ターミネーター新作の鍵を握るゲイル・アン・ハード

ターミネーター

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新ターミネーター7

ターミネーター関連でネット検索していると、「ターミネーター7」とか「ターミネーター8」といったキーワードで検索している人が多いことがうかがえます。↓
ターミネーター7と8
2022年1月現在、「ターミネーター7」も「ターミネーター8」も存在していません。もちろん「ターミネーター 新作 2021」という映画は存在していません。2021年に作られたターミネーター映画はありません。これらは、ターミネーター・シリーズが「何がなんだかわからなくなっている一般人が多い」ということを示しており、こうなってしまうと、もう次に何を作ってもターミネーター映画はコケる、という危険信号でもあります。

ターミネーター・シリーズを数字を付けて整理

ターミネーター・シリーズをあえてナンバリングして整理すると、以下の通りです。

  • ターミネーター1(1984年)
  • ターミネーター2(1991年)
  • ターミネーター2.5・サラ・コナー・クロニクルズ(2008-2009年)
  • ターミネーター3(2003年)
  • ターミネーター4・サルベーション(2009年)
  • ターミネーター5・ジェニシス(2015年)
  • ターミネーター6・ニューフェイト(2019年)

現時点でターミネーターの最新作は、2019年の「ターミネーター・ニューフェイト」です。新作はいつ?かは現時点で白紙です。
さて、不評・混迷で三部作打ち切りに終わった「ターミネーター5」こと『ターミネーター: 新起動/ジェニシス』と大失敗・大コケに終わった「ターミネーター6」こと『ターミネーター・ニューフェイト』。
このスカイダンス社製作の失敗2作品を振り返ってみると、ターミネーター1(T1)とターミネーター2(T2)の成功は、実はジェームズ・キャメロンではなく、Gale Anne Hurd(ゲイル・アン・ハード)のおかげだったのではないか?と思えてきます。

ゲイル・アン・ハードとは

ゲイル・アン・ハードとは、T1,T2の共同脚本家であり、プロデューサーでもあります。実際にターミネーター製作にしっかり関わったのは、これまでのところT1とT2のみ。T3では製作者複数名に名前は連ねてはいるものの、実質関与は形だけ。それ以外のターミネーター作品では、原作者(T1とT2のキャラクター創造者)として、エンドクレジットに名前が記載されているだけで、製作そのものには関わっていません。
つまり、製作に関わっていないにもかかわらず名前がクレジットされるほど、各作品が「リスペクト」を評しているターミネーターにおける重要人物、ということになります。

ジェームズ・キャメロンが「ターミネーターの父」ならば、ゲイル・アン・ハードは「ターミネーターの母」と言えます。

「慰謝料1ドル」のよくある嘘・間違い

ちなみにゲイル・アン・ハード(T1の映画会社プロデューサーでもある)は、ジェームズ・キャメロンと結婚していました。このことからよく「ジェームズ・キャメロンはターミネーターの権利を離婚の慰謝料代わりに1ドルで譲った」などという間違い(嘘)を世間に広めている人がいます。

しかし、
  • ジェームズ・キャメロンが1ドルでターミネーターの権利を譲ったのは、1984年にT1の製作に着手する前、脚本を持ち込み、監督をさせてもらう代わりに権利を1ドルで譲ったこと
  • ゲイル・アン・ハードと結婚していたのは1985年から1989年の間であること
から、年月がズレており(結婚する前に離婚の慰謝料を払うわけもなく)、「離婚の慰謝料代わりに1ドルでターミネーター権利を譲った」というのは、低俗な間違い・嘘であることは明らかです。
→詳細:ジェームズ・キャメロンT権利1ドル慰謝料の嘘

現在のターミネーター権利50%を保有する者

さらに、ゲイル・アン・ハードは、2021年現在、ターミネーターの商標権利の50%を保有している、名実ともにターミネーター作品の最重要人物です。

ターミネーターの商標権利は、2019年のターミネーター・ニューフェイトの後、ターミネーター【2019年問題】(脚本家の35年ルール)で、商標(製作)権利保有者が変わり、現在は、その権利の50%は、T1の脚本を書いたゲイル・アン・ハードの元に戻っています(残り50%はジェームズ・キャメロンが行使する権利を有している)。

そのため、どこかの映画会社などが、「何かターミネーターの(続編含む)新作を作りたい!」とか「ターミネーターのグッズを製作して販売したい!」と企画した場合は、ゲイル・アン・ハードへ「おうかがい」を立てなければいけません。ゲイル・アン・ハードの許可が下りなければ、いかなるターミネーター作品も作ることはできません。最重要人物です。

ターミネーターの新作(続編)の可能性

そのゲイル・アン・ハードが、2021年8月に、ターミネーター・シリーズの今後(将来)について言及していました。

ゲイル・アン・ハードのターミネーターに関する最近の展望

Honestly, I have no idea. I wasn’t involved in the last one. To give you some perspective, I used to have a scuba diving practice in Micronesia, and we found that they even screened “The Terminator,” albeit a bootleg video version, of one of the most remote islands in the world. The awareness is already built in, and I do think it’s a perennial with the right story with the right cast and the right direction. I think there could still be a potential future there.
https://variety.com/2021/film/global/terminator-producer-gale-anne-hurd-scarlett-johansson-disney-walking-dead-final-season-1235036158/
正直いうと、ノーアイデアよ。私は最後の作品(ニューフェイト)の製作には関わっていないから。でも展望をお話するとね、ミクロネシアにスキューバダイビングに行ったら、T1の違法ビデオが上映されているのを見つけたの。つまり、こんな離れた島でもターミネーターはとても認知されているんだから、正しいストーリーと正しいキャストと正しい方向性をもってすれば、ターミネーターに潜在的な未来はあると思うわ。
とゲイル・アン・ハードは答えています。

ターミネーターに未来(新作)はあるけれど・・・

このインタビューから分かることは、ターミネーターの権利者であるゲイル・アン・ハードは、
  • ターミネーターという商標にはまだ価値はある(新作が作られる可能性はある)。
  • 但し、"with the right story with the right cast and the right direction"と言っていることから、「ニューフェイト」に関しては、失敗だった(正しい物語でも正しいキャストでも正しい方向性でも無かった)
ということを示唆しています。

ニューフェイトの「まんまの」続編はない

以上から、大コケした『ターミネーター:ニュー・フェイト』(原題 Terminator: Dark Fate)が当初予定していた新三部作が、そのままの体で作られる可能性はありません。

万が一、ニューフェイトの続編が作られるとしても、大幅な軌道修正が必要であり、むしろニューフェイトは無かったことにして、まったく別のターミネーター作品が作られる可能性は、遠い未来にはある、ということになります。

過去のゲイル・アン・ハードの発言まとめ

T4(サルベーション)の後、ターミネーターの権利が売りに出され、なかなか権利者が決まらず、権利が漂浪していた時(2009年~2011年)にも、ゲイル・アン・ハードは以下のように発言していました。
It’s very sad. You feel like you gave birth to something and it’s been adopted and those adoptions haven’t worked out. Of course I’d be interested in doing another one. I’d love it.
https://ew.com/article/2010/12/16/terminator-gale-anne-hurd-walking-dead/
とても悲しい。まるで命を与えた子供(=ターミネーターという作品)が養子に出され、その養子縁組がうまくいっていないような感じ。もちろん、機会があれば、私はまた新しいターミネーター作品を作ることに興味があるし、喜んで作るわ。

それ以外にも以下のような記事がありました。
Producer Gale A. Hurd Wants to Make Another‘Terminator’Film
http://www.latinoreview.com/news/producer-gale-anne-hurd-wants-to-make-another-terminator-film-12030
Could she return to rescue the Terminator franchise?
http://blastr.com/2010/12/could-gale-anne-hurd-retu.php
Gale Anne Hurd: Come with me if you want to live, Terminator franchise
http://io9.com/5714832/gale-anne-hurd-come-with-me-if-you-want-to-live-terminator-franchise

ゲイル・アン・ハードは、基本的にはターミネーター作品を作ることに前向きな人ではありますが、思い入れも強いので、「ただ何でも作ればいい」という考えではないようです。

ターミネーター作品の「良作」ができるには、ただジェームズ・キャメロンが関わればよい、というわけではなく、T1やT2の時のように、ゲイル・アン・ハードが、しっかり脚本から製作まで関わった時に初めて世間の期待に応えうるような作品ができるのかもしれません。

例えば、ジェームズ・キャメロンだけなら、ひたすらフェミニズムが強くなりすぎ、バランスを欠いてしまいますが、ゲイル・アン・ハードが加わることで、男性(例えばジョン・コナーやカイル・リースといったキャラクター)とのバランスが取られ、結果、大ヒット作が生まれる・・・ように感じられます。

世間ではジェームズ・キャメロンという名前がとかく独り歩きしがちですが、T1,T2の陰の立役者でもあり、縁の下の力持ちであるゲイル・アン・ハードがしっかりと関わっているか?が新作(ターミネーター7)の成功の鍵を握っていると言えます。

# T7 ターミネーター7 Terminator7

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