映画セブン(se7en)の箱と盛りすぎ鉄塔の荒野

ロケ地 洋画

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映画セブン-7つの大罪

デヴィッド・フィンチャー監督、 ブラッド・ピットとモーガン・フリーマン主演の大ヒット映画『セブン』(Seven "SE7EN"、1995年)は、CG(VFX)は使っていなさそうな映画ですが、意外なところに使っていたことがロケ地を見てみると分かります。

エンディングの箱と盛りすぎ鉄塔の荒野

Film Location(ロケ地)


映画『セブン』(SE7EN)のエンディングの例の箱が届いた場所は、荒野なのでピンポイントな場所の特定は難しいのですが、その現場に至る直前の道路の場所はピンポイントで特定できます。上の座標の位置です。
映画セブンのロケ地
道路、というか畦道の形状と2つの鉄塔、電柱などすべてが一致します。

例の箱が届き、ミルズ刑事が撃った場所は、上の座標の道路から無舗装の脇道へ少し入ったところです。

この辺り一帯はソーラー発電所になっており、そのため、荒野なのに鉄塔が多いわけです。その鉄塔を映画の雰囲気にうまくいかして撮影されています。

鉄塔が盛り過ぎな件

但し、上の座標の場所をストリートビューでよく見ると、映画ほど現実には鉄塔が存在しないことが確認できます。
映画セブン・エンディング

映画『セブン』の中では異様に鉄塔が多く、不気味で奇怪な雰囲気を醸し出していましたが、実際の場所は、確かに鉄塔はあるものの、間隔はスカスカで、映画ほど密ではありません。

つまり、不気味な雰囲気づくりのために、CG(VFX)で鉄塔をかなり盛っていたことが分かります。

鉄塔全景が映っているシーンは一瞬なのですが、すごく細かいところに、この映画『セブン』は妙にこだわって作っていたことがうかがえます。

この映画の不気味さに貢献していた「よく考えると普通ではない」妙なこだわりは、至るところに見られますが、上述「鉄塔」以外にも、例えば以下の2つのシーンにも現れています。

ロサンゼルスなのに大雨

この『セブン』という映画、映画の前半は数日にわたってずっと雨が降り続けています。それも結構な土砂降りです。

しかし、ロケ地はアメリカ西海岸の、カラッとした天気で有名なロサンゼルスです。

ロサンゼルスは「1年365日中330日ぐらいは晴れている」と言われるほど晴天に恵まれた気候です。

雨が降らないから「映画の撮影に向いている」ということで、映画スタジオが集中し、映画の都ハリウッドがこの地に誕生したわけです。

そのロサンゼルスの売りである「爽やかな晴天」「開けた青空」を、全否定するがごとく、執拗に大雨が降り続け、この『セブン』特有の、陰湿な不気味さを演出しているわけです。

街頭でのロケの為、広範囲にあれだけの大雨を降らせ続ける撮影は、さぞ大変だったことでしょう。さすがにエンディングの荒野で雨を降らせるのは難しかったのか、雨が担ってきた陰気さと不気味さの演出という役割は、エンディングでは鉄塔が代わりを務めています。

ある意味、『セブン』の見所の1つは、「ロサンゼルスなのに大雨」と言えるかもしれません。大雨にもこだわりが見られる映画『セブン』です。

緑のバンカーランプ

映画『セブン』の中で、これまた異常な数が登場して、この映画の雰囲気づくりに貢献したモノの1つに、緑のバンカーランプがあります。

モーガン・フリーマン演じるサマセット刑事が図書館で「七つの大罪」について調べるシーンです(下図)。

このシーン、前述の「密な鉄塔」や「大雨」とは対極的に、緑のバンカーランプを大量に登場させ、かつBGMにバッハの管弦楽組曲第3番ニ長調を流し、荘厳で品格ある雰囲気を醸し出しています。バンカーランプに至っては、夜間の図書館で誰もいないのに、すべてのバンカーランプが点灯したままで、製作者の意図が感じられます。

対極的な描写をすることで、発生している事件の陰気さと不気味さをさらに際立たせる効果があります。

この「図書館」として登場した建物ですが、ふだんは図書館ではありません(ロケ地は以下の建物です)。つまり、撮影のためだけに、あれだけの本棚、本、そして無数のバンカーランプを持ち込んだということになり、心理的にバンカーランプが与える視覚効果を、製作者はかなり狙っていたことがわかります。

『セブン』の図書館=『ゴースト/ニューヨークの幻』の銀行

  • A.G. Bartlett Building(the old Bank of America Building)
  • 650 S Spring St. Los Angeles, CA 90014 U.S.A.
  • 座標:34.044618607153126, -118.25182618408748
  • The Majestic Downtown
    URL:https://themajesticdowntown.com/
映画セブンとゴーストの共通点

映画『セブン』で図書館として使われたこの建物は、実は映画『ゴースト/ニューヨークの幻』(Ghost、1990年)で銀行として使われていました。

その他、ジム・キャリーの『マスク』や、『スパイダーマン2』など数々の映画のロケ地として使われているこの建物は、昔は「バンク・オブ・アメリカ」が入っていましたが、現在は、「The Majestic Downtown」として映画の撮影や結婚式場などイベント会場として貸し出されています。

映画のロケ地をチェックすると、そのロケ地に本来ないものが映像に映り込んでいるなど、製作者の隠れた努力や意図、他の映画との関連性など思わぬ発見があり、映画を2倍、3倍楽しむことができます。

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