ジョン・コナーが乗っていた
ホンダのバイク(XR 100)
ちなみに
母親サラ・コナーが乗っていたのも
ホンダのバイク(Elite 125)
ホンダのバイク(XR 100)
ちなみに
母親サラ・コナーが乗っていたのも
ホンダのバイク(Elite 125)
映画『ターミネーター2』(Terminator 2: Judgment Day、T2)のショッピングモールといえば、Santa Monica Place(サンタモニカ・プレイス)で撮影されたことが有名ですが、実は2つのショッピングモールが使い分けられていたことは、日本ではあまり知られていません(後述)。
そのT2の劇中「GALLERIA(ガレリア)」という名称で登場するショッピングモールでは、摩訶不思議な現象が起こっていました。以下、発生順に解説していきます。
T-1000の変な銃声
このショッピングモールの従業員通路で、液体金属T-1000とシュワちゃんT-800が初対決します。その際、T-1000は、T-800に対して9mm口径の銃(ベレッタ/Beretta 92FS)を撃ちまくるのですが、その銃声がかなり「変」なことが巷で話題になっています。その変な銃声は、一般的な「バンバンバン」という感じではなく、
ピシュンピシュンピシュンピシュン・・・または、
ピュンピュンピュンピュン・・・という、まるでガスガンか光線銃か、はたまた縄跳びを跳んでいる時のような音を発しています。
この件、たまにネット上でも指摘されており、違和感を感じた人は多いようです。
日本人乱入
ちなみに、念のため書いておきますが、この時、T-1000に通路で一番最初に撃たれた人は、エキストラ出演した小峯隆生 氏です。小峯 隆生(コミネ タカオ)さんとは雑誌「週刊プレーボーイ」の元フリーの編集者。ラジオ「オールナイトニッポン」のパーソナリティも1980年代にやってました。雑誌のインタビューを通じて、ターミネーター1・2のジェームズ・キャメロンと意気投合。その縁でこの「Terminator2」や「True Lies」に端役で出演することに。
その小峰氏とジェームズ・キャメロン監督とのインタビュー本はこちら。↓ 小峯 隆生 (著), ジェームズ・キャメロン (著)の、映画を撮らずにいられないジェームズ・キャメロンへのインタビュー集。
瞬きをしない演技
さらにこのシーンでは「マシーン感(非人間感)」を出すために、T-1000を演じるロバート・パトリックは、銃を撃っている間、極力 瞬きをしないようにしているのが圧巻です。この「瞬きをしない演技」は後続作品「ターミネーター3」のT-Xや「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」の女型ターミネーター・キャメロンにも引き継がれています。ちなみにシュワちゃんT-800は、銃を撃つ際、けっこう瞬きをしています(→T1の人違いサラ・コナーを撃つ際など参照)。
→関連記事:ターミネーター1のサラ・コナーの家のその後
病院での銃声も変
尚、サラ・コナーが入っていたPescadero State Hospital(ペスカデロ警察病院)でも、T-1000が9mm口径の別の銃(Browning Hi-Power/ブローニング・ハイパワー)を撃ちまくりますが、その時の銃声も、上記と同じような不思議な音を出していました。違う銃、違うシチュエーションでも同じ銃声であることから、この変な銃声は、わざとこの音をチョイスして付けられていることがわかります。この映画の効果音担当者のご趣味、またはジェームズ・キャメロン監督のご趣味なのかもしれません。
すでに壁に穴が開いている
T-1000と第一回目の撃ち合いが終わった後、T-1000とT-800は取っ組み合いとなります。この取っ組み合いでは、最初に画面右側の壁にぶつかった後、今度は左側の壁にぶつかり突き破ることになるのですが、この左側の壁が、当たる前からすでに穴が開いているのがはっきりと確認できます。
蜂の巣になったシュワちゃんの革ジャンが一瞬で修復
そのT-1000の変な銃声を発する銃からの銃弾の雨を浴びて、シュワちゃんT-800の革ジャンは、文字通り「蜂の巣」状に穴だらけになります。しかし、取っ組み合いで壁を突き破ってブティックに乱入した際、なぜか革ジャンから穴が消えてしまっています。
この件については、こちら→T2シュワちゃんT-800革ジャンが液体金属並みの謎にまとめてあります。
人生で2度、T-800に遭遇した人
このショッピングモールのブティックから放り飛ばされたT-800が立ち上がる際、写真をバシャバシャ撮っているのが、カメオ出演しているT2の脚本家 William Wisher(ウィリアム・ウィッシャー)です。ウィリアム・ウィッシャーは、ターミネーター1(T1)でも警察官役でカメオ出演し、シュワちゃんT-800にパトカーを奪われ、警察無線で声マネまでされてしまった人です。声が妙に甲高いのが特徴的です。
つまり、劇中の設定上、この人は1984年と1994年の2回(10年越しに)、T-800に遭遇したことになります。
そしてこの時撮った写真はロサンゼルス警察とFBIに提供され、「1984年と同じ奴が現れた」とサラコナーに提示する際に使われ、サラコナーが病院からの脱走を決行するきっかけとなりました。
これを考えると、『ターミネーター: ニュー・フェイト』のT-800カールが、延々とアメリカ国内で商売しながら家庭生活を営み続けるという設定は、かなり無理があることがわかります。→関連記事:T-800カールの矛盾【ターミネーター:ニュー・フェイト】
2階が2回の怪
T-1000とT-800がバトルしている間に、ジョン・コナーは非常階段から逃げていきますが、最初、3階(LEVEL3)から降りていき、まず「LEVEL2」と書かれた非常扉の前を駆け降りていきます。そして次にジョン・コナーが駆け降りるシーンでは、また「LEVEL2」と書かれた非常扉の前を駆け降りていきます。
つまり、ジョン・コナーは同じ階(「LEVEL2」)を2回駆け降りていた・・・降りても降りても「LEVEL2」である・・・という不思議な現象が発生していました。
なぜこのような現象が発生してしまったかというと、バトルが起きた階はLEVEL3(3階)で、そこから1階に駆け降りるシーンを水増しするとなると、階数が少なすぎて、2階部分を引き延ばすしかなかったため、と思われます。
但し、「まったく同じ映像」を使いまわしたわけではないので、「まったく同じ映像」を使いまわした以下の2作品、 よりかはT2は良心的と言えるでしょう。
別のショッピングモールへ瞬間移動
T2のショッピングモールのシーンは、実は以下の2つのショッピングモールが使い分けられていました。【ショッピングモール屋内】サンタモニカ・プレイス
- Santa Monica Place(サンタモニカ・プレイス)
- 1453 3rd Street Promenade #250, Santa Monica, CA 90401 U.S.A.
- 座標:34.01389970523343, -118.49394190997147
このショッピングモールの「屋内のシーン」が撮影されたのは Santa Monica Place(サンタモニカ・プレイス)です。駐車場でジョン・コナーがホンダのバイク(HONDA XR 100)に乗り、駐車場内をT-1000から逃げるシーンまでが撮影されました。
ちなみにこのシーン、T-1000演じるロバート・パトリックの足が速すぎて、リハーサルではバイクに追いついてしまい、ジョン・コナーの背中にタッチしてしまったことがあるそうです。T-1000がやたら足が速そうに見えるのも、伊達ではありません。
【ショッピングモール屋外】ノースリッジ・ファッション・センター
- Northridge Fashion Center(ノースリッジ・ファッション・センター)
- 9301 Tampa Ave, Northridge, CA 91324 U.S.A.
- 座標:34.23817463613535, -118.55727229442192
ジョン・コナーが屋内駐車場から外へ飛び出した瞬間から、このNorthridge Fashion Center(ノースリッジ・ファッション・センター)の敷地内と隣接する道路にロケ地が突然、切り替わります。土地勘がある人はかなり違和感を感じたはずです。道路や建物周辺が、まったくサンタモニカの雰囲気と異なるからです。 また、ジョン・コナーのバイクを走って追うT-1000の左上には、デパートのMacy's(メイシーズ)の看板と建物が映っており、道路に飛び出した後の背後にある山々も一致することから、ここがNorthridge Fashion Center(ノースリッジ・ファッション・センター)であることが分かります。
なぜロケ地を変えたのか
なぜ最初のサンタモニカ・プレイスからこのノースリッジ・ファッション・センターへロケ地を変える必要があったのかと言えば、おそらく、- サンタモニカはコテコテの観光地で交通量が多すぎて、道路での撮影が困難だった
- Northridge Fashion Centerのほうが、その後続の用水路のシーンのロケ地に近かった
等の理由によるものと思われます。
それを考えると、昼間のサンタモニカ・ピアでロケを敢行したサラ・コナー・クロニクルズはすごいかもしれません。→参考:ジョン・コナーが海に飛び込んだサンタモニカ・ピア
ノースリッジ地震
ノースリッジ・ファッション・センターは「ファッション・センター」という昭和な名前からも分かるように、昭和の1971年に建てられた古いショッピングモールです。その「古い」ということが仇になって、T2の撮影から3年後の1994年1月17日に発生したノースリッジ地震(Northridge earthquake)にて、このノースリッジ・ファッション・センターは、かなりのダメージを受けました。T2の画面に映り込んでいた立体駐車場などは崩壊状態です。
そのため、ショッピングモール全体を取り壊して、改めて作り替えたため、現在ではT2で見られる外観とはまったく異なっています。上の写真でも立体駐車場が2階から3階に変わっているのも、建て替えられたためです。
つまり、T2は、崩壊前の古いノースリッジ・ファッション・センターが映像に収められた貴重な資料映像にもなっています。
Sherman Oaks Galleria(シャーマン・オークス・ガレリア)?
一部のネット情報では、映画『コマンドー』で使われた Sherman Oaks Galleria(シャーマン・オークス・ガレリア/15301 Ventura Blvd Sherman Oaks, CA)にてT2も撮影された、との記載を散見しますが、具体的にT2のどのシーンがSherman Oaks Galleriaで撮影されたのか明示したものがなく、また、T2の映像を確認する限り、Sherman Oaks Galleriaに相当する映像も確認できないことから、「T2がコマンドーと同じ Sherman Oaks Galleriaで撮影された」というのは誤情報の可能性があります。
おそらくT2の劇中、ショッピングモールを「Galleria(ガレリア)」と表現したことから、「Galleria(ガレリア)」という文字を名前に含んでいるSherman Oaks Galleria(シャーマン・オークス・ガレリア)と誤認されたものと思われます。
一部のネット情報では、映画『コマンドー』で使われた Sherman Oaks Galleria(シャーマン・オークス・ガレリア/15301 Ventura Blvd Sherman Oaks, CA)にてT2も撮影された、との記載を散見しますが、具体的にT2のどのシーンがSherman Oaks Galleriaで撮影されたのか明示したものがなく、また、T2の映像を確認する限り、Sherman Oaks Galleriaに相当する映像も確認できないことから、「T2がコマンドーと同じ Sherman Oaks Galleriaで撮影された」というのは誤情報の可能性があります。
おそらくT2の劇中、ショッピングモールを「Galleria(ガレリア)」と表現したことから、「Galleria(ガレリア)」という文字を名前に含んでいるSherman Oaks Galleria(シャーマン・オークス・ガレリア)と誤認されたものと思われます。
サラ・コナー・クロニクルズにも影響を与えたノースリッジ地震
このノースリッジ地震、ロサンゼルス各地に甚大なダメージを与えており、その影響はハリウッド映画やドラマにも及んでいます。例えば、「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」にも影響を与えています。サラ・コナー・クロニクルズ最終話(シーズン2第22話「終わりなき旅 / Born to Run」)では、サラ・コナーが「ロサンゼルス拘置所」に入れられていますが、実はこの拘置所は、ノースリッジ地震による損壊および耐久性の問題で閉鎖されたSybil Brand Institute(シビル・ブランド・インスティチュート)という元女子刑務所の建物が使われていました。
→詳細:キャメロンが襲撃しサラコナーを救出したLA拘置所
ノースリッジ地震がなければ、この建物がロケ地として使われることはなかったということになります。
ノースリッジ地震により消滅したロケ地もあれば、新たにロケ地として使われるようになった場所が誕生していることは興味深いところです。
ジョン・コナーのバイクの音が変?
ショッピングモールからバイクで飛び出し、用水路に逃げ込んだジョン・コナーですが、そのバイク(HONDA XR 100)の音が変だというネット上の指摘もあります。間違いか?演出か? 音が本物と違った『ターミネーター2』ジョン・コナーのオフロードバイク
ジョン・コナーが乗っていたバイクはホンダのオフロード競技入門バイクであるXR100Rです。
発売当時価格は19万9000円(税別)でした。
排気量は100ccで、本来4ストロークエンジンのバイクなのですが、映画の効果音は2ストロークエンジンの甲高いものになっていました。シュワちゃんのハーレーはちゃんとVツインエンジンの音がしているので、対比としてジョン・コナー少年が乗るXR100Rは2ストエンジンの音にしたのかもしれません。
https://mc-web.jp/topics/20147/
前述の通り、銃の音も変なので、「音響」に関しては、製作スタッフによって意図的に変えられている可能性が大きいです。
以上、ショッピングモール関連のシーンだけでもネタがてんこ盛りのT2ですが、ブティックでT-800を投げ飛ばしたあと、T-1000が銀色のマネキンに一瞬反応してにらむシーンがあったりと、ジェームズ・キャメロンは、シーンとシーンの間にも、観客を飽きさせないような小ネタを挟んでくるのが特徴です。
T2を何度見ても飽きなかったり、観るたびに発見があるのは、こういう仕掛けが作用しているせいなのかもしれません。