ジェームズ・キャメロンT権利1ドル慰謝料の嘘

ターミネーター

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ジェームズ・キャメロン権利1ドル慰謝料の嘘

アメリカの1ドル札紙幣の人ジョージ・ワシントンの肖像画は、ジェームズ・キャメロンに似ている気がます。

さてそんなジェームズ・キャメロンと1ドルに関して、いまだに間違い(嘘)情報を流している人がいます。

ジェームズ・キャメロンは離婚の慰謝料としてターミネーターの権利を1ドルで売ったという嘘

知恵袋やwikipediaなどネットは嘘・間違いだらけ

3以降は奥さんとの離婚で権利を渡して
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12255597367
J・キャメロンが、離婚の慰謝料代りに権利を売っちまった事が一番の問題。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11252649166
自身が所有する権利についてはゲイル・アン・ハードと離婚した際、慰謝料代わりに1ドルで売り渡していた。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ターミネーター3
ターミネーター3ウィキペディア

などなど、Yahoo!知恵袋やWikipediaを筆頭に、ネット上は嘘・間違い情報だらけです。

映画評論家を名乗っている人物にさえ、この「キャメロン慰謝料」嘘を知ったかぶりしてバラまいている人がおり、その恥ずかしい証拠はYoutubeで現在も拡散され続けています。

このように他人の私事について嘘情報を拡散させていることを恥ずかしく思ったほうがよいですし、その人の投稿の信憑性が失われるのはもちろんのこと、時にそれは違法性が問われることもあります。

近年、著名人はネット上の誹謗中傷に対して「泣き寝入り」をするのをやめる方向に変わりつつあり、さらには裁判手続きも少し簡略化することもあり、ネット上に安易に嘘を書き込んでいる人は、その表現の自由に伴う「責任」を取らされる機会が増えていくことでしょう。

「権利1ドル」は離婚の慰謝料ではない理由

こちらのターミネーター新作の鍵を握るゲイル・アン・ハードでも書きましたが、ジェームズ・キャメロンが「自身のターミネーターの商標権利を1ドルで売った」というのは「自身の離婚の慰謝料として」ではありません。事実も時系列もズレており、真実ではありません

先に時系列をまとめると、

  1. 1983年、ターミネーターの撮影に入る前に、「監督させてもらうこと」と引き換えにキャメロンはゲイル・アン・ハードにターミネーター権利を1ドルで売った
  2. 1984年、ターミネーター1完成→公開
  3. 1985年、ゲイル・アン・ハードとキャメロンは結婚
  4. 1989年、ゲイル・アン・ハードとキャメロンは離婚

であり、ジェームズ・キャメロンはターミネーター1の製作に着手する前に(さらにはゲイル・アン・ハードと結婚する前に)、すでにターミネーター権利を1ドルで売っています。

以下、説明していきます。

監督することと引き換えの1ドル

“I wish I hadn’t sold the rights for one dollar,” Cameron says, referring to a deal he struck in exchange for the chance to direct the 1984 original.

ジェームズ・キャメロンは1984年の「ターミネーター1」を監督する権利と引き換えに「ターミネーターの商標権利」を1ドルで売ったことに言及しながら「ターミネーター権利を1ドルで売らなければよかった。」と言った。
http://www.torontosun.com/entertainment/movies/2009/12/17/12192301.html

とあるように、ジェームズ・キャメロンは「ターミネーター1」(T1)を監督させてもらう権利の代わりに、製作着手前にターミネーターの商標権利を1ドルで売ったのです。

当時、ジェームズ・キャメロンは前作「殺人魚フライング・キラー」の大失敗から再起をかけており、T1の脚本をゲイル・アン・ハードと共同で書いた際(この時点で権利は脚本執筆者2名で50:50)に「自分がT1の監督をさせてもらうこと」と引き換えに、権利のほうはすべてプロデューサーでもあるゲイル・アン・ハードに1ドルで譲ったのです。

要はターミネーターという作品をこの世に生み出すための1ドルであり、この1ドルがなければ「あの」ターミネーターという作品自体、この世に存在しなかったのかもしれない、ということになります。

離婚(慰謝料)とは時期が異なる

誰に売ったのか?

ジェームズ・キャメロンがターミネーター権利を1ドルで売った相手は、ターミネーター1のプロデューサーであり、共同で脚本も執筆したゲイル・アン・ハード(女性)です。

Produced by Gale Anne Hurd
Written by James Cameron, Gale Anne Hurd
https://en.wikipedia.org/wiki/The_Terminator

いつ売ったのか?

ターミネーター1の撮影に入る前に売りました。なぜなら監督させてもらうこととの引き換えだったからです。

Before the first film was created, director James Cameron sold the rights for $1 to Gale Anne Hurd, who produced the film.
最初の映画(ターミネーター1)が作られる前に、監督のジェームズ・キャメロンは、ターミネーターの商標権利を、この映画のプロデューサーでもあるゲイル・アン・ハードに売った。
https://en.wikipedia.org/wiki/Terminator_(franchise)#Franchise_rights
Cameron sold Hurd his half of the rights, under the strict provision that he be allowed to direct.
キャメロンは監督することが許されるという厳格な規定の下、キャメロンが半分所有しているターミネーター権利をゲイル・アン・ハードに売った。
※ターミネーター商標権利は共同脚本のゲイル・アン・ハードとジェームズ・キャメロンで二等分となっていた。その半分(キャメロン分)をゲイルアンハードに売ったということ。
https://www.latimes.com/archives/la-xpm-2002-mar-11-et-abram11-story.html

ゲイル・アン・ハードとの婚姻時期は?

のちにジェームズ・キャメロンは、権利を売った相手であるゲイル・アン・ハードと結婚しますが、その婚姻時期(結婚していた時期)はターミネーター1(1984年)の後の1985年~1989年です。

Spouse(s)
Gale Anne Hurd (m. 1985; div. 1989)
https://en.wikipedia.org/wiki/James_Cameron

まとめ

以上の通り、ターミネーターの権利を「離婚の慰謝料」にするには年月がズレており(結婚する前にすでにキャメロンはターミネーターの権利を持っておらず、かつ結婚する前に離婚の慰謝料を払うわけもなく)、「離婚の慰謝料代わりに1ドルでターミネーター権利を譲った」というのはつじつまが合わない完全なる間違い・嘘であることが明らかです。

尚、現在では、脚本家の35年ルール(ターミネーター【2019年問題】ジェームズ・キャメロン)を経て、2020年11月以降、T1の共同脚本家であるゲイル・アン・ハードがターミネーター権利の50%を所有しています。35年の時を経て、ターミネーター1製作前の元の鞘に収まった・・・親元にターミネーターが里帰りしている・・・というのが現状です。
→詳細:ターミネーター新作の鍵を握るゲイル・アン・ハード

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