楽しめるものがあり、また、そうした意味深なシーンがガソリンスタンドで行われることが多いのもターミネーター作品の面白さの1つでもあります。
#Gas station Terminator Sarah Connor Chronicles 101