映画『インターステラー』とターミネーター・シリーズの基本構造が同じだったので、そのあたりをまとめました。
共通点は以下の通りです。
- 未来人の干渉
- 時空を超えての親子愛
- 人類の危機を救う
どちらも「時空」をテーマに「親子の絆」を描きながら、「未来からの干渉」によって「3点(3局)構造」で物語が進んでいきます。
インターステラー
クリストファー・ノーラン監督の映画『インターステラー』(Interstellar、2014年)では、地球温暖化の結果なのかは不明ですが、地球規模の異常気象により人類は危機的状況にあります。地球を飛び出し宇宙の旅に出た主人公クーパー(マシュー・マコノヒー)は、結果的に、時空を超えて、過去の自分及び娘マーフ(ジェシカ・チャステイン / マッケンジー・フォイ)にメッセージを伝え、そのメッセージを元に、娘マーフは重力問題を解決し、スペースコロニーが作られ、地球の人類が救済されます。
未来人(バルク生命体)
その過程で、劇中「彼ら」と表現されている「バルク生命体」なるものが登場し、未来からの神対応で主人公たちを手取り足取り導きます。日本語の吹き替えや字幕では、「彼ら」と曖昧に表現されているだけなのですが、英語のセリフでは以下のように、「バルク生命体」とはっきり言及されています。Because the bulk beings are closing the tesseract.
バルク生命体がテッサラクトを閉じ始めたから。
(TARSのセリフ)
They are beings of five dimensions.
彼らは五次元の存在。
『インターステラー』はブレーンワールド仮説に基づいており、どうやら「バルク生命体」というのは「五次元の存在」であり、人類の成れの果て(未来の人類の姿)とのことです。
なぜ『インターステラー』において、「バルク生命体」が手取り足取り神がかり的に主人公(人類)に手を差し伸べたのか?というと、それは「バルク生命体」自身が己の生存のために必要だったからです。
つまり、人類が過去で滅亡してしまうと、その進化系である「バルク生命体」も存在しなくなってしまう。
だから「バルク生命体」自身の実利のために、過去の人類(主人公)に助け船を出した、という3点構図になっています。
映画『インターステラー』は、バルク生命体がワームホールやテッサラクトを作ったりと、万能すぎる(神すぎる)という欠点やループになっていることによる矛盾はありますが、SFながらも科学的考察が多く取り入れられており、親子愛にタイムトラベル的な要素もからめた面白い仕上がりになっています。
「インターステラー2(続編)」を作るとしたら・・・
もし「インターステラー2」が作られるとすれば、- クーバーとアメリアが「バルク生命体」に直接遭遇する物語
- もしくはクーバーとアメリアが「バルク生命体」になっていく物語
- もしくはクーバーとアメリアの子孫が「バルク生命体」になっていく物語
が描かれるのかもしれません。
ターミネーター
映画ターミネーター・シリーズも、人類が作ったA.I.の反乱(スカイネットによる核戦争「審判の日」の危機)に直面した過去の人類(母親暗殺の危機)に、未来の息子がタイムマシーンで助っ人を過去に送って、結果、母親(や自分自身&人類)を救う・・・というお話で、こちらも3点構造になっています。『インターステラー』は「ターミネーター1」と「2」にも基本構造が似ていますが、特に類似点が分かりやすいが「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」です。
バルク生命体=サイボーグ・レジスタンス
ターミネーター・シリーズの映画が、自我に目覚めたA.I.スカイネットの誕生(いわゆる「シンギュラリティ1.0」)をテーマにしているのに対し、「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」では、さらに次の段階であるA.I.によるA.Iの育成、いわゆる「シンギュラリティ2.0」を描こうとしており、スカイネットに反旗を翻し、より完璧な存在になろうとする「サイボーグ・レジスタンス」が登場します。「サイボーグ・レジスタンス」も自分たちの生存のために、「敵の敵は味方」ということで人類に手助けをします。スカイネット側についていたら、やがて滅ぼされてしまうからです。
かといって人間というものも完璧ではない。しかし、より良いA.I.を育成する(シンギュラリティ2.0)ためには、人間の情操教育(例えば子どもへの教育)などが役に立つ。ということで、人間やスカイネットの良い部分を取り入れながら、さらに「完璧な存在」になること目指しています。
「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」では、映画「ターミネーター1」の背景(タイムマシーン情報を掴み、過去にカイル・リースを送った)や、映画「ターミネーター2」の背景(T-800を捕獲し、再プログラムして過去に送る)は、サイボーグ・レジスタンスの助けがあったから・・・という他のターミネーター作品にはない独創的なスタンスで描かれています。
→関連記事:最終話からループで伏線回収【ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ】
このように3点構造で「時空を超えた親子愛が人類の危機を救う」というネタは、ヒットする作品の鉄板(ヒットの法則)の1つなのかもしれません。
共通テーマ「運命は自ら切り開くもの」
『インターステラー』では、"It's not possible."「不可能だ。」と人工知能ロボットが弾き出した計算に対して、 "No, it's necessary."「いいや、(不可能ではなく)必要なんだ。」とクーパーは宇宙船のドッキングを成功させ、運命を切り開いていきます。『ターミネーター』では、A.I.スカイネットが弾き出した計画に対して、"No fate but what we make."「運命は定まっていない。自ら切り開くものだ。」として、サラ・コナーやジョン・コナーは運命を切り開いていきます。
基本的なテーマや構成が、インターステラーとターミネーターは同じなのです。