荒唐無稽な銃火器の描写が、もはや「売り」となって楽しませてくれるブルース・ウィリス主演の映画「ダイ・ハード」シリーズ。
この「ダイ・ハード」シリーズにおいて、銃火器に関して、映画史にも残る一番有名な破天荒な描写といえば「X線検査に映らないグロック7」(ダイハード2)ですが、この名(迷)セリフは、1990年当時、「グロック(Glock)」という銃を世界中に大宣伝することに貢献しました。
渋いところではS&W M36が謎の大活躍する映画ダイ・ハード3などもありますが、今回はまた別の部分に着目してみました。
エアガンを堂々とコッキングするダイハード3
ダイハードの3作品目『ダイ・ハード3』(Die Hard: With a Vengeance / 1995年)では、映画の終盤、敵方集団をカナダの国境付近(実際のロケ地はカナダ国境ではない)まで追いかけ、そこで銃撃戦が繰り広げられるのがクライマックスとなっています。堂々とアップでコッキングしてしまう
その際、敵方集団(傭兵)にH&K MP5Kのようなマシンガンが配られるのですが、実はこれがすべてエアコキ(エアーコッキング)ガン。もちろん、映画の中では実銃ということで配られているのですが、マッチョな敵方兵士の一人が、あろうことか、MP5Kのフォアグリップをコッキングしてしまいます。しかも「やってやるぜ!」という感じでかなりかっこつけて。 ヤティ・マティック(Jati-Matic)のようにフォアグリップでコッキングする実銃もなくもないですが、MP5Kの実銃はフォアグリップが可動してしまうとグリップの意味がありません。明らかに玩具のエアガンであることが露呈してしまったシーンです。
Daisy Airsoft(Heckler & Koch MP5K)
どうやらこのMP5Kは、アメリカではDaisy Airsoft(デイジー・エアソフト社)が販売していたカート式(薬莢式)のエアコキとのことで、- カート(薬莢)に一発ずつBB弾を詰めて、
- フォアグリップをコッキングすることでカートを装填し、
- 引き金を引いてBB弾を発射し、
- 再びコッキングする際に、カート(薬莢)を排出しながら、次の弾を装填する
というギミックが味わえる(すべて人力で地球に優しい)昔懐かしい形式のトイガンだったようです。
ファルコントーイで販売されていたものと同じ?
フォアグリップでコッキングするカート式のMP5Kといえば、日本ではファルコントーイ(FTC)からまったく同じものが販売されていました。赤と黒のツートーンの外箱が印象的でした。映画で登場したDaisy AirsoftのMP5Kの画像や機能などと比較・確認してみましたが、まったく同じに見えるので、元の出処は同じなのかもしれません。
- Daisy Airsoft社が作っていたものをファルコントーイが輸入販売していたのか?
- もしくはその逆で、ファルコントーイが製造したものをDaisy Airsoft社が販売していたのか?
- はたまた第三者が製造し卸したものを、Daisy Airsoft社やファルコントーイ社がそれぞれ販売していたのか?
・・・その辺りの流通経路は不明です。
いずれにしても、映画「ダイ・ハード3」において、オモチャのエアガンが登場し、それを堂々と「かっこつけて」コッキングするシーンがあった・・・という事実は間違いありません。
押入れの奥のほうにこのエアコキのMP5Kが眠っている方は、久々に箱から出して、映画のごとく「かっこつけて」コッキングしてみてはいかがでしょうか。その際は排莢した薬莢が欠けたり、行方不明になったりする「排莢式エアガンあるある」問題にご注意ください。
「あのダイハード3にも登場したエアガン!」とうたって、メルカリやヤフオクなどで転売してみるのもおもしろいかもしれません。
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