「ターミネーター」というキーワードで検索していると、「審判の日」で検索している人が一定数おり、「審判の日がいつなのか?}「そもそも審判の日って何?」と気にしている人が多いようです。
審判の日とは
まず世間一般における「審判の日」とは、元々は宗教用語で、簡単にいうと例えばキリスト教などにおける終末論で、世界が終焉し、人間が裁きを受けること・・・天国or地獄どちらに行くかの審判を神(キリスト)から受けることを指します。「この世が終わる日」が「審判の日」です。映画ターミネーター・シリーズは、聖書をモチーフに作られているため、その終末論ベースで「救世主」ネタや「審判の日」という言葉が登場します。
そしてターミネーターにおける「審判の日」とは、自我に目覚めたコンピューター(A.I.)が暴走して人類を敵とみなし「核戦争を起こす日」のことを指します。Judgement Day(ジャッジメント・デイ)、J-Dayと呼ばれています。
さらに別の言い方をすると、シンギュラリティ1.0により特異点に達したA.I.が人類は敵であると算出し、人類を攻撃し始めた事象を「審判の日」と言っています。
ターミネーターにて審判の日を起こすコンピューター(A.I.)の名前はスカイネットで、そのスカイネットを作った会社名はサイバーダイン・システムズ(サイバーダイン社)ですが、近年、恐ろしい大人の事情で「スカイネット」という名前を使おうとしなくなり、会社名は曖昧模糊化されつつあります。
→詳細:ターミネーター映画大失敗の致命的な原因
ターミネーター各作品はパラレルワールドなので、「審判の日」は各作品によってコロコロ変わります。簡単に言うと「映画が作られるたびに先延ばしされていっている」のがターミネーターの審判の日です。
そんなターミネーター各作品の「審判の日」を以下にまとめました。
以下、各ターミネーター作品の、時代設定を含めた審判の日の解説です。
一部サイトでT1の審判の日を1997年8月29日としているものがありますが、それはT2の冒頭でサラ・コナーのナレーションで述べた年月日であり、当初のT2の時間軸の延長線上の「語られていた未来」の「審判の日」の日時です。T1の審判の日の年月日とは限らないのです。
などから逆算すると、カイル・リースは2001年~2004年頃に産まれたと推定されます(誕生年を2003年としているサイトもあれば、ジェニシスでは2004年としています)。
となると、T1における審判の日は「2000年前後」くらいまで絞られます。
さらに、
などから、T1における審判の日は1999年頃、とするのが妥当だと考えられます。
「今」というのは、T2の舞台である1994年のことです(T2の映画の公開年は1991年ですが、舞台は1994年です)。そこから3年後は1997年となります。
しかし、T2における出来事(サイバーダイン社爆破)により、この1997年8月29日という年月日は変わることになり、T2で述べられていた未来とは違う時間軸が、T2の後に始まることになります。
また、映画の最後のほうでも以下のようなジョン・コナーのナレーションがあります。
シーズン1第1話にて、キャメロンがサラ・コナーに以下のように説明します。
サラ・コナー・クロニクルズで1999年から2007年へタイムトラベルしたのは、審判の日(2011年)の少し前に到着して、スカイネットの芽を摘むためです。しかし、当初のスカイネットの芽は摘んだものの、別の芽が発生する、というニューフェイトの元ネタのようになっています。
→関連記事:チャールズ・フィッシャー監禁倉庫と時間軸変位
ちなみにサラ・コナー・クロニクルズでは、現代にやってきたレジスタンス(人類抵抗軍)の、触ると感電する隠し金庫の暗証番号を「審判の日」に設定してありました。
→関連記事:壁に隠し金庫があったレジスタンスのアジト
T4の冒頭では以下のような説明が表示されます。
の説がありますが、2011年が有力です。
→詳細:ターミネーター4の審判の日は2011年(T3と矛盾)
T4は、当初、三部作として、
というスケジュールで製作・公開が予定されていました。T4の続編が2011年公開の場合、2011年を舞台にするのは妥当性があります。ターミネーター各作品は通常、映画製作(公開)年~2,3年以内を審判の日と設定することが多いからです。その理由は、現代の街並みをそのまま使えるのでロケが楽、観客も年が近いと臨場感を持つことができる、からです。
尚、T4は公式にはT3の続編ではありません。
→詳細:ケイト・ブリュースターではないT4はT3の続編でもない事実
Yahoo!映画のこの2008年(“審判の日”から10年後の2018年)とする根拠(出展元)は、当時のT4の公式サイト(http://www.sonypictures.net/movies/terminatorsalvation/)の記述をそのままコピペしたものがYahoo!映画のページに残り続けていることによるものですが、現在はT4の公式サイトからはその記述は消えています。
その理由は、カイル・リースがタイムトラベルしている間に見た「GenisysというA.I.がスカイネットで、それがリリースされる日」「審判の日は2017年」という記憶の書き換えに基づいています。これは、カイル・リース到着前に、サラと老T-800が、1984年に到着したばかりの若T-800を倒してしまったために、そのパーツがサイバーダイン社に渡ることがなくなったことで、スカイネットの開発が遅れ、当初の1997年8月29日のT2の審判の日が消滅、時間軸が変わってしまったためです。
ジェニシスにおいては、「バックトゥザフューチャー」で写真の中の人が消えるがごとく、タイムトラベル中に記憶が書き換わる(時間軸の干渉を目にする)という、きわめて観念的・神がかり的な描写がなされています。そんなカイルリースの頭の中の曖昧な情報のみに基づいてタイムトラベル先を2017年に変えたサラコナーも無鉄砲ですが、何よりも、このジェニシスの劇中における審判の日の変位は、観客に多くの時間軸難民(迷子)を生み出し、ジェニシスの失敗の一因にもなってしまいました。
→関連:【解説】ターミネーター・ジェニシスの時間軸と疑問解決
しかし、2020年のグレースの子ども時代と、審判の日以降のまだ子どものグレースの外見的年齢がほぼ同じであることから、「ニューフェイト」における審判の日は2020年代初頭(2020~2023年頃)であることが分かります。
また、多くのターミネーター作品が、「作品が公開される年~2,3年以内」に審判の日を設定して臨場感・緊張感を持たせようとするため、ニューフェイトにおいても映画の公開年(2019年)から2,3年以内が審判の日であると考えるのは妥当な線です。
さらに、当初、ニューフェイトの続編は2022~2023年にかけての製作が予定されていたため、同時代を審判の日に合わせて臨場感を持たせる試みがなされることは十分考えられるので、ニューフェイトの審判の日は2022~2023年頃の可能性が高いです。
→関連:ターミネーター:ニュー・フェイト続編中止の理由
ちなみに、ニューフェイトにおける審判の日はどんなだったか?というと、劇中、グレースが以下のように語っています。
「ニューフェイト」はとにかく中国市場第一優先(Made for China)映画で、中国の検閲にそうためにグロ描写は無し、T2のような核の悲惨さの描写も無し、抵抗と人民蜂起の象徴のジョン・コナーは描けない、中国の「天網」に配慮して「スカイネット」という名前も使えない、などエッジがまるで効いていない、すべてが曖昧模糊な描写となっています。これが「ニューフェイト」が大コケ爆死した原因の1つです。
→詳細:ターミネーター映画大失敗の致命的な原因
そのため、ターミネーターの1作目、2作目はホラー調なグロシーンも多く、世紀末から逆算するような形で審判の日など一連の出来事が設定されています。
実際、アメリカの映画評論サイト「ロッテントマト」では、ターミネーター第一作目のジャンルは「Mystery&thriller(ミステリー&スリラー)」扱いになっています。
ただ、その相次ぐ「審判の日」先延ばし作戦と同じネタの繰り返しには、観客もすでに食傷気味で限界に達しているのは、最新作「ニューフェイト」の大コケ爆死具合からもはっきりしています。
ターミネーターにて審判の日を起こすコンピューター(A.I.)の名前はスカイネットで、そのスカイネットを作った会社名はサイバーダイン・システムズ(サイバーダイン社)ですが、近年、恐ろしい大人の事情で「スカイネット」という名前を使おうとしなくなり、会社名は曖昧模糊化されつつあります。
→詳細:ターミネーター映画大失敗の致命的な原因
審判の日はいつ?→コロコロ変わる
では、その審判の日はいつか?何年何月か?というと、1つではありません。ターミネーター各作品はパラレルワールドなので、「審判の日」は各作品によってコロコロ変わります。簡単に言うと「映画が作られるたびに先延ばしされていっている」のがターミネーターの審判の日です。
そんなターミネーター各作品の「審判の日」を以下にまとめました。
年表(審判の日)
- 1997~1999年(不明・世紀末):ターミネーター1(T1)
- 1997年8月29日:ターミネーター2(T2)
- 2004年7月25日:ターミネーター3(T3)
- 2011年4月21日:ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ
- 21世紀初頭(2011年?):ターミネーター4サルベーション(T4)
- 2017年10月:ターミネーター・ジェニシス
- 2022~2023年(2020年代初頭):ターミネーター・ニューフェイト
以下、各ターミネーター作品の、時代設定を含めた審判の日の解説です。
1997~1999年(不明・世紀末):ターミネーター1(T1)
1984年のロサンゼルスが舞台の映画『ターミネーター』(The Terminator, T1, 1984年)における「審判の日」は、実は不明です。映画の中では明らかにされていません。一部サイトでT1の審判の日を1997年8月29日としているものがありますが、それはT2の冒頭でサラ・コナーのナレーションで述べた年月日であり、当初のT2の時間軸の延長線上の「語られていた未来」の「審判の日」の日時です。T1の審判の日の年月日とは限らないのです。
- T1において、カイル・リースはサラ・コナーに「審判の日」の年月日は伝えていない
- カイル・リースは「廃墟の中で育った。」と言及している
- 未来の舞台が2029年であること
- 外見年齢や演じたマイケル・ビーンの年齢(当時28歳)
などから逆算すると、カイル・リースは2001年~2004年頃に産まれたと推定されます(誕生年を2003年としているサイトもあれば、ジェニシスでは2004年としています)。
となると、T1における審判の日は「2000年前後」くらいまで絞られます。
さらに、
- T1の出来事(ターミネーターのパーツ、つまり未来の技術が過去にもたらされたこと)によって、技術革新が早まってしまった結果、1997年のT2での審判の日が起きたこと
- そして、T1は当時の終末思想(21世紀になる前に世界は破滅するという世紀末の終末思想)の臨場感に便乗していたこと
などから、T1における審判の日は1999年頃、とするのが妥当だと考えられます。
1997年8月29日:ターミネーター2(T2)
1994年のロサンゼルスが舞台の映画『ターミネーター2』(Terminator 2: Judgment Day、T2、1991年)の審判の日は、1997年8月29日です。T2の中で以下のように述べられています。T-800の説明
In three years Cyberdyne will become the largest supplier of military computer systems・・・The system goes on-line on August 4, 1997・・・It becomes self-aware at 2:14 a.m. Eastern time, August 29.
今から3年以内にサイバーダインは最大の軍事コンピューターシステムのサプライヤーになる。そしてシステムは1997年8月4日に稼動し、8月29日2:14amに自我に目覚める。
「今」というのは、T2の舞台である1994年のことです(T2の映画の公開年は1991年ですが、舞台は1994年です)。そこから3年後は1997年となります。
サラ・コナーのナレーション
また、それを受けて、T2映画の冒頭のサラ・コナーのナレーションでも以下のように述べています。Three billion human lives ended on August 29,1997.
1997年8月29日(審判の日)に30億人が核爆弾で命を落とした。
しかし、T2における出来事(サイバーダイン社爆破)により、この1997年8月29日という年月日は変わることになり、T2で述べられていた未来とは違う時間軸が、T2の後に始まることになります。
2004年7月25日:ターミネーター3(T3)
2004年のロサンゼルスが舞台の映画『ターミネーター3』(Terminator 3: Rise of the Machines、T3、2003年)の審判の日は2004年7月25日18:18pm、という設定です。T-850が腕時計で日時を確認
まずT3の冒頭のレディース・ナイトのバー、Agua Dulce(アグア・ダルシー)のDesert Starのシーンにて、シュワちゃんT-850が腕時計で日時を確認するシーンがあり、以下のように表示されています。ACCURATE→詳細:ターミネーター3が腕時計だった理由
07.24.2004
(正確 2004年7月24日)
T-850の説明
さらにその翌日7月25日の15時頃のシーンで、T-850シュワちゃんから以下のような説明があります。The first launch sequences will be initiated at 6:18 p. m.
(今から3時間後の)午後6時18分に最初のミサイルが発射される。
また、映画の最後のほうでも以下のようなジョン・コナーのナレーションがあります。
The attack began at 6:18 PM, just as he said it would. Judgment Day, the day the human race was almost destroyed by the weapons they'd built to protect themselves.
スカイネットの攻撃はT-850が言ったように午後6時18分に始まった。審判の日・・・人類が自分たちを守るために作った武器によってほぼ破壊させられた日だ。
2011年4月21日:ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ
1999年飛んで2007年~2008年が舞台の『ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ』(Terminator: The Sarah Connor Chronicles、TSCC、2008-2009年)での「審判の日」は2011年4月21日です。シーズン1第1話にて、キャメロンがサラ・コナーに以下のように説明します。
The Skynet missile defense system goes online April 19, 2011. Declares war on mankind and triggers a nuclear apocalypse two days later.
2011年4月19日にスカイネットのミサイル防衛システムがオンになり、その2日後に人類に戦線布告、核ミサイルを発射した。
サラ・コナー・クロニクルズで1999年から2007年へタイムトラベルしたのは、審判の日(2011年)の少し前に到着して、スカイネットの芽を摘むためです。しかし、当初のスカイネットの芽は摘んだものの、別の芽が発生する、というニューフェイトの元ネタのようになっています。
→関連記事:チャールズ・フィッシャー監禁倉庫と時間軸変位
ちなみにサラ・コナー・クロニクルズでは、現代にやってきたレジスタンス(人類抵抗軍)の、触ると感電する隠し金庫の暗証番号を「審判の日」に設定してありました。
→関連記事:壁に隠し金庫があったレジスタンスのアジト
21世紀初頭(2011年?):ターミネーター4サルベーション(T4)
2018年が舞台の映画『ターミネーター4』(Terminator Salvation、T4、2009年)における審判の日は、映画の中では「21世紀初頭」との言及しかなく劇中では明らかにはされていません。T4の冒頭では以下のような説明が表示されます。
Early in the 21st century, Skynet, a military defense program, became self-aware. Viewing humanity as a threat to its existence, Skynet decided to strike first. The survivors of the nuclear fire called the event Judgement Day.巷には、T4の審判の日は、
21世紀初頭、軍事防衛プログラムのスカイネットは自我に目覚めた。人間を脅威とみなし、スカイネットが先制攻撃を決行した。核攻撃の生存者たちはそれを審判の日と呼んだ。
- 2004年(T3の続編とした場合)
- 2008年(Yahoo!映画 ※下記参照)
- 2011年
の説がありますが、2011年が有力です。
2011年の理由
その理由としては、T4のマックG監督が、来日時のインタビュー等にて、『T4三部作の2作品目は、2011年が舞台であり、ジョン・コナーが2011年にタイムトラベルして出現し、2011年の現代人に「ターミネーターがやってくるぞ!」と警告する』ストーリーを明かしているからです。つまり、2011年以前の時点でまだT4の時間軸では審判の日は起きていないことになります。→詳細:ターミネーター4の審判の日は2011年(T3と矛盾)
T4は、当初、三部作として、
- 2009年:T4サルベーション
- 2011年:T4サルベーションの続編2←ジョン・コナーが現代2011年にタイムトラベルしてくる
- 2013年:T4サルベーションの続編3
というスケジュールで製作・公開が予定されていました。T4の続編が2011年公開の場合、2011年を舞台にするのは妥当性があります。ターミネーター各作品は通常、映画製作(公開)年~2,3年以内を審判の日と設定することが多いからです。その理由は、現代の街並みをそのまま使えるのでロケが楽、観客も年が近いと臨場感を持つことができる、からです。
尚、T4は公式にはT3の続編ではありません。
→詳細:ケイト・ブリュースターではないT4はT3の続編でもない事実
Yahoo!映画は2008年(誤)
ちなみに「映画情報やレビューの総合サイトYahoo!映画」では、T4の審判の日は当初の古い情報が更新されず、2008年ということになっています。ターミネーター4 TERMINATOR SALVATION
あらすじ・解説
“審判の日”から10年後の2018年。人類軍の指導者となり、機械軍と戦うことを幼いころから運命づけられてきたジョン・コナー(クリスチャン・ベイル)。今や30代となった彼は、人類滅亡をもくろむスカイネットの猛攻が開始されようとする中、ついに人類軍のリーダーとして立ち上がることになる。
解説:
アーノルド・シュワルツェネッガーの代表作となった大ヒットSFアクション3部作の新生シリーズ第1弾。人類滅亡を意味する“審判の日”から10年後の2018年を舞台に、30代となったジョン・コナーが人類軍の指導者となり・・・
https://movies.yahoo.co.jp/movie/331380/
Yahoo!映画のこの2008年(“審判の日”から10年後の2018年)とする根拠(出展元)は、当時のT4の公式サイト(http://www.sonypictures.net/movies/terminatorsalvation/)の記述をそのままコピペしたものがYahoo!映画のページに残り続けていることによるものですが、現在はT4の公式サイトからはその記述は消えています。
2017年10月:ターミネーター・ジェニシス
1973年飛んで1984年飛んで2017年のロサンゼルス~サンフランシスコが舞台の映画『ターミネーター: 新起動/ジェニシス』(Terminator Genisys、2015年)の審判の日は2017年10月です。その理由は、カイル・リースがタイムトラベルしている間に見た「GenisysというA.I.がスカイネットで、それがリリースされる日」「審判の日は2017年」という記憶の書き換えに基づいています。これは、カイル・リース到着前に、サラと老T-800が、1984年に到着したばかりの若T-800を倒してしまったために、そのパーツがサイバーダイン社に渡ることがなくなったことで、スカイネットの開発が遅れ、当初の1997年8月29日のT2の審判の日が消滅、時間軸が変わってしまったためです。
ジェニシスにおいては、「バックトゥザフューチャー」で写真の中の人が消えるがごとく、タイムトラベル中に記憶が書き換わる(時間軸の干渉を目にする)という、きわめて観念的・神がかり的な描写がなされています。そんなカイルリースの頭の中の曖昧な情報のみに基づいてタイムトラベル先を2017年に変えたサラコナーも無鉄砲ですが、何よりも、このジェニシスの劇中における審判の日の変位は、観客に多くの時間軸難民(迷子)を生み出し、ジェニシスの失敗の一因にもなってしまいました。
→関連:【解説】ターミネーター・ジェニシスの時間軸と疑問解決
2022~2023年(2020年代初頭):ターミネーター・ニューフェイト
2020年のメキシコとロサンゼルスが舞台の映画『ターミネーター: ニュー・フェイト』(Terminator: Dark Fate、2019年)の審判の日は不明です。しかし、2020年のグレースの子ども時代と、審判の日以降のまだ子どものグレースの外見的年齢がほぼ同じであることから、「ニューフェイト」における審判の日は2020年代初頭(2020~2023年頃)であることが分かります。
また、多くのターミネーター作品が、「作品が公開される年~2,3年以内」に審判の日を設定して臨場感・緊張感を持たせようとするため、ニューフェイトにおいても映画の公開年(2019年)から2,3年以内が審判の日であると考えるのは妥当な線です。
さらに、当初、ニューフェイトの続編は2022~2023年にかけての製作が予定されていたため、同時代を審判の日に合わせて臨場感を持たせる試みがなされることは十分考えられるので、ニューフェイトの審判の日は2022~2023年頃の可能性が高いです。
→関連:ターミネーター:ニュー・フェイト続編中止の理由
ちなみに、ニューフェイトにおける審判の日はどんなだったか?というと、劇中、グレースが以下のように語っています。
Dani Ramos: Grace, tell me what happens when this all falls apart.
ダニー:グレース、世界の終わるとき、何が起きたのか教えて。
Grace: Nothing happens. There's no warning. Day one, everything just stops. No phones, no power. Cities go dark. They told us we had to leave, just until things got back to normal. But normal was never coming back. Day two, they launched nukes. They thought they could contain Legion with tactical EMP strikes. And by day three, the whole world was at war. Millions died. And then, when the food ran out, billions.
むしろ何も起きなかった。警告もなかった。1日目、すべてが止まった。電話、電気。町は真っ暗になった。平常にもどるまで避難しろと言われた。しかし平常は二度と戻ってこなかった。2日目、核ミサイルを発射した。EMP攻撃でリージョンを阻止できるはずだと考えたからだ。そして3日目には全世界が戦争となった。数百万人が死んだ。それから食糧が尽き、数十億人が死んだ。
「ニューフェイト」はとにかく中国市場第一優先(Made for China)映画で、中国の検閲にそうためにグロ描写は無し、T2のような核の悲惨さの描写も無し、抵抗と人民蜂起の象徴のジョン・コナーは描けない、中国の「天網」に配慮して「スカイネット」という名前も使えない、などエッジがまるで効いていない、すべてが曖昧模糊な描写となっています。これが「ニューフェイト」が大コケ爆死した原因の1つです。
→詳細:ターミネーター映画大失敗の致命的な原因
まとめ
最初はホラー映画として作られた
元々、ターミネーターは、世界および人類が最後には破滅を迎える運命にあると説く聖書の「終末思想」や、世紀末の1999年に人類が滅亡するという「ノストラダムスの大予言」などの「世紀末思想」に便乗して、それらがあたかも現実に起きるという不安感を煽ってのホラー映画として作られたのが始まりです。(1980年代は「13日の金曜日」などホラーブームでもありました。)そのため、ターミネーターの1作目、2作目はホラー調なグロシーンも多く、世紀末から逆算するような形で審判の日など一連の出来事が設定されています。
実際、アメリカの映画評論サイト「ロッテントマト」では、ターミネーター第一作目のジャンルは「Mystery&thriller(ミステリー&スリラー)」扱いになっています。
「審判の日」先延ばしの限界
世紀末が過ぎ去って21世紀になってからは、世紀末の恐怖感が失われてしまったため、苦肉の策として、各ターミネーター作品は、作品の舞台の現在から遅くとも2,3年以内に審判の日が起きる、という設定にして、緊迫感と臨場感を持たせようとしている、という共通点があります(そのほうがロケ・撮影、衣装・小道具などの準備が楽、という大人の事情もあります)。ただ、その相次ぐ「審判の日」先延ばし作戦と同じネタの繰り返しには、観客もすでに食傷気味で限界に達しているのは、最新作「ニューフェイト」の大コケ爆死具合からもはっきりしています。