カナダ・バンクーバー上空を竜が飛ぶ映画「ネバーエンディング・ストーリー」

ロケ地 洋画

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ネバーエンディングストーリーのロケ地

「いわくつきのシーン」を含め、カナダ・バンクーバーがロケ地としてふんだんに使われていた1984年の映画『ネバーエンディング・ストーリー』(英題:The NeverEnding Story)。

そのロケ地はこちら。

空飛ぶファルコン(龍)シーン

映画のエンディング、主人公バスチアンがファルコン(龍)に乗って、いじめっ子にお返しをするシーン。



  1. バンクーバー・ダウンタウンの北部、Canada Place(カナダ・プレイス)側からファルコンに乗って飛んできたバスチアンは、
  2. Gastown(ギャスタウン)の有名な蒸気時計があるCammbie St(キャンビー・ストリート)を歩いていた「いじめっ子3人」を追いかけ、
  3. 脇の路地裏 Blood Alley(ブラッド・アリー)に逃げ込んだ「いじめっ子ら」は、ごみ箱に避難してゴミだらけになる

というハッピー(?)エンディングシーンです。

Film Location


ファルコンが空を飛んでいる際、前方後方に見える球場(BCプレイス・スタジアム)や特徴的な三角形のドミニオン・ビル(the Dominion 207 Building)、てっぺんに「W」のマークが付いたウッドワード・タワー(Woodward's Building)など、バンクーバー・ダウンタウンのシンボルが漏れなく映り込んでいます。

また、ファルコンが路地裏まで入って来るシーンでは、ファルコンの背後にハーバーセンター(Harbour Centre)の円形の展望台兼回転レストランも映っています。

映画の1984年当時と今を比較すると、バンクーバーもかなり高層建築物が増えていることが、BCプレイス・スタジアムがあまり見えなくなっていることなどからも分かります。

しかし、おもしろいことに、この映画から40年近くが経とうとしている現在も、この路地裏(Blood Alley)の映画と同じ場所にゴミ箱は存在し続けており、Googleのストリートビューでも確認できます。

このラストシーンの見所・解説

映画冒頭のやり返し

この最後のシーンは、映画の冒頭のほうで、主人公バスチアンが「いじめっ子3人に追いかけられ、ごみ箱に投げ込まれてしまう」というシーンの「やり返し」となっています。

この冒頭のシーンのロケ地も同じ場所で、

  1. Cambie St × Water St の交差点あたりで バスチアンといじめっ子3人が出くわし、
  2. Cambie St を南へバスチアンは逃亡、
  3. すぐ左折して Blood Alley(Trounce Alley)に入ったところで いじめっ子3人に追いつかれ、ゴミ箱にインされる
  4. ゴミ箱から出てきたバスチアンはBlood Alley東端のCarrall St(キャロール・ストリート)に出てきたところで、再び いじめっ子3人に見つかって追いかけられ
  5. 観光名所となっている有名なGassy Jack statue(ギャッシー・ジャックの像)の前を走り抜けて、本屋に飛び込む

といった流れになっており、最後はこの冒頭のシーンの「リベンジ」仕様となっています。
ネバーエンディングストーリーのロケ地マップ
『ネバーエンディング・ストーリー』は、この「バンクーバー発祥の地」とも言われているGastown(ガスタウン/ギャスタウン)が、ロケ地としてふんだんに使われていました。Gastownは古い町で、とにかく建物がレンガ・レンガしているのが特徴です。

本屋さんのロケ地は不明

この映画のすべての源となる本があった本屋さんは、上のシーンの流れで見る限り、このGassy Jack statue(ギャッシー・ジャックの像)があるMaple Tree Square(メイプル・ツリー・スクエア)の一角にあるはずなのですが、本屋さん内部の実際のロケ地は不明です。
一部、ネット情報では、バンクーバーの、
  • MacLeod's Books・・・455 W Pender St, Vancouver, BC
  • Hotel Europeの1Fのお店・・・43 Powell St, Vancouver, BC
を、『ネバーエンディング・ストーリー』の本屋さんとしているものがありますが、店の中からの景色や窓の形が、映画のロケで使われた本屋のものと一致しません。(バスチアンが逃げ込んだ本屋のドアから見える景色に一致する場所がギャスタウンには見当たりません。ちなみにそのドアのシーンの外には、「GASTOWN・・・AUCTION」や「HOTEL」といった文字は確認できますが、完全に一致するロケーションが見当たりません。)

原作との違い「いわくつき」のシーン

このラストのファルコンがバンクーバー上空を飛ぶシーンは、原作であるミヒャエル・エンデの分厚い本『はてしない物語』とは大きく違っており、原作者と映画製作者との間に確執を生み、訴訟にまで発展することになりました(裁判の結果は原作者の敗訴)。

このシーンは、ハリウッド映画特有のハッピーエンディング仕様に変えられ、映画自体は大ヒットし、歌手リマール(Limahl)が歌う同名の主題歌『ネバーエンディング・ストーリー』も大ヒット。ジョルジオ・モロダーのインストルメンタルのオリジナルサウンドトラック曲とともに、今でもいろいろな番組のBGMとして使われています。

また、西ドイツとアメリカ合作ということで、キャラクターのデザインや世界観が、ふつうのハリウッド映画とは少し違う欧州独特な雰囲気になっているところが、この映画の魅力の1つとなっています。

【悲報】犬にしか見られていない件

このファルコンとバスチアンが飛ぶラストシーンを調べてみようと、英語で「Never Ending story flying」と検索してみると、以下のような検索推奨キーワードが並列されます。
これは、「Never Ending story flying」と合わせて次のようなキーワードで検索している人が多いということを意味しているのですが、dog(犬)という単語が目立ちます。ファルコンはdragon(龍・竜)なのですが、多くの人が「犬」「飛ぶ犬」と勘違いしていることが検索結果からうかがえます。

確かに劇中、ノア・ハザウェイ演じるアトレーユがナデナデもふもふ するシーンなどがあり、犬としか理解していない人がいるのもうなずけます。

この辺りも前述の通り、原作者のミヒャエル・エンデのイメージと違っている点で、原作者は中国の伝説に登場するようなウロコのような外皮の典型的な龍にしたかったそうですが、映画版ではモフモフのワンコ調になっているところがおもしろい点です。後にも先にも、こんなワンコみたいな龍(ドラゴン)が映画に登場することはないかもしれません。

なぜこんな犬みたいになったかといえば、製作者らの趣味もありますが、当時は拙い合成はあったもののCGなどなく(VFXではなくSFXと言われていたい時代)、基本すべて人が動かしていたので、このような仕掛けの龍になったものと考えられます。

【悲報】美少年俳優の「あるある」

1980年代、1990年代の映画では美少年ブームがあり、この『ネバーエンディング・ストーリー』に登場したアトレーユ役のノア・ハザウェイ(Noah Hathaway)やバスチアン役のバレット・オリバー(Barret Oliver)、『スタンド・バイ・ミー 』のリヴァー・フェニックス(River Phoenix)、『ターミネーター2』のエドワード・ファーロングなどが人気でした。

しかし、アトレーユ役のノア・ハザウェイは現在は体はかなり鍛えられ引き締まっているものの全身タトゥーだらけ、バスチアン役のバレット・オリバーはフェイドアウトして長い髭の世捨て人のような出で立ちになり、リバー・フェニックスは亡くなってしまい、エドワード・ファーロングもあんな感じになってしまい・・・という美少年スターの「あるある」に帰結することとなりました。

『ネバーエンディング・ストーリー』の出演者では、幼心の君(女王)を演じたタミー・ストロナッハ(Tami Stronach)は、今も健全さを保っているように感じます。

カナダ・バンクーバーの今昔、美少年・美少女の今昔を楽しめる。そんな映画が『ネバーエンディング・ストーリー』です。

「ネバーエンディング・ストーリー」の意味

「ネバーエンディングストーリー」で検索してみると、「ネバーエンディングストーリー 意味」で検索している人が多いことがGoogleの「他のキーワード」から分かります。映画「ターミネーター」もそうですが、結構、簡単なカタカナ英語でも分からない人は多いようです。
→参考:ターミネーターの意味・漢字・3つに分解

改めて「ネバーエンディングストーリー」の意味を説明してみると、以下の通りとなります。

ネバーエンディングストーリーを英語で書くと、

Never Ending Story
と3つの単語から成り立っています。

それぞれの単語の意味は、

①Never 「決して~ない」

②Ending 「終わること」

③Story「物語」

つまり「決して 終わること がない 物語」

「果て がない 物語」

「はてしない物語」


という意味になります。

前述の通り、『ネバーエンディング・ストーリー』の原作はミヒャエル・エンデの『はてしない物語』(英題:Never Ending story)↓が原作です。 ちなみに市販されているこの本の表紙にはアウリン(蛇の紋章)は付いていません。

タイトルに掛けられた意味としては、実際のあらすじ(内容)からも分かるように、『はてしない物語』をいう本を読んだ子どもが、その本の中の世界「ファンタージエン」に取り込まれて、主人公になっていき新たな物語がつむがれ・・・そしてまた次にその本を手にして読んだ子どもが新たな主人公として引き継がれていき、永遠に終わることなくそれが続いていく・・・という意味で、『はてしない物語』(ネバーエンディング・ストーリー)というタイトルになっています。

子どもの「想像力(創造力)」がある限り永遠に物語は続き、想像力が枯渇した世界を「虚無」として(ブラックホールのように)危機的にこの『ネバーエンディング・ストーリー』は描いています。

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