ターミネーター3【クリスタル・ピーク】の怪

ターミネーター ロケ地

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ターミネーター3のクリスタルピーク

映画『ターミネーター3』(Terminator 3: Rise of the Machines、T3、2003年)のエンディングはクリスタルピークという場所で終わります。

This is John Connor at Crystal Peak.
こちらはクリスタルピークのジョン・コナーだ。

と無線で応答し、「未来のジョン・コナー」が始まった場所でもあります。

ところで、このクリスタルピークは実在するのでしょうか?

T3の中で語られていたクリスタルピークは・・・

映画T3の中では、クリスタルピークについて、以下のように語られています。
Crystal Peak. You have to get to Crystal Peak.
クリスタル・ピークだ。クリスタルピークに行くんだ。
A hardened facility in K, mountains.
シエラネバダ山脈にある強化防護施設だ。

Fifty-two miles northeast bearing 0.5degrees.
北東0.5度の方角、83kmの位置にある。

実在するクリスタルピークは・・・

シエラネバダ山脈とのことで、どうやらカリフォルニア州に実在する、以下のシエラネバダ山脈のクリスタルピークを指しているようです。


T3の中で、ロバート・ブリュースター将軍がいたのは、Edwards Air Force Base(エドワーズ空軍基地)のようなので、空軍基地とクリスタルピークは、現実には以下のような位置関係にあります。
スカイネット空軍基地からクリスタルピークへの行き方
Crystal Peak, Sierra, CA, USA to Edwards AFB, CA, USA - Google Maps

T3の中で映っていたクリスタルピークは・・・

上記の現実世界のクリスタルピークの風景を確認してみると、映画の中で映っていたクリスタルピークと、まったく違うことが分かります。
映画の中のセリフとも方角や距離など位置関係も異なります。

映画の中のクリスタルピークは砂漠地帯にありましたが、現実世界のクリスタルピークは木々も生い茂っている青々とした(積雪に覆われていることもある)山脈であり、映画の中のロケ地とは見た目もまったく違います。

このシエラネバダ山脈は、2022年12月末~2023年1月に、カリフォルニア北部に大水害をもたらした「大気の川」の水源でもあり、T3の映画の中のような砂漠地帯とはまったく異なります。

ではT3の中でクリスタルピークとして登場したロケ地はどこなのか?というと、以下のような情報があります。

  • Filming also took place at Big Bend National Park in Texas.
    https://en.wikipedia.org/wiki/Terminator_3:_Rise_of_the_Machines#Filming
  • Big Bend, Texas, USA
    https://www.imdb.com/title/tt0181852/locations

細かい場所やどのシーンかは不明ですが、テキサス州のBig Bend National Park(ビッグベンド国立公園)で撮影の一部が行われたことを示唆する情報がいくつかありました。

但し、Big Bend National Park(ビッグベンド国立公園)にある山々を調べてみましたが、映画の中で登場した特徴的な山の形に合致する山が見当たりませんでした。

しかし、違う場所に、T3の中に登場したものに似た山を見つけました。

おそらくですが、
  1. クリスタルピークの強化防護施設の出入口付近の外観は、テキサス州のビックベンド国立公園で撮影し、
  2. 背後にある山々は、グアダループ山地国立公園のエル・キャピタンで撮影したもの
の、1と2の2つを合成したのではないか、と見られます。
(施設内部はさらに別の場所に作ったセット。)

後半に、クリスタルピークの手前側(この強化防護施設の出入口周辺)がT-850の水素燃料電池で山全体が爆発するシーンがあるため、CG(VFX)がこの出入口のシーンにからんでいることは間違いありません。 よく見ると遠景と近景にズレがあり、CGっぽい感じは否めません。

T3クリスタルピークの怪

以前、こちら黒歴史化がひどいターミネーター3の失敗集(映像編)にも書いたのですが、T3のクリスタルピークのシーンには、その他にも以下のような怪奇現象が発生しており、見所となっています。

入口がまったく壊れていない

このクリスタルピーク基地(強化防護施設)ですが、T-XとT-850がそれぞれヘリコプターで突入して到着します。その際、出入口は激しく損傷し、大きな穴が開きます。
映画ターミネーター3のミス

しかし、後のT-850の水素燃料電池で爆発する直前、施設の外観が一瞬、映りますが、その時、出入口はまったく壊れていない(上図)いう怪奇現象(撮影上のミス)が発生しています。

飛行機が勝手に動いている

さらに、そのシーンでは、ジョン・コナーとケイトが載って来た飛行機が、当初到着した場所から後方(左)に場所が移動している、という怪奇現象が発生しています。

T-XとT-850のヘリコプターでの到着時の爆風で勝手に飛行機が動いた、という解釈もできなくもありませんが、しかし、そのわりには、前述の通り、出入口は無傷であり、爆風が飛行機まで届いた、という感じはまったくしません。

飛行機の機体番号がコロコロ変わる

このクリスタルピークまでジョン・コナーとケイトが乗ってきた飛行機の側面の機体番号はN3035Cでした。

しかし、次の飛行機が空を飛んでいるカットでは、機体番号はN3973Fへ変わってしまっています。
ターミネーター3の飛行機番号
そのフライトの後、クリスタル・ピーク基地へ着陸時の機体番号は、またN3035Cへもどります。


(離陸前)N3035C → (飛行中)N3973F → (着陸後)N3035C


・・・という怪奇現象が発生しています。

つまり飛んでいるシーン用の飛行機と、地上用の飛行機がそれぞれ別の機体を使ったという撮影上のミスが生じています。

影の向きが違う

続いて、飛行機でクリスタル・ピーク基地へ着いたジョンとケイト。その時の飛行機とジョンらの影を見ると、画面のこちら側へ向かって伸びていることが確認できます。

しかし、次の基地の扉を開けたシーンでは、影は外から中のほうへ向かって伸びています。

これは撮影場所を変えたか(基地内はセットか)、もしくは飛行機到着のシーンから、基地へ入るまでのシーンを撮影するまで、数時間が経過したことがうかがえます。

おそら原因は前者のほうで、クリスタルピークのあの基地は実在してませんので、施設内はすべてセットだったことによる、撮影上の光の角度のミスが生じた可能性が高いです。

以上のように、ターミネーター3のクリスタルピークだけでも、たくさんの「見所」が存在しています。

今一度、ターミネーター3をご賞味されてみてはいかがでしょうか。

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