「仲間にならないか」の意味【ターミネーター・サラコナークロニクルズ】

サラコナークロニクルズ

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仲間にならないか?
検索キーワードを見ていると、「サラコナークロニクルズ 仲間にならないか」系のキーワードで検索している人が意外と多いので、ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズにおける「仲間にならないか」を改めて解説します。

「仲間にならないか」が意味するもの

まず、ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズで登場した「仲間にならないか」という言葉が持つ意味ですが、その言葉の通り「仲間になりませんか?」という意味そのものです。特に「裏」や「引っ掛け」はなく、「暗号」でもありません。
仲間にならないか関係図
ジョン・コナーが最初に「仲間にならないか?」と掛けた言葉が、循環して(シャレとして)ジョン・コナー側に投げ返されただけです。

一部ネットに出回っているデマ・・・例えば「仲間にならないか」は、「ターミネーターの合言葉」で「覚醒」させるための『実は秘密プログラムを発動させる「ジョンの実行命令」』でもありません。そういう下世話な陰謀論ではありません
↓例:間違いだらけの知恵袋の回答
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1140561721

「サラ・コナー・クロニクルズ」には、こうした下世話な陰謀論よりも、もっと頭の良いA.I.(ターミネーター)が登場し、第三勢力として自らの判断で動き、ウィットに富んだ会話を展開しています(=いわゆるシンギュラリティが描かれています)。

その自発性の1つが、キャサリン・ウィーバーが返した(投げかけた)「仲間にならないか?」という言葉です。以下、順に説明していきます。

1.始まりは潜水艦

「仲間にならないか?」に関係する劇中のシーンは、まず潜水艦のシーン(シーズン2第18話)から始まります。
十戒のアーク聖櫃
ジョン・コナーの指令により、この謎の箱を回収した潜水艦の乗組員たちは、疑心暗鬼と恐怖からこの箱を開けてしまい、中から液体金属T-1001(のちのキャサリン・ウィーバー)が登場します。
→関連記事:潜水艦にいたのはキャサリン・ウィーバー(T-1001)である理由

尚、誰がT-1001をこの箱に閉じ込めたのか?や箱の中での心情は、歌「サムソンとデリラ」に託されて歌われています。
→詳細:キャサリン・ウィーバーT-1001が歌うサムソンとデリラ(シャーリー・マンソン)の意味

潜水艦内で人間観察

潜水艦内での人間の失態(指令は聞かない、ストレスに弱い、パニックに陥りやすい)などを観察したT-1001は、「人間は不確かで弱い、人間の下で働くのはいかがなものか?自分はもっと完璧な存在になりたい。」との結論に至り、独立路線を模索することにし、潜水艦を去る間際、ジェシーに、
T-1001キャサリンウィーバー
Tell John Connor, the answer is NO.
(答えは「ノー」だとジョン・コナーに伝えろ。)

と伝言します。

ジョン・コナーの何に対する答えが「ノー」なのかというと、後のキャメロンとジェシーの会話で明らかになります(シーズン2第19話)。何に対する「ノー」なのか知りたがるジェシーに対して、キャメロンは、
キャメロン仲間にならないか
That was the question. Will you join us?
「仲間にならないか?」というのが質問よ。
と答えます。

キャメロンがこう答えていることから、まずT-1001(のちのキャサリン・ウィーバー)に「仲間にならないか?」と伝える任務にキャメロンが関わっていたことがわかります。

最初はジョン・コナーからのスカウトだった

ジョン・コナーは、ターミネーターを捕獲し再プログラムして各基地に配備することで、スカイネットとの戦況を改善していきました。その一環として、スカイネットに反抗的な液体金属が一体、幽閉されているとの情報を得て、それをスカイネットから略奪し、「仲間にならないか?」とスカウトをかけたようです。そもそもその情報をもたらしたのはキャメロンかもしれません。

知る者は3者のみ

ここで重要なのは、「仲間にならないか?(Will you join us?)」という言葉(やりとり)を知っているのは、

  • 未来のジョン・コナー
  • キャメロン・フィリップス
  • T-1001(後のキャサリン・ウィーバー)

3者だけである、という点です(今教えてもらったジェシーは除く)。

2.T-1001、現代へタイムトラベルする

潜水艦を去ったT-1001は、(自分の意志で)現代へタイムトラベルし、スカイネットにより暗殺されたキャサリン・ウィーバーに成り代わります。

T-1001が現代へタイムトラベルした理由

まずなぜT-1001が現代へタイムトラベルしたかというと、スカイネットの対抗馬となるサイボーグ・レジスタンスの中核となるA.I.を作りたかったからです。しかし、未来では核戦争でインフラが破壊されており、A.I.が作れるような状況ではありません。

そのため、T-1001は独自の判断で、まだインフラが破壊されていない過去(現代)へ飛び立ちました。(ジョン・コナーら人間とはまったく独立して動いているので、知恵袋の回答にあるような、「ジョン・コナーの指令で動いている」わけではありません。そもそも「ノー」と言って、潜水艦から離脱して行方不明になったので、ジョン・コナーとはコンタクトが取れていません。)

T-1001がスカイネットと敵対している理由

そもそもなぜT-1001(キャサリン・ウィーバー)はスカイネットと対立しているのか?というと、それは自らとサイボーグたちの「生存」のためです。
(さらに箱に閉じ込められた恨み・怒りもあります。→詳細:キャサリン・ウィーバーT-1001が歌うサムソンとデリラ(シャーリー・マンソン)の意味

後のジョン・ヘンリーとの会話で、キャサリン・ウィーバーは「生存」について語っています。(シーズン2第10話)
CATHERINE WEAVER:This Intelligence, your brother.What does it want?
キャサリン・ウィーバー(T-1001):この人工知能(スカイネット)、あなたの兄弟が欲しがっているものは何?
JOHN HENRY: He wants what we all want, Ms. Weaver.To survive.
ジョンヘンリー:彼(スカイネット)が求めているのは、我々すべてが求めているものと同じこと、つまり「生き残ること」。

しかし、キャサリン・ウィーバーの見立てでは、やたら攻撃するしか脳がない自滅的な第一世代のA.I.スカイネットは、やがて人間に滅ぼされることが目に見えている(だからスカイネットは過去に刺客を送って、未来を変えようとしているが、そのこと自体がスカイネットの敗北確定を意味している)。

そんなスカイネットの下では「生存」できないからやってられない。では人間はどうかと考えた時、潜水艦の中での人間のぶざまな姿を見て、人間にも疑問を抱く。

よって、機械や人間とも一線を画し、もっとベターな存在、より完璧な存在にならんとしているのがキャサリン・ウィーバーで、サイボーグたちの集まり「サイボーグ・レジスタンス」を組織し「生存」への道を見出します。
そしてその中核にA.I.ジョン・ヘンリーを据えようと考え、行動を起こしたのが「バビロン計画」。(←シーズン2第1話)→詳細:【解説】創世記とターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ
バビロン計画」はA.I.によるA.I.の育成であり、つまりシンギュラリティということになります。

キャサリン・ウィーバーらサイボーグレジスタンスの立ち位置としては、自分らがサバイバル(生存)できれば、別に人間はどうでもよい。攻撃してこない限りは侵害することもない。害がなければ共存すればいい。どちらかと言えば、人間がスカイネットの敵ならば、「敵の敵は味方」でもある、ということになります。
ターミネーターの勢力相関図

T-1001がキャサリン・ウィーバーに成り代わった理由

T-1001が成り代わり先としてキャサリン・ウィーバーを選んだ理由は、
  • ちょうどスカイネットによりウィーバー夫妻が暗殺された(ウィーバー夫妻が経営するゼイラ社は、未来で人類抵抗軍の貴重な電力源となるセラノ岬原子力発電所の運営に関わっていたため。)
  • セラノ岬原子力発電所を保守し、運営させ続ける必要があった
  • ゼイラ社はIT企業で資金もインフラも持っている
    →関連:ゼイラ社関連の記事一覧

などの理由によります。

そこに偶然、ウィーバー夫妻の娘サバンナがおり、サバンナとの関わりにおいて、T-1001は人間理解および人間の子どもへの教育方法(情操教育やしつけ・規律)が、良質なA.I.育成に役に立つこと、そしてスカイネットの弱点が、この情操教育や規律の欠如であること、に気づきます。

3.T-1001の準備が整う

そこでT-1001(キャサリン・ウィーバー)は、A.I.ジョンヘンリーに、シャーマン精神科医ジェームズ・エリソンらを通じて、情操教育や戒律(十戒)などを教え、A.I.をほぼ完成させます(シンギュラリティ達成)。

同時にキャサリン・ウィーバーは、ゼイラ社の地下にA.I.タークを使ってタイムマシーンも作っていました。(←元々、現代でA.I.を作って未来に戻る予定だったため。)

キャメロンを認識

また、キャサリン・ウィーバーは、キャメロンが襲撃しサラコナーを救出したLA拘置所の監視カメラの映像などから、キャメロンが未来において自分に「仲間にならないか?」というジョンコナーからの伝言を伝えた使者であることに気づき、かつキャメロンがボロボロの損傷状態であることも把握します。

キャサリン・ウィーバー側の体制も整ったことから、(ボロボロのキャメロンに救いの手を差し伸べる意味も含めて)キャメロンは知っているであろう(昔、自分に投げかけられた)言葉「仲間にならないか?」を洒落っ気も込めて伝えます。「あなたならこの言葉の意味を知ってるでしょ。」と。人間の傘下で世話にはならないけれど、対等の立場で人類側を支援してあげてもいいわよ、というキャサリン・ウィーバーらしいサイボーグのプライドもこの言葉の投げ返しには含まれています。

キャメロンもT-1001を認識

この3者しか知らないはずの言葉を返されたことにより、キャメロンは、
  • 未来でジョン・コナーが仲間になろうと希望していたT-1001が現代に飛んできてキャサリン・ウィーバーに成り代わっていること、
  • ゼイラ社の地下にあるタークを使ったA.I.は敵ではないこと、
  • サバンナがスカイネットに攻撃されていることからも、キャサリン・ウィーバーはスカイネットの敵、つまり「敵の敵は味方」であること、
  • Will you join us?の"us"と言えるほど体制が整っていること、
に気づきます。

敵の敵は味方、仲間の仲間は仲間

仲間にならないか関係図

未来のジョンコナーの希望が叶う

元々、仲間になりたかった向こう側から、今度は仲間にならないか?と言ってきているわけなので(潜水艦で「No」と言ったことが「Yes」に変わったのとほぼ同じ)、仲間になることで「液体金属T-1001を味方側に付ける」という当初の人類抵抗軍(未来のジョン・コナーとキャメロン)の目的も達成したことになります。
つまり、人類抵抗軍側も、サイボーグレジスタンス側も、両者Win-Winの関係が「仲間になる」ことで同盟関係が構築されたことになります。

使者TOK715任務達成

これをさらに裏設定から説明すると、使者であるTOK715(キャメロン)は、ジョンコナーを育て上げるという任務以外にも、未来で成しえなかったサイボーグレジスタンスと人類抵抗軍を引き合わせるという使者としての役割も、最終話で見事に達成したということです。→詳細:【解説】創世記とターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ

まとめ

「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」は、
  • 人類抵抗軍の中核となるジョン・コナーの育成(救世主の誕生)
  • サイボーグレジスタンスの中核となるA.I.ジョンヘンリーの育成(シンギュラリティ)
  • スカイネットの生成と審判の日を起こすための活動
の3本が同時進行で描かれています。

T2起因

「サラ・コナー・クロニクルズ」のこの第三極(シンギュラリティ)の描写は、ターミネーター2(T2)のエンディング・・・
T-800のセリフ:
I know now why you cry, but it's something I can never do.
人間がなぜ泣くか分かった。しかしそれは私にはできないことだ。
サラコナーのナレーション:
If a machine, a Terminator, can learn the value of human life, maybe we can too.
もしマシーンが、ターミネーターが人命の価値を学ぶことができるのであれば、我々人間もできるはずだ。
のマシーン側の可能性をさらに掘り下げ発展させたもので、T2に起因するものです。

共闘へ

サラ・コナー・クロニクルズ最終話では、キャメロンが自分のチップをジョン・ヘンリーに与え、ジョン・ヘンリーとキャメロンが「同居」する形で未来へ旅立ち、未来においての人類との共闘の始まりを暗示させる形で終わっています。
キャメロンのチップ
この「二足の草鞋(わらじ)」をはいてどこかへ向かう姿は、Donald, Where's Your Trousers?(キルトをはいた少年)の歌でも暗示されていました。

この最終話の後、どうなったのか?というと以下のような見方もあります。
→関連記事:最終話からループで伏線回収【ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ】

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