I'll be back.
(アイルビーバック/また来る。/もどって来る。)
は、説明する必要がないほど有名な、ターミネーター・シリーズの名言集の1つであり、また、シュワちゃん(アーノルド・シュワルツェネッガー)の代名詞、持ちネタともなっています。
シュワちゃんが映画の宣伝キャンペーンで訪れると、必ず、
前に来た時に、I'll be back.(また来る)と言っただろう?だからまた来たよ。
というのがワンパターンになっており、これは日本だけでなく、どこの国に行っても同じことを言っています。
そんなターミネーター映画の名言"I'll be back.(アイルビーバック)"ですが、実は、ターミネーター全作品に登場したわけではありません。
I'll be back.
セリフ登場の有無
セリフ登場の有無
T1 | T2 | T3 | TSCC | T4 | T5 | T6 |
---|---|---|---|---|---|---|
〇 | 〇 | △ | △ | 〇 | 〇 | 〇 |
- 〇・・・そのままの文字列でその名言が登場する。
- △・・・類似の文言がオリジナルを意識して登場する。
- ×・・・その名言や類似の言葉は登場しない。
以下、ターミネーター各作品における、"I'll be back.(アイルビーバック)"およびその変形型(応用型)の登場シーンをまとめました。
ターミネーター1
ターミネーター・シリーズにおける"I'll be back."の起源は、映画『ターミネーター』(The Terminator / T1 / 1984年)の次のシーンです。ロサンゼルスのWest Highland Police Station(ウェスト・ハイランド警察署)にて保護されているサラ・コナーの襲撃目的でやってきたシュワちゃんT-800が、警察署の受付で、
I'll be back.(また来る。)
と発します。直後、有言実行で警察署に車で突っ込む形で「また来る」を実行します。
これがターミネーターにおける、またシュワちゃんの代名詞と言える"I'll be back."のすべての始まり(起源)となります。
ターミネーター2
映画『ターミネーター2』(Terminator 2: Judgment Day、T2、1991年)では、 サイバーダイン社脱出時、SWAT部隊を追っ払って、車を調達するために外に出る際 シュワちゃんT-800がサラとジョン・コナーに向かって、I'll be back.(もどってくる。)
と発し、車を調達して文字通り戻って来ます。
しかし、この時、ある撮影上のミスが発生します。
→詳細:アスタラビスタ、ベイビーは不可能なターミネーター2
ターミネーター3
映画『ターミネーター3』(Terminator 3: Rise of the Machines、T3、2003年)では"I'll be back."と完全に一致する文字列のセリフは登場しません。代わりに主語や時制を変えた変則系が2回、登場します。
She'll be back.
1回目は、空軍基地でケイトの父 ロバート・ブリュースターがT-X(クリスターナ・ローケン)に撃たれた後、シュワちゃんT-850がT-Xをランチャー(Sage Control SL-6 Rotary Launcher)で撃ち、換気ダクトのようなところに落ちていったT-Xをのぞき込んで、She'll be back.
(彼女/T-Xはもどってくる。)
と、シュワちゃんT-850がこのセリフを言います。
主語をshe(彼女)に変えた、"I'll be back."の変化形です。T-Xはマシーンなので"It"でもいいはずなのですが、「人」扱いし、さらには"she(彼女)"と女形にして茶化してあるところがミソです。
I'm back.
2回目は、クリスタルピークでシュワちゃんT-850がヘリコプターで遅れてやってきた時に、ヘリコプターから出てきて、I'm back.
(もどってきた/ただいま。)
と、"I'll be back."の現在形のセリフを吐きます。
このシーンは、かなり溜めて、ドアップでこのセリフを発していることから、"I'll be back."をかなり意識してのセリフであることは明らかです。
ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ
ターミネーターのTVシリーズ『ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ』(Terminator: The Sarah Connor Chronicles、TSCC、2008~2009年)では、"I'll be back."のそのままの文字列は登場しません。しかし、T3同様、変化形で"I'll be back."を意識したセリフが登場します。
We are back.
シーズン1第1話で、マイルズ・ダイソン邸を訪れたサラ・コナーとジョン・コナー、そしてキャメロン。マイルズ・ダイソンの妻タリッサに状況説明する際に、キャメロンが、We are back.(私たち、戻ってきたの。)
と、目を青く光らせながら、このセリフを発します。
このシーンも「溜めて」発しているので、"I'll be back."を意識してのセリフであることが分かります。
目をわざと光らせたのは、自分がターミネーターであることを示すためです。
これはT2において、T-800が、自分の手の皮を剥いで機械を見せることでマイルズ&タリッサ・ダイソンを説得させたことへのオマージュとなっています。
ちなみにサラ・コナー・クロニクルズ全31話を通じて、キャメロンの目が青く光ったシーンは3回あります。
- シーズン1第1話冒頭のイメージ(プロモーション)映像でアイソトープ銃を構えた際
- シーズン1第1話マイルズ・ダイソン邸にて"We are back."と言った際
- シーズン1第6話で、ターミネーターT-888(VICK)のエンドスケルトンをテルミットで燃やす際、炎でエンドスカルが透けて
→詳細:ターミネーターをテルミットで燃やした小屋(納屋)
It won't be back.
シーズン2第8話にて、ターミネーターT-888・クロマティの襲撃を受けた後のメキシコの警察署にやってきたデレク・リースが、かろうじて生き残っている警察官に向かって、It won't be back.(ヤツはもどってこないだろう。)
と発します。
ターミネーターを「人」扱いすることを嫌っているデレク・リース(ブライアン・オースティン・グリーン)ならではのセリフで、T-888クロマティのことを、"he"ではなく"it"と「モノ」扱いにしていることがポイントです。
また、このセリフには、「(我々がヤツを始末するから)メタルはもどってこない。安心しろ。」という意味も含まれています。
この後、メキシコな教会での「銃撃戦」にて、実際にクロマティは始末されます。
ターミネーター4
映画『ターミネーター4』(Terminator Salvation、T4、2009年)では、ジョン・コナーがスカイネットの基地に向けて出発する際、人類抵抗軍の基地にて、ジョン・コナーがケイトに向かって、I'll be back.(もどってくる。)
と発します。
ターミネーター・シリーズで、ジョン・コナーが"I'll be back."と言ったのは、これが最初で最後です。
→関連記事:ターミネーター4どのエンディングが好き?
ターミネーター5・ジェニシス
映画『ターミネーター: 新起動/ジェニシス』(Terminator Genisys、T5、2015年)では、T-3000とのヘリコプターチェイスの最中、PopsことシュワちゃんT-888が、I'll be back.(もどってくる。)
のセリフを残して、自らをT-3000のヘリコプターに激突させて、墜落させます。
ちなみにこのセリフを聞いたサラ・コナー(エミリア・クラーク)が、
What?(はっ?)
と答えます。ネット上では、この"What?"のニュアンスが分からなかった人がいたようですが、この"What?"は、ヘリコプターの中にいてどこにも行き場もないのに、"I'll be back."(=もどっくる=つまり、どこかに出かける。)と言ったので、「は?出かけるってここからどこに行くっていうのよ!?」という意味が込められた"What?"です。
ターミネーター6・ニューフェイト
映画『ターミネーター: ニュー・フェイト』(Terminator: Dark Fate、T6、2019年)では2つの"I'll be back."系列の言葉が登場します。I'll be back.
1つ目は、サラ・コナーが颯爽と登場してロケットランチャー(M72 LAW)等をぶっぱなした後、グレースとダニーに向かって、I'll be back.(もどってくる。)
と発します。完全にネタとして言っているセリフです。
I won't be back.
しかし、そのサラ・コナーの"I'll be back."よりも重要なのが、T-800カールが一緒に生活していた母子に向かって、I won't be back.(もう自分はもどってこないだろう。)
という、"I'll be back."の否定形のセリフ "I will not be back."と言って別れ告げたことです。
これは事実上、シュワちゃん(アーノルド・シュワルツェネッガー)がターミネーター映画にはもう出演しないことを示唆したものと見られています。
まとめ
以上の通り、"I'll be back."(アイルビーバック)はとても短いセリフですが、各ターミネーター作品によっていろいろなニュアンスを託して登場させていることが分かります。ターミネーターの名言の中で一番有名な"I'll be back."(アイルビーバック)ではありますが、実はターミネーター・シリーズにおいては、この"I'll be back."よりもコンプリートされている(頻出度が高い)名言がまだあります。
それについてはまた別途、まとめていきます。