ターミネーターT2-3DとTENET(テネット)の戦場廃墟

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ターミネーター2-3Dとテネットの共通点

『ターミネーター: ニュー・フェイト』(Terminator: Dark Fate)よりも、「やはりこれこそが『ターミネーター2』の正統な続編だ。」と国内外の巷でささやかれている作品があります。

それが『ターミネーター 2:3-D』(Terminator 2:3-D/T2-3D: Battle Across Time、1996年)です。

ご存じユニバーサル・スタジオのアトラクションでやっていたので、「体験」した人も多いはずです。

『アバター』(3D)のルーツ

この『ターミネーター 2:3-D』は、ジェームズ・キャメロンが「監督」と「脚本」も担っているので、ジェームズ・キャメロンが「製作総指揮」として軽くしか関わっていない『ターミネーター: ニュー・フェイト』よりもキャメロンの関わりは深く、実務的な意味でも『ターミネーター2』の「正統な続編」と言えます。

何よりも、『ターミネーター2』のイメージとキャラクターを大切にしているところが、『ターミネーター: ニュー・フェイト』と大きく違います。

ジェームズ・キャメロンは、このT2:3Dをきっかけに3D映像の可能性に目覚めていったので、ある意味、『アバター』シリーズのルーツが、この『ターミネーター 2:3-D』であったとも言えます。

そんな『ターミネーター 2:3-D』が撮影されたのは、以下のロケ地です。

T2-3D: Battle Across Time のロケ地

ターミネーター2-3Dの未来の戦場ロケ地

バイクに乗ったT-800とジョン・コナーを追いかける液体金属T-1000の背後に、このイーグル鉱山廃墟のシンボルともいえる、テトラポットのような直方体のコンクリートの建造物(廃墟)が映っています。

ドローンを円盤のように手で投げて破壊する、クライマックスシーンも、このコンクリート直方体建造物の柱の特徴をうまくいかして撮影されています。

バイクに乗ったT-800がシュワちゃん顔ではなく、明らかにスタントマン顔であることは、T2本編と同じでご愛敬、といったところです。尚、この「バイクに乗ったターミネーターT-800が明らかにシュワちゃん顔ではない問題」は、ずっとジェームズ・キャメロンも気にしていたのか、T2レストア版では修正されています。
→詳細:ターミネーター2・4Kレストア版の違い【スカイネット並みの過去修正】

T1,T2の未来の戦場シーンは、実はほとんどがミニチュアでしたが、短編であるにもかかわらず、この『ターミネーター 2:3-D』が、広大な敷地に未来の戦場をしっかり再現して撮影したことは、不思議です(T2が大ヒットしたので、予算が付いたのでしょう)。
→詳細:ターミネーターが泳げず沈んだ巨大プールはT1,T2特撮工房

イーグル鉱山廃墟

イーグル・マウンテンにあるこのイーグル鉱山は、1880年代から金銀の採掘が始まり、1948年から本格的に近代的鉱山として亜鉛などの採掘を稼働し始めました。しかし汚染などの問題もあり、1983年頃には閉山に至りました。

『ターミネーター 2:3-D』に登場する鉱山廃墟以外にも、その南側には鉱山の従業員とその家族が住んだ街(居住区域)の家屋群や学校、教会など町ごと一式、廃墟化して現存しています。その姿は、まるで昔、日本の代々木公園にあったワシントンハイツ(米軍施設)を彷彿させます。広大な荒野に整然と並んだその姿はかなりの迫力で、廃墟マニアの垂涎の的となっています。

この未来の戦場シーンの見所・解説

映画「テネット(TENET)」でも戦場のロケ地

このイーグル鉱山ですが、最近でもクリストファー・ノーラン監督の映画『TENET テネット』(2020年)での、時間の逆行が入り乱れる戦場のロケ地としても使われていました。

『ターミネーター 2:3-D』に登場したテトラポットのような直方体建造物の他にも、このイーグル鉱山廃墟の名物建造物として、昔、ベルトコンベアを乗せていた「巨大な橋脚」が遺跡のようにそびえ立っており、それが『TENET テネット』でも印象的に使われていました。

クリストファー・ノーラン監督は、この映画『TENET テネット』のために、このイーグル鉱山廃墟の広域をセット化するのに、相当な金額をつぎ込んだようです。

「時間」をテーマにした2作品が、同じロケ地を戦場として使っている点に不思議な因縁を感じます。

T2の5年後のジョン・コナーの顔(ニューフェイトとの矛盾)

『ターミネーター 2:3-D』では、T2から5年が経過した正統なジョン・コナーを見ることができます。

『ターミネーター 2:3-D』は、T2と同じキャスティングで撮影されており、エドワード・ファーロング自身がジョン・コナーを演じています。

T2の舞台は1994年ですが、映画公開は1991年で、『ターミネーター 2:3-D』が撮影されたのは、1996年です。

つまり、1996-1991=5 ということで、『ターミネーター 2:3-D』では、T2から5年経過して、成長したエドワード・ファーロングを見ることができます。実際、T2の頃よりもほっそりと、少し顔は面長になり、背丈も伸びていることが確認できます。

一方、『ターミネーター・ニューフェイト』でジョン・コナーが南米・グアテマラで消されたのは1998年という設定でした。

ということは、1998-1994=4 ということで、『ターミネーター・ニューフェイト』で登場したエドワード・ファーロング顔のジョン・コナーは、T2(1994年が舞台)から4年後の姿、4年間 成長した容姿になっていなければなりません。

つまり、限りなく『ターミネーター 2:3-D』のジョン・コナーの容姿に近くなければならないのですが、『ターミネーター・ニューフェイト』でCGで再現されたジョン・コナーはT2からまるで成長していない顔、そして『ターミネーター 2:3-D』のジョン・コナーの容姿ともまったく違う・・・という矛盾が生じていることが、この『ターミネーター 2:3-D』から確認できます。

レーザーサイト大好きジェームズ・キャメロン演出

この『ターミネーター 2:3-D』の未来の戦場でのバトルでは、ジョン・コナーが、壁を突き崩して現れたT-800(エンドスケルトン)のプラズマライフルのレーザーサイトで照射され、今にも撃たれようとするシーンがあります。

ジェームズ・キャメロンは、

  • T1でもAMTハードボーラーにレーザーサイトを付け、
  • T2でもサラ・コナーのアサルト・ライフル(Colt CAR-15)にレーザーサイトを付け

ており、レーザーサイトの演出は、これが3作品目となります。ジェームズ・キャメロンはレーザーサイト演出大好き監督なのです。

レーザーサイトを使用する効果としては、「今、どこを狙っているか?」「今まさに撃たれようとしている。」という緊迫感を観客に分かりやすく伝えることができる点が挙げられます。

いずれのシーンも、レーザーサイトはまったく必要ないのですが(特にターミネーターは射撃するのにレーザーは必要ないので)、ジェームズ・キャメロンならでは演出の特徴、観客に分かりやすくなるような演出の工夫だったと言えるでしょう。

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