映画「ダイハード1」ナカトミ・プラザの不思議(矛盾)

ロケ地 洋画

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ダイハードのタンクトップ

1980年代のバブル時代の日本の影響が色濃く反映されている1988年の映画『ダイ・ハード1』(原題:Die Hard)。日系企業のナカトミ商事の「ナカトミ・プラザ」ビルが舞台となりました。

その実在するビルのロケ地はこちら。

「ナカトミ・プラザ」ビル(フォックス・プラザ)

Film Location


この建物は映画会社・20世紀スタジオの本社ビルで1987年に完成。「ダイハード1」が1988年公開なので、建設中~完成間近の状態がリアルに撮影に使われたようです。

三角形と四角形の組み合わせが特徴

このビルの設計者は、サンフランシスコのシンボルである三角形ビル・トランスアメリカ・ピラミッドも手掛けたウイリアム・ペレイラ(William Pereira)氏とのこと。 言われてみれば、三角形と四角形を組み合わせた鋭角が目立つ(やたら角ばった)デザインの特徴が、ナカトミプラザ(フォックス・プラザ)ビルと似ています。

リアルな住所が使用された

おもしろいことに、ダイハード1の劇中(事件を通報するシーン)でも、このビルのリアルな住所がそのまま登場していました。通常、映画の中に出てくる住所は架空のものが多いのですが、ここは映画会社のビルということで、遠慮なくそのまま表記したのでしょう。

そんなナカトミプラザ・ビルの中では、不思議な出来事が次々と起こっていきます。そのいくつかを紹介します。

1.ナカトミ商事はブラック企業?

ダイハード1の舞台の日時は、クリスマス・イブ。にもかかわらず、ナカトミ商事は社員を会社に集め、クリスマスパーティーを開いています。

これは日本でいうところの「正月(大晦日から元日にかけて)に、会社で宴会を開くから出社しろ!」と同じことなので、アメリカ在住の人々にとっては、かなりパワハラだったのではないでしょうか。

当時バブル時代でグイグイいってる日系企業ならでは、と言えばそれまでですが、ナカトミ商事はブラック企業認定されてもやむをえないのかもしれません。

2.なぜか社長の顔だけは知らない

武装集団がビルを占拠し、そのリーダーであるハンス・グルーバー(アラン・リックマン)が、ナカトミ商事の社員らを一ヵ所に集めて、「タカギ社長は名乗りでろ!」と不思議なセリフを吐きます。

会社の建物の構造・セキュリティから資産に至る隅々まで把握しているにもかかわらず、肝心のナカトミ商事の社長の顔だけは知らない・・・という摩訶不思議な現象が発生しています。

確かにこの時代、インターネットはまだ普及していませんが、それなりの規模の企業の社長ぐらい、会社の資料、パンフレット、雑誌、新聞、TVその他で簡単に把握できるはずです。ハンス・グルーバーはナカトミ商事について何から何まで調べあげてきているはずなのですが・・・矛盾しています。

3.タンクトップが途中で緑に変わる

ブルース・ウィリス演じる主人公ジョン・マクレーン刑事が、白いタンクトップと裸足で暴れまくるのが、このダイハード1のシンボルともなっていますが、よく見ると、途中でマクレーン刑事のタンクトップが白ではなく、ダークグリーンに変わっていることがわかります(特にハンス・グルーバーが「ガラスを撃て。」とカールに指示を出すシーンあたり~)。

てっきり血や汚れで黒くなったのか、と見過ごしていましたが、よく見ると明らかに本質的に違う色(濃緑色)で、生地も少し厚めのタンクトップに変わっており、とても不思議です。

4.実は裸足ではなかったジョン・マクレーン

前述のように、裸足でアクションしまくる・・・というのがこのダイハード1のアイコニックの1つでもあり、劇中、その裸足自体がネタになっているシーンもあります。

しかし、よく見ると、ブルース・ウィリスの足がアップになっていないシーンでは、何やら足に目立たないように、靴下のようなブーツ(ブーツのような靴下?)を履いているシーンがいくつかあるのが確認できます。

これは俳優の足を保護するためのものなので理解はできますが、クスッと笑えるシーンでもあります。

5.カール(の亡霊)が映っている

劇中、アレクサンダー・ゴドノフが演じる敵方のカールを、マクレーン刑事が鎖で宙づりにしたシーンがあるのですが・・・その宙づりにした直後、マクレーン刑事の背後、宙づりにした場所とはまったく違う位置である階段の上に、なぜかカール(アレクサンダー・ゴドノフ)らしき人物が画面に映り込んでいるではありませんか。
映画ダイハードのミス

宙づりにされたにもかかわらず、カールは一瞬に鎖を外し、瞬間移動したのでしょうか・・・?それとも幽体離脱したのが映ってしまったのでしょうか・・・?

おそらくこれはスタンバイしているアレクサンダー・ゴドノフ自身か、もしくは彼役のスタントマンが映り込んでしまったものと思われます。

6.他作品へ広がるダイ・ハードの世界線

実は『ダイ・ハード』の世界線は、他の作品にも拡大しています。

女性ニュースキャスターが同じ

ナカトミ・プラザでの事件を報道するGail Wallens(ゲイル・ヴァレンス/ウォレンス)という女性ニュースキャスターが、デンゼル・ワシントン主演映画『リコシェ』(Ricochet、1991年)にも登場し、ともにMary Ellen Trainor(メアリー・エレン・トレイナー)という同じ女優さんが演じています。

これは両映画を担当した脚本家が同じ Steven E de Souza(スティーヴン・E・デ・スーザ)だからです。

貨物輸送会社が同じ

前述の女性ニュースキャスターと同じような感じですが、ナカトミ・プラザビルを占拠したテロリストらが乗って来たバン(トラック)は、Pacific Courier(パシフィック・クーリエ)と書かれていました。

キアヌ・リーヴス主演映画『スピード』(1994年)で、爆弾が仕掛けられたバスが激突して大爆発を起こした飛行機には、Pacific Courier Freight(パシフィック・クーリエ貨物)と書かれていました。
Pacific Courier貨物輸送

ともにロゴが上下に丸い矢印かつ背景もで同じです。これは『ダイ・ハード1』の撮影監督が、『スピード』の監督ヤン・デ・ボンだから・・・が背景にあるためです。『ダイ・ハード1』から派生した同じ貨物輸送会社ということで、両作品は同じ世界線にある、ということになります。
→関連記事:バル・ベルデ共和国と同じ世界線の映画20選

以上、摩訶不思議な出来事がたくさん起きているナカトミ・プラザ・ビルでした。

ダイ・ハードな夕張

夕張ダイハード看板
ちなみにこちらは「映画とメロンの街」夕張市役所前の「ゆうばりキネマ街道」で見ることができる、昭和64年公開ご当時モノの「ダイ・ハード」の看板。ナカトミプラザもしっかりと描かれています。

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と、アラン・リックマン押しなのがおもしろいところ。直射日光で色あせていくのがもったいない気もします。

「ダイ・ハード」の意味・・・「die(死ぬの)が hard(なかなか~ない)= なかなか死なない・しぶといヤツ」夕張を掛けているのかもしれません。

「ダイ・ハード5・ラスト・デイ」より佳作な続編的CM

最後に「ダイハード1」に出演した3人が登場するダイハードをモチーフにしたパロディ(続編的)なCMを。ある意味、「ダイ・ハード5・ラスト・デイ」より佳作かもしれません。

※このCMは企業による公式なコマーシャルです。YouTubeによくあるフェイク動画ではありません。


DieHard batteries
https://www.diehard.com/

懐かしの3人(本人)

この車の「DieHard」という商品名のバッテリーのコマーシャルには、映画「ダイ・ハード1」の3人の出演者本人(オリジナルキャスト)が登場します。
  • ジョン・マクレーン・・・ブルース・ウィリス/Bruce Willis
  • アーガイル・・・デヴロー・ホワイト/De'voreaux White(黒人のリムジン運転手)
  • テオ・・・クラレンス・ギルヤード Jr/Clarence Gilyard Jr.(パソコンをいじってナカトミビルの金庫を開けようとしていた黒人のハッカー。ダイハード同様、白いセーターを着てまたパソコンをいじっています。)

このCMの解説(あらすじ)

  1. 車を運転するジョン・マクレーン。町の外れでバッテリー不良で「おい、ジョン、静かな生活がほしかったんじゃないか?いかれたバッテリー、誰もいないストリート・・・」といつものように不遇な状況に陥った自分を愚痴りながら停まり、カー用品の店に歩いて向かいます。

  2. その時、あるレストランの窓越しに、一人の黒人(テオ)がパソコンをいじりながら、マクレーンににやけて手で銃を撃つような仕草をします。マクレーンは「テオか?」と近寄ったところ、一味に取り囲まれます。どうやらテオは「ダイハード1」でのナカトミプラザの件の復讐する機会をうかがい、マクレーンを付け狙っていたようです。

  3. 一味とバトルとなったマクレーンはちょうどカー用品(バッテリー販売店)へ放り込まれ、窓を突き破って店内に到達。ちなみにその時 店員は「ダイハード」名物のベートーベンの第九「歓喜の歌」を口ずさんでいます。

  4. 店で新しいバッテリーを仕入れたマクレーンは、(外に一味がいるので)「他に出口はないか?」店員に尋ねます。すると店員は天井の換気口を指し、マクレーンは愚痴りながらもダイハード名物のエアダクトの中をはって店の外へ出ていきます。

  5. 無事、店の外で出られたものの、また銃で撃たれはじめ、通りへ飛び出したところ、ちょうどアーガイルが運転するリムジンとぶつかります。

  6. マクレーンは「お前、まだリムジン運転してるのか?」と再会を喜び、アーガイルは「あんたまだ座席に血を付けるようなことやってんのか?」と言い返します。

  7. アーガイルのリムジンで逃げるマクレーンですが、敵の車に追突され、リムジンはオシャカに。そこでマクレーンは店で仕入れた新しいバッテリーを、自分が元乗っていた車のものと交換します。

  8. そこへ敵がやってきてマクレーンは古いバッテリーで返り討ち。その敵から奪った手りゅう弾を、ショベルカーで襲ってきたテオの運転席にダイハード名物のHappy trails!(ハッピー・トレイル/楽しい旅を!」の名言とともに投げ込み、爆破して退治。

  9. それを見たアーガイルはダイハードの名セリフYippee ki yay(イビカイエー/ざまあみろ)」と言い、マクレーンは「Hey, that’s my line!(おい、それはオレのセリフだろ!)」とまとまったところでCMは終わります。

このCMを観た海外の反応

Still better than Die hard 5...
ダイハード5よりマシだ・・・
Now THIS...is the real Die Hard 5.
これこそ本当のダイハード5だ。

以上、30年以上経っても人気が衰えない映画「ダイ・ハード」でした。

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