ガムが活躍した映画集

洋画

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ミッションインポシブルのガム
映画『ミッション: インポッシブル』(1996年)
に登場した"Two in One" ガム

TWO IN ONE GUM
MINT STRAWBERRY
25¢

とガムのパッケージには書かれていました。

近年、板ガムは絶滅寸前、粒ガムが主流のチューイングガム業界ですが、そんなガムが活躍した映画を何作かピックアップしてみました。

『ミッション: インポッシブル』1996年

トム・クルーズ主演の映画『ミッション: インポッシブル』(Mission: Impossible、1996年)では、ガムが2回も大活躍します。

ガムがなければ主人公のイーサン・ハント(トム・クルーズ)は消えていた・・・つまりガムが無ければ、続編もなければシリーズ化もなかった・・・と言っても過言ではない、映画の存続がかかった重要なアイテムでした。

2色のガムの説明

この映画の冒頭のほうで、ジャック・ハーモン(エミリオ・エステベス)が、以下のように説明しながら、イーサン・ハントに特殊工作道具として、上図のような2色に分かれた「ガム」を渡します。

Stick of gum, right? Red light, green light. Come up against a lock you can't pick, you mash them together..."boom". Hasta lasagna, don't get any on ya. You'll have about 5 seconds...Just don't chew it.

板ガムに見えるだろ?(違うんだ、これは実は)赤信号と青信号。もし開けられない鍵があったら、これら(赤と青)を混ぜ合わせると・・・ボーン(爆発)。サヨナラだ。(爆発まで)5秒ある。噛んだりするなよ。

このジャック・ハーモンのセリフは、最後のイーサン・ハントの名セリフの前フリとなっています。

水槽爆破

このガムは、映画の中で2回も使用されます。1回目は、裏切り者としてイーサン・ハントがレストランで逮捕されそうになった際、ガムをレストランの巨大水槽に投げつけて爆破させ、その隙にイーサン・ハントは逃亡します。

この時のガムの爆破力は半端なく、水槽の一番近くにいたウェイター(を装った工作員)が、爆風でレストランの窓を突き破って外に吹き飛ばされるほどの威力でした。

ヘリコプター爆破

2回目はエンディング近くのクライマックスにて、TGV(高速鉄道)でトンネル内まで追尾してきたジャン・レノ演じるクリーガーが操縦するヘリコプターを爆破する際に、イーサン・ハントが使います。この時、イーサン・ハントは、

Red light! Green light!

と叫んで、ガムをべたっとヘリコプターのガラスに貼り付けます。

この"Red light! Green light!"(赤信号!青信号!)というのは、前述のジャック・ハーモン(エミリオ・エステベス)のセリフに由来しており、

  1. Red light, green light・・・→Boom! Hasta lasagna!(サヨナラ/あばよ!)
  2. 消されたジャック・ハーモンのだ!

という2つの意味が含まれた「熱い」セリフとなっていました。

1の「Hasta lasagna!(ハスタ・ラザニア)」というのは、「ターミネーター2」にも登場した「Hasta la vista, baby(アスタ・ラ・ビスタ、ベイビー)」のスペイン語 Hasta la vistaと、Hasta luego と Hasta manana の3つをミックスして lasagna(ラザニア)ふざけて表現したものですが、いずれもお別れ(サヨナラ/あばよ!)を意図した言葉です。
→関連記事:アスタラビスタ、ベイビーは不可能なターミネーター2

2のジャック・ハーモンの映画の中の役割ですが、007シリーズでの「Q」のような役割で、スパイアクション系には不可欠な小道具開発&スパイス的な役割を担っていましたが映画の冒頭のエレベーターに仕組まれた罠で消されてしまいます。そのリベンジをイーサン・ハントはエンディングで成し遂げます。
ミッションインポシブル・シリーズでも、やはりこの「Q」に該当する役は重要ということで、その後、このポジションはベンジー(サイモン・ペッグ)となって復活しています。

とにもかくにも、このガムのおかげで生き延びたイーサン・ハントと「ミッション・インポシブル」シリーズは、2022年には7作目、2023年には8作目が公開予定となり、ターミネーター・シリーズ(全7作)を超える、長寿シリーズ映画となったのでした。

『プライベート・ライアン』1998年

トム・ハンクス主演の映画『プライベート・ライアン』(Saving Private Ryan、1998年)でも、ガムは戦況を切り開くほど、かなり実用的に活躍します。

ノルマンディー上陸作戦のオマハビーチの戦闘にて、ジョン・H・ミラー大尉(トム・ハンクス)が、ナイフの先端にガムで手鏡を付けて、物陰に隠れながら、高台から機関銃掃射してくる相手の位置や周囲の状況をうかがい、そこから突破口を開くシーンがあります。
ナイフとガムと鏡

ガムがなければ、延々と身動きが取れなかった可能性もあり、この映画の激グロで話題の戦場シーンにおいて、ガムが大活躍していました。

『レオン』1994年

ジャン・レノ主演の映画『レオン』(Léon: The Professional、1994年)でもガムは実用的に活躍していました。

レオンがマチルダをトレーニングするために引き連れ、ターゲット宅に押し入る際、まず玄関のドアの覗き穴(ドアスコープ)を、噛んでいたガムで塞いで中から見えなくします。その上でドアが開いた瞬間にドアチェーンを切断して押し入ります。

特に『レオン』完全版 では、ガムを付けるシーンが10回以上、登場します。しかもマチルダは、ドアスコープに一度つけたガムを回収し、また自分の口に戻すシーンもあります。
『レオン』完全版では、なぜレオンが殺し屋の道に進んだのか?などが明かされるシーンがあったり、マチルダとの関係がディープだったりするので、これを見ると劇場版とは少しイメージが違って見えるかもしれません。

ガムが印象的な映画

以上がガムが大活躍していた映画3選ですが、単にガムが登場する映画なら、無数に存在します。

すべて挙げるときりがないので、いくつか印象的だったものだけピックアップして下記します。

『チャーリーとチョコレート工場』2005年

『チャーリーとチョコレート工場』(Charlie and the Chocolate Factory、2005年)には、いつもガム好きな女の子バイオレットが登場し、噛んだガムを耳の後ろにしまったりします。あげくには工場ではブルーベリーのガムで巨大化します。

『冒険野郎マクガイバー』1986年

TVシリーズ『冒険野郎マクガイバー』(MacGyver、1986年)シーズン1第11話「Nightmares(悪夢)」では、マクガイバー(リチャード・ディーン・アンダーソン)が、地面に落ちていたガムの銀紙を、折り紙の要領で工作し、釣り用のルアーを作るシーンがあります。

『サンダーアーム/龍兄虎弟』『プロジェクト・イーグル』

『サンダーアーム/龍兄虎弟』(The Armour of Go、1986年)とその続編の『プロジェクト・イーグル』(飛鷹計劃、The Armour Of God II : Operation Condor、1991年)では、冒険家「アジアの鷹」ことジャッキーを演じるジャッキー・チェンが、大のガム好きという設定。
劇中、なんども手のひらから手首のスナップを利用して、ガムを口の中に放り投げるシーンが登場し、かつジャッキーチェン映画名物「エンドロールのNG集」では、そのガム放り投げ失敗集も楽しめます。

『ライトスタッフ』1983年

有人宇宙飛行計画「マーキュリー計画」に従事した、宇宙飛行士の実話を映画化した『ライトスタッフ』(The Right Stuff、1983年)では、イエガー大尉とジャック・リドレイ大尉(技術補佐)の間で、帰還することを約束するものとしてガムのやりとりが登場します。

You got any gum? - Yeah, I got me a stick.
Loan me some. I'll pay you back later.
Fair enough. - Thank you.

ガム持ってるか? - はい1枚ならあります。
くれないか?後で返すから。
もちろん、どうぞ。 - ありがとう。

たかがガム、されどガム、ということで、ガムは、コミュニケーション手段として、物語を彩るスパイスとして、様々な映画で使われています。小道具のガムに着目して映画を横断的に観てみるのもおもしろいかもしれません。

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