よくある間違ったターミネーター・シリーズの相関図は上図のようなものです。
- T1→T2→T3→T4 ←誤
- T1→T2→TSCC
- T1→T2→ニューフェイト
- ターミネーター・ジェニシス(のみリブートなので独立している) ←誤
これらの認識は、実は間違っています。正しくは以下のような相関図になります。
簡単にまとめると、「T1とT2をオリジナル」として、後続作品が「我こそが3番目の作品なり!」と争っている・・・ということになります。どの作品を3番目とみるか?は視聴者のお好み次第です。
以下、説明していきます。
公式にはT4はT3の続編ではない
一番よくある間違いは、- T1→T2→T3→T4
「T4がT3の続編である」と公式に発表されたことはなく、また製作者であるマックG監督も、「T3には敬意は払うが、T4はあくまでT1とT2をベースにしたストーリーだ。」と公言しています。原題にも4という数字は付いていません。そのため、
- T4にはT3固有のキャラクターは1つも出ていない事実
→詳細:ケイト・ブリュースターではないT4はT3の続編でもない事実 - T3とT4の審判の日の矛盾
→詳細:ターミネーター4の審判の日は2011年(T3と矛盾) - T3とT4間でのサラ・コナーのカセットテープの矛盾
などが存在しています。
そもそもT3、T4それぞれを観れば一目瞭然ですが、雰囲気も主旨、製作者も演者もキャラクターイメージもまったく違います。
邦題「4」の間違いが誤解を生んだ
なぜT4がT3の続きだと勘違いしている人が日本に多いのか?というと、日本が勝手に『ターミネーター4』とタイトル(邦題)に「4」を付けてしまったことが大きな原因です。本当のタイトル(原題)は、『 Terminator Salvation 』(ターミネーター・サルベーション)で独立した作品なのです。3の続きの4という立ち位置で作ったのではなく、あくまでT1とT2をベースにした、「サルベーション」発の新たなる三部作を構築する、というマックG監督はじめとする製作者の意気込みでサルベーションは作られたのです。以降、ナンバリングは無し
「ターミネーター4」という邦題で大きな誤解を生んでしまったため、それ以降の作品・・・例えば「ターミネーター・ジェニシス」は「ターミネーター5」とは呼ばず、また、「ターミネーター・ニューフェイト」は「ターミネーター6」とは呼ばなくなりました。ジェニシスはリブートではなくT1の続編である
これもよく勘違いされているのですが、よくターミネーター・シリーズの相関図で「ターミネーター・ジェニシス」だけ「リブート」として独立させている図を見かけます。しかし、「ジェニシス」は完全リブートではなく、T1の続編です。T1なくしてジェニシスは成立せず
ジェニシスは、T1で「どのサラ・コナーか?」が特定された史実に基づいて、(本来T2で1994年に送られるはずだった)T-1000とT-800が1973年に送られた・・・というストーリーですので、T1なくして成立しません。つまりジェニシスはT1の続編であり、T2のリブート(T2を上書きするもの)ですので、上から2番目の相関図の位置関係になります。
→詳細:【解説】ターミネーター・ジェニシスの時間軸と疑問解決
よって、ジェニシスはT1を理解していないと楽しめませんし、T2を理解していないとT-1000とT-800というキャラクターが何だったのか(誰が送ったのか?)もまったく分からない構成になっています。
ニューフェイトの正統な続編性も弱い
「正統な続編」という宣伝文句が踊った「ターミネーター・ニューフェイト(Dark Fate)」はターミネーター史上最大ともいえる大失敗(大赤字)に終わり、続編は頓挫、黒歴史化は必須となりました。→詳細:正統な続編の根拠は薄い【ターミネーター・ニューフェイト】
しかも「ニューフェイト」はジェームズ・キャメロン監督作ではなく、ティム・ミラー監督作品であり「正統」をうたうには根拠が薄いです。ジェームズ・キャメロンは撮影現場に足を運んだこともなく、まったく現場にはノータッチです。実際、劇中、ジェームズ・キャメロンらしさは微塵も感じらず「これのいったいどこがキャメロンなの?」と期待を裏切る情けない仕上がりは、当然ながら数字(大コケ・赤字)となって表れました。
→詳細:ターミネーター映画大失敗の致命的な原因
これほど「ニューフェイト」の出来が悪いと、間違いなく数年後にはニューフェイトは存在しなかったがごとく、新たなターミネーター作品が登場することでしょう。
→関連:ターミネーター新作の鍵を握るゲイル・アン・ハード
そもそも宣伝文句が続編を決めるのであれば、「ジェニシスこそターミネーター3だ」ジェームズ・キャメロン語録と続編性を前面に打ち出して大宣伝をおこなったジェニシスとの完全矛盾が成立します。ジェニシスもニューフェイトも同じ権利者(オーナー)、同じ会社(スカイダンス)が作った姉妹作品です。単なる大言壮語の連発であり、軽々しい「宣伝文句」にまったく信憑性がありません。
まとめ
基本的には、ターミネーター・シリーズは、T1とT2をオリジナルとしてどう展開させていくか?という相関関係となっており、現在のところ、7作品で5本のタイムライン(時間軸)が存在しています。言い換えると、どの作品も、「オリジナルであるT1とT2」をベースにして、「我こそが3番目のターミネーター作品である!」との3番目争い(相続争い)をしている、ということです。
いまだにターミネーター自体がNo Fate(未確定・混沌)
「ニューフェイト」も大失敗(大コケ・大赤字)に終わったので、結局のところ、T1、T2以降のターミネーター・フランチャイズは、いまだに未確定のまま、混沌としています。よって、T1とT2をベースとして、後はどのライン・・・
- T1→T2→T3
- T1→T2→TSCC
- T1→T2→T4
- T1→(T2→)ジェニシス
- T1→T2→ニューフェイト
を選択するか、好みに応じて楽しめばよい、ということになります。
T1,T2を否定していないのは1作品のみ
多方面にとっ散らかっているように見えるターミネーター・シリーズですが、まとめるのは簡単で、T1,T2を否定していないのは「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」のみです。「サラ・コナー・クロニクルズ」はジョン・コナーもサラ・コナーも生き続けている唯一の作品であり、内容もT1,T2を否定していません。また、ジェームズ・キャメロンが描きたいと語っていたA.I.の発展も、すでにサラ・コナー・クロニクルズでは描かれており、第三極(サイボーグ・レジスタンス)という、斜め上をゆくオリジナルな付加価値も添えられています。
→関連記事:ジョン・ヘンリーとは(A.I.とシンギュラリティ2.0)
それ以外の作品はT1,T2の全否定系・・・全否定したわりには、結局は同じことの繰り返し・・・例えば、
- T3は「審判の日」が起きてしまい、T1,T2は何だったの?というお話(まったくNo Fateではない)
- T4も「審判の日」以降の世界なので、T1,T2は何だったの?というお話
- ジェニシスはわけのわからないタイムラインに突入して全キャラクターの価値消失で自滅・続編頓挫(未来で「ジョン・コナー」は事実上死亡/敵化し、過去ではジョン・コナーは生まれず、カイル・リースもサラ・コナーも存在価値消失)
- ニューフェイトもT1,T2を全否定(まったくNo Fateではない。人民蜂起のリーダーは描けないのでジョン・コナーを消し、かつスカイネット名を悪にはできないのでリージョンに名前を変えただけ。)→詳細:ターミネーター映画大失敗の致命的な原因
と、「サラ・コナー・クロニクルズ」以外は、前作全否定のネガティブ・タイムラインばかり、と全シリーズをまとめることができます。
なぜネガティブに走りがちなのかというと、製作者に実力がないからです。実力のないYoutuberがお騒がせ動画を作ってなんとかアクセスを集めようとするのと同じです。新しくターミネーター権利を買ったオーナーに「作って儲けさせろ!」と言われた、雇われサラリーマン監督と脚本家が無理やり作り出した作品が多いのが失敗・駄作続きの背景にあります。
基本的にはネガティブな映画は「一時的に話題になるかもしれない」というだけで、大ヒットすることは稀なので、ターミネーター映画で失敗が相次いでいるのは当然であり、根本的なテーマの部分に原因があると言えます。「ジェニシス」や「ニューフェイト」のように、チャイナマネーを期待してあそこまで醜い中国媚びして稼ぎたいのなら、まずは根本的なテーマの過ちを修復しないと、ターミネーターで稼ぐことはできないでしょう。しかし、ターミネーターの魂(テーマ)は、中国の検閲内容と完全に矛盾していることに気が付かない製作者が多いのは痛いところです。