ターミネーター・ジェニシスの続編は絶対ない理由

ターミネーター

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ジェニシスの続編キャンセル

基本的に評判が悪く失敗に終わったターミネーター映画5作品目の『ターミネーター: 新起動/ジェニシス(Terminator Genisys)』。当初は「ジェニシス」を始発として、2019年までに駆け込みで3本・・・

  • 2015年「ターミネーター・ジェニシス」
  • 2017年「ジェニシスの続編」2
  • 2019年「ジェニシスの続編」3

と2年ごとに公開予定の新三部作が計画されていましたが、結局、「珍奇動」の不発で終わりました。

なぜ2019年までに駆け込み計画だったかというと、2019年にターミネーターの商標権利が脚本家(ジェームズ・キャメロン他)に返却されるためです。
2011年に権利を買ったエリソン姉妹(兄弟)が、その2019年までに、ターミネーターという名前を使って一儲けしよう、という目論見でした。

しかし、「ジェニシス」の世間での不評と興行成績面から、ジェニシス発の続編は打ち切り(キャンセル)となりました。

ネット上には極一部ですが「ターミネーター・ジェニシスの続編はありませんか?」といった類の声を見かけることがありますが、ジェニシスの続編が作られることは絶対にありません。

その理由は以下の通りです。
ターミネーター・ジェニシスの評価と現状

一言でいうと、ジェニシスの続編は誰も作りたがっていないからです。

1.ジェニシスは権利者(オーナー)にさえ不評だった

(1)世間の評判もイマイチ

ターミネーター・ジェニシスは、アメリカでの興行成績を筆頭に、世間での評判もいまいちでした(中国人歌手を主題歌に登用するなど猛烈に中国媚びして、まるで中国とハリウッドの大合作映画のごとく大宣伝を展開した中国だけは除く)。

ターミネーター映画の中国化(中国媚び)第一号

中国市場を第一優先とし、中国の検閲に忖度したストーリーの改悪、そしてエンディング(エンドロール)に強引に割り込んでくる中国人歌手のテーマソングも、醜い中国媚び(チャイナマネー第一主義)を露呈し、世間の失笑を買うマイナス要素となりました。

MADE FOR CHINA、ターミネーター映画の中国化が始まった第一作目、それが「ジェニシス」です。
→詳細:ターミネーター映画大失敗の致命的な原因

ロッテントマトでも最低評価

どの映画レビューサイトでもジェニシスの評価は微妙~低いです。

例えば映画レビューサイト「ロッテントマト」では、ターミネーター作品で最低評価を記録しています。

ターミネーター全作品の、ロッテントマトにおける評価を表にまとめると下図のようになります。
ターミネーターの評価相関図
→詳細:ロッテントマト評価順【ターミネーター全作品】

ジェニシスはTOMATOMETER(評論家レビュー)では最低評価、AUDIENCE(観客評価)ではターミネーター3や4と三つ巴で最低評価を競っています。

(2)権利者(オーナー)にさえ不評

さらには、当時のターミネーターの商標権利保有者(オーナー)でもあり、プロデューサーでもあるデビッド・エリソンが、
デビッドは、(シリーズ5作目)『ターミネーター:新起動/ジェニシス』は、自分の作りたかったような映画にならなかったと言った。
https://news.yahoo.co.jp/byline/saruwatariyuki/20191127-00152578/
と言及。

コケたり、世間での評判が悪かったとしても、せめて権利者が続編に未練があれば、続編製作の多少の望みはあるのですが、その最後の頼みの綱である権利者の意にさえ反しているような映画の続編は絶対に作られることはありません。

『ターミネーター』シリーズ新作、製作中止?
製作を務める「パラマウント」の上層部が中止を決断したと報じられている。
ある関係者は「NewYork Daily News」紙に「『ターミネーター』とアーノルドの話はなくなりました」「スタジオ側は続編を製作予定から完全に削除しました。これは新たな続編に向けたプリプロダクションやいかなる予定がないことを意味します。キャストたちは長期間の契約をオファーされていましたが、実現しなくなったようです」「『新起動/ジェニシス』はシリーズの新たな始まりという見方をされていましたが、評判もイマイチでしたし、スタジオの重役たちも利益は挙げたもののまた新たに作る意欲を失ってしまったようです」
https://www.cinemacafe.net/article/2017/03/21/47962.html

権利者(オーナー)のみならず、スタジオ側も続編への意欲ゼロで、「ジェニシス」の周囲360度すべてが続編製作に否定的ではどうにもなりません。

2.エミリア・クラークの降板宣言

「ジェニシス」が公開されてから1年も経たないうちに、主役サラ・コナーを演じたエミリア・クラークが早々に、降板宣言をしました。
エミリア・クラーク、『ターミネーター』続編の出演をきっぱり否定
https://dramanavi.net/drama/news/2016/04/post-4678.php
エミリア・クラークは、2015年の出演作『ターミネーター:新起動/ジェニシス』の興行的不振によるシリーズ中止にむしろ安堵していたようだ。
エミリアによれば、『新起動/ジェニシス』の撮影現場は「カオスだった」のだという。「(監督は)『ターミネーター』に取りつかれ、精神的に病んでいました。私の知っている監督じゃなかった。彼は楽しんでなかったし、誰も楽しんでいませんでした。」
エミリアは公開された同作の興行成績が振るわなかったことに、これで続編は作られないだろうと考え「ほっとした」ことを明かしている。
https://theriver.jp/emilia-relieved/
エミリア・クラークは、このサラコナー役には まったく未練はないようです。

「ターミネーター・ジェニシス」はエミリア・クラークぐらいしか見所がなかったのに、その主役がもう同作品で演じることはない、となると、続編製作としては致命的です。

エミリア・クラークはとてもよい女優さんですが、サラ・コナー役・・・特にジェニシスにおけるサラコナーの設定は似合っていなかったように感じられます。

それ以前に、カイル・リース役とジョン・コナー役のミスキャスト(配役ミス)もかなり作品評価に影響したことが映画レビューなどからうかがえます。ミスキャストとギャグ路線による大失敗は、T3の再来とも言えます。

『新起動/ジェニシス』は撮影現場からグダグダだったことも、そのまま作品の結果につながっており、この延長線上で続編がつくられることは絶対ありません。

3.監督も撃沈 

『ターミネーター』5作目こと『ターミネーター:新起動/ジェニシス』のアラン・テイラー監督は「ジェニシス」の結果に、完全に意気消沈してしまったようです。以下のような記事もあります。

『ターミネーター:新起動/ジェニシス』監督、酷評によって起こった「心の変化」が可哀想…

2015年に公開された5作目の『ターミネーター:新起動/ジェニシス』は、シリーズのなかで最も失敗した作品といっても過言ではない。
映画評価サイトのRotten Tomatoesでは、1作目は驚異の100%という評価を得ているが、3作目は69%、4作目は33%、5作目はなんと27%という、ある意味驚異の低評価を記録している。

ここまでの低評価を受けたことによって、『ターミネーター:新起動/ジェニシス』から始まる3部作の構想は当然ながら立ち消えとなるなど、様々な影響が発生した。
そしてその経験によって、アランは映画制作への情熱を失くしてしまったという。米Hollywood Reporterで、アランが当時を振り返った。

「映画制作への意志を失くしてしまった。監督として生きる意志を失くしてしまった。あれについて、誰も責めてはいない。でも制作過程が私にとっては良いものではなかった。だからあれの後には、ふたたび映画制作の喜びを見つけなくてはならなかった」
https://front-row.jp/_ct/17475252
→関連記事:ロッテントマト評価順【ターミネーター全作品】

アラン・テイラー監督自身も、「ジェニシス」が製作途中からすでに良くなかったことを認めており、これはエミリア・クラークの言及とも一致しています。

4.別作品が作られ完全黒歴史化した

また、後続作品として、完全に別のスタッフ、別の路線で、なおかつ「ターミネーター2の正統な続編」を名乗る「ターミネーター・ニューフェイト(Dark Fate)」が作られてしまい、「ターミネーター・ジェニシス」は、ストーリー上も、公式に、かつ完全に黒歴史化が決定しました。

「ジェニシス」と「ニューフェイト」は姉妹作品

実は、「ジェニシス」と「ニューフェイト」は、同じ権利者でかつ同じ制作会社(スカイダンス)なので姉妹作品といえます。しかし、その姉妹から抹殺されてしまうという、悲惨な末路をジェニシスは迎えることになりました。

続編が作られる可能性があるとしたら、「同じ権利者の下で」というのが望みなのですが、同じ権利者でかつ同じ制作会社(スカイダンス)が別の作品を作ってしまったわけです。

シリーズ物で、別の権利者および別の制作会社によって、別の方向性の作品が作られることはよくありますが、同じ権利者の下、かつ同じ制作会社(スカイダンス)の下で、続編性がまったくない作品「ターミネーター・ニューフェイト(Dark Fate)」が作られ、なおかつそれが「T2の正統な続編」などと大体的に謳った、ということは絶望的で、事実上、「ターミネーター・ジェニシス」は完全にターミネートされてしまった、ということになります。

どちらも「ひどい」

ただ、その「ニューフェイト」もさらに大コケし、興行成績の失敗どころか、ファンから嫌悪されるような駄作で、大失敗(爆死)に終わりました。

どちらの作品も、タイトルで検索すると「ひどい」という関連キーワードが表示されます。世間的に、両作品ともひどい内容だったと認識した人が多いようです。

その他、ジェニシスのほうでは、「オブライエンって結局、何だったの?」などの伏線が全く回収されないまま、消滅してしまいました。また、時間軸の勘違いや「シュワちゃんは結局、誰が送ったの?」という疑問を抱えてしまった観客も多かったようです。それらの疑問の答えはこちら↓にまとめてあります。

ニューフェイトのほうは、「ひどい」「爆死」などのマイナスキーワードとともに、「疑問」を持った人も多いようです。また、「エドワード ファーロング」というキーワードも挙がっていることから、結局、エドワード ファーロング(ジョン・コナー)のあのシーンを埋め合わすほどの魅力的な内容や納得のいくストーリーが、ニューフェイトには無かったことがうかがえます。

いずれにしても、このジェニシスとニューフェイト両作品を作った権利者(エリソン姉妹・兄弟)と、スカイダンス社(株主は中国「Tencent Pictures(腾讯影业/テンセント・ピクチャーズ)」の下での中国市場第一主義(中国検閲忖度)では、良質なターミネーター作品が作られることはありません。

万が一、このノリで作ったら、次はさらに大大大赤字になること必須です。

Wikipediaの引用解釈間違い

ちなみに以下のwikipediaの記述は間違いです。
その後、パラマウント・ピクチャーズは本作の続編製作を打ち切ったとニューヨーク・デイリーニュース紙が報じた[31]。『ターミネーター』シリーズの映画化権はスカイダンス・プロダクションズの設立者でもある映画プロデューサーのデヴィッド・エリソンが所有しており、2018年にスカイダンス・プロダクションズの株式を取得した中国の企業テンセントが中国でヒットした同作の続編を2019年に共同製作するとサウスチャイナ・モーニング・ポストは報じた[32][33]。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ターミネーター:新起動/ジェニシス#評価
この中で、「同作の続編を2019年に共同製作するとサウスチャイナ・モーニング・ポストは報じた」とありますが、South China Morning Postは、
Terminator to make return in 2019 in new trilogy backed by Tencent
https://www.scmp.com/business/companies/article/2142876/terminator-make-return-2019-new-trilogy-backed-tencent
テンセント(「腾讯影业」によってターミネーターの新しいトリロジー(新三部作)が2019年にもどってくる
と述べており、どこにも「同作の続編」(ジェニシスの続編)を2019年に製作するとは書いていません。サウスチャイナ・モーニング・ポストに書いてあるのは、新三部作(つまり「ターミネーター・ニューフェイト(Dark Fate)」を1作目とする新たな三部作)の1作目が2019年に中国企業テンセントによって共同制作される、ということです。

「ターミネーター・ジェニシス」は、「続編」どころか、後続の「ターミネーター・ニューフェイト(Dark Fate)」によって、事実上、無かったことにされました。

以上の複数の理由により、多方面で八方塞がりのため、「ターミネーター: 新起動/ジェニシス」の続編は作られることは絶対にありません。

但し、このジェニシス公開時、液体金属化したT-800をヒーローものにしたターミネーターのTVアニメシリーズの企画が漏れ出ていたので、スピンオフ的なターミネーターのアニメ番組は製作される可能性はあります。

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