T2で完結,スープに小便【ジェームズ・キャメロン語録】

ターミネーター

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ターミネーター2で完結

ターミネーターの続編製作関与に関して、これまでのジェームズ・キャメロン語録をいくつかピックアップしました。

結論からいうと、「ターミネーターはターミネーター2(T2)で完結した。」というのが、ジェームズ・キャメロンの本音のようです。

T2で完結,シリーズは「スープに小便」by ジェームズ・キャメロン

2010年2月のジェームズ・キャメロンとMTVとのインタビューから、映画「ターミネーター」シリーズに関するジェームズ・キャメロン語録。
  • インタビュー動画:http://www.mtv.com/videos/?id=1632033
  • 記事:http://www.mtv.com/news/2435586/terminator-series-has-run-its-course-for-creator-james-cameron-the-soups-kind-of-been-pissed-in/
    ( https://archive.is/DAIJZ )

T2でジェームズ・キャメロンと脚本を共同執筆したCo-WriterのWilliam Wisher Jr.(ウィリアム・ウィッシャー)が、T3、T4の失敗を受けて2010年1月にT5以降の脚本執筆にやる気になっていたことについて、J.キャメロンいわく、2010年2月のインタビュー↓
JAMES CAMERON:I heard something about that, but I haven't talked to [Wisher] about it. But that's cool・・・I have stepped so far away from the Terminator universe. I know what you know at this point. I'm happy with that. I made a decision a way's back to just let it have its life, you know?
From my perspective, it's run its course and I don't know what else to say that hasn't been said.
Plus, frankly・・・ the soup's kind of been pissed in a little bit by other filmmakers, so I don't have any personal desire to go back to it. So I certainly wouldn't want to be a dog in the manger and disallow my friends from making a little money off it. Why would I do that?
(ウィッシャーが続編の脚本を作ろうとしていることは)本人と話したことはないけど風のうわさで聞いたよ。ま、それはいいことじゃないかな。でも僕はターミネーターの世界からはもう遠のいた。だから現段階ではあなたが知ってることと私が知ってることは同じだよ(=つまり特に何も新ネタはないよ)。

それに(ターミネーターの世界から遠のけたことは)ハッピーだよ。私はもうターミネーターはそっとしておきたくて身を引くことに決めたんだ。私の観点から言えば、ターミネーターはもう完全にコースを走りきっており(=すでに完走した、つまりT2で完結しており)、だからもうターミネーターを通して伝えたいことはないよ。

それに・・・正直に言うと・・・他のフィルムメーカーによってスープは小便をちょっとかけられてしまったから(つまり「スープ」=「T1,T2の原作が持つ世界観」は「フランチャイズ(T3以降の作品)によって汚された」=「小便かけられた」から)、もうターミネーター映画製作にもどりたいという個人的欲求はないよ。

それに僕はターミネーター・フランチャイズから小銭を稼ごうとする友人らを許さないような「意地の悪い人」(dog in the manger=自分に用がないものなのに、それを他人が使おうとすると邪魔する番犬)にはなりたくないんだ。なんで僕がそんなことしなきゃならないんだい?

ちなみにWilliam Wisher Jr.(ウィリアム・ウィッシャー)とは、T1とT2にカメオ出演した脚本家で、1984年と1994年にターミネーターT-800に遭遇してしまった人を演じています。
→詳細:ショッピングモールの怪【ターミネーター2】

1.ターミネーターはT2で完結

上のインタビューで重要なポイントは2点。

1点は、it's run its courseとのことで、ジェームズ・キャメロンにとって、「ターミネーターはT2で完結している」ということ。

ターミネーターにおいて、他に特には何も言いたい(表現したい)ことはなく、ターミネーターの世界から退いていることはハッピーだとのこと。

ジェームズ・キャメロンはこのインタビュー以外でも「ターミネーターは2で完結している。」と言い続けているので、これは心の底からの本音なのでしょう。
→詳細:ターミネーターがT2で完結した理由

2.ターミネーターはスープに小便状態

もう1点は、現状、ターミネーター3以降のターミネーター・フランチャイズは、(ジェームズ・キャメロンにとって)「スープに小便をかけられたみたいだ」(the soup's kind of been pissed in a little bit by other filmmakers)とのこと。他の映画製作者によってターミネーターの世界観がグッチャグチャになっていて、ターミネーターの製作に戻る気にもなれない、とのこと。

ジェームズ・キャメロンが引用しているのは“Pissing in the soup”「スープに小便をかけるようなもの」というポーランドのことわざ。
「よい状態であるもの(スープ)」であったにも関わらず、さらに手を加えて逆に悪化させてしまうこと。余計なことをして台無しにしてしまうこと。蛇に足を書き足してしまう「蛇足」に類似する熟語(ことわざ)。

続編は作る必要性がないから作らない

また、2010年8月には、ジェームズ・キャメロンは以下のようにも述べています。

James Cameron Put Titanic Ahead of Terminator

JAMES CAMERON:The only thing to me that has any kind of franchise life to it at this point is Avatar. With Titanic we are going back and doing it in 3D・・・But the other stuff I don’t feel the need. I had a choice when I was finishing Titanic to do another Terminator film and it just didn’t feel right. So I’ve moved on from that.

現時点で私がフランチャイズの続編で興味があるのは「アバター」だけ。「タイタニック」は今すでにある映像だけを3D化する予定。しかし他の作品は(続編製作の)必要性を感じない。「タイタニック」の撮影終了後、映画版「ターミネーター」の続編を作るという選択の余地があったが、私は作るべきとは感じなかった。だから私は「ターミネーター」からは離れたよ。
http://www.showbizspy.com/article/210472/james-cameron-put-titanic-ahead-of-terminator.html

ポイントは、多忙だからターミネーターの続編を作らないのではなくて、続編を作る必要性を感じなかったから作らない、という点です。やはりジェームズ・キャメロンの中では、ターミネーターはT2で完結しているのです。
→詳細:ターミネーターがT2で完結した理由

ターミネーター権利はお金の無駄

さらには2010年1月には以下のようにも述べています。

Cameron:"Terminator" Rights Waste Of Money

JAMES CAMERON:People ask me why I didn't want to get involved in trying to re-capture the rights to `Terminator', for one, who wants to spend $50 million on the rights, and then another $25 million or $30 million on actors? By the time you get to it, how much do you actually have to make the movie? That's robbing the audience.

ジェームズ・キャメロン:「みんな なぜ私がターミネーター権利を再編することに関わらないのか聞くけど、誰が5000万ドル(約42.5億円)も権利に、そしてさらに2500万ドル~3000万ドル(約25.5億円)も俳優のために使いたがるというんだい?そんなに事前に費用がかかっていたら、1本 映画を作るのに一体いくら必要だというんだ?観客に対する詐欺みたいなもんだよ。」
http://www.koco.com/r/22117521/detail.html
上記のインタビューとまったく同じようこと(3000万ドルの出演料の皮肉)をアーノルド・シュワルツェネッガーが「T3に出演したい」とキャメロンに相談した時にも返答しています。
Nothing less than $30 million.
T3は出演料以外に何も得るものはないよ。
と。

ジェームズ・キャメロンもその実力以上に高騰しすぎているターミネーター商標権利と、高すぎる俳優陣の出演料に警笛を鳴らしています。
数字のみならずストーリーを構成する要素からも明らかにターミネーター3の時点でかなり無理が生じ破綻しているのと、赤字体質の症状が出ていることは、経営者の観点からみれば明確に見て取れていたのでしょう。

この高すぎる製作費から、ジェームズ・キャメロンは「ターミネーター・ニューフェイト」がコケることも薄々予感しており、「コケたら(ニューフェイトの)続編はないよ。」と作る前から予防線を張っていました。
→詳細:ターミネーター:ニュー・フェイト続編中止の理由
事実、やはりニューフェイトは大コケしたので、ジェームズ・キャメロンの続編製作のやる気は、ますます失われたことが、これら長年のインタビューを振り返れば分かります。

まとめ

まとめると、遠慮がちに遠まわしの表現をしつつも、ジェームズ・キャメロン特有のウィットに富んだ皮肉を効かせながら、以下のことを暗に示唆しています。
  • 「ターミネーター」はT2で完結した。
  • にも関わらず T3が作られ、T3以降は原作(T1,T2)を台無しにしている。
  • 懲りない金儲け主義者が欲に走り関連作品を製作しようとしている。
  • 製作費が高すぎるので、続編を作っても赤字になる(だからターミネーター権利にお金を払うのは無駄)

【追記】

中国企業(腾讯)に買われてしまった映画会社(中国テンセント株主のスカイダンス社)からの圧力に根負けしたのか、大人の事情があったのか、魔が差してしまったのか、ジェームズ・キャメロンは「ターミネーター・ニューフェイト(Terminator Dark Fate)」の「製作」という形で中途半端に関わってしまいました。「監督」も「脚本」も担当しておらず、現場にもまったく足を運んでいないことからも、あまりやる気はなかったことがうかがえますが、結果的には大惨敗、ターミネーター史上一番の大コケに終わり、キャメロンの本音である「ターミネーターは2で完結していた」を皮肉にも裏付ける結果になりました。T1,T2を台無しにしてしまい、「スープに小便」どころか大〇をぶちこんでしまった形です。

ちなみにジェームズ・キャメロンが「製作総指揮」または「製作」で携わったものに成功作品はありません(ハズレばかり)。「脚本」と「監督」を担当して、かつ現場で事細かに指示を出すことで、初めて完璧主義的な「ジェームズ・キャメロン」作品が仕上がるのでしょう。

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