ターミネーター2・4Kレストア版の違い【スカイネット並みの過去修正】

ターミネーター

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4K版ターミネーター2の違い

映画『ターミネーター2』(Terminator 2: Judgment Day / T2)1991年に関して、

  • ターミネーター2 4K Ultra HD Blu-ray(6,800円+税)
  • ターミネーター2 4K レストア版(4,800円+税)

というのが、2019年に発売されましたが、この「4K」版の2つが、それ以前までに発売されていたDVDやブルーレイ、劇場公開版などと どう違うのか、についてメモしておきます。
画質についての違いを言及している日本語サイトがほとんどですが、画質が良くなっているのは当たり前なので、当ページでは、それ以外の文字通り「リストア」(補修/修復)された部分について主に言及します。

スカイネット並みに過去を修正しようとしたT2「4K」版

実は、画質以前に、かなり多くの細々とした箇所・・・特に撮影ミスの部分が修正されています。それはまるで、映画の中のスカイネットが過去を変えてしまおうとするが如くです。

ジェームズ・キャメロンならではの細かい修正というか、かねてから指摘されていた、世間からの細かいツッコミを、ジェームズ・キャメロンがかなり気にしていたことがうかがえます。

以下は、その主たる細かい修正部分を、時系列に列挙していきます。

バイカーのグニャグニャ・ナイフを修正

映画冒頭のほうで、シュワちゃんT-800がバイカーが集うバー「The Corral」(ザ・コラル)で、バーの客の一人にナイフで突き刺されるシーンがあります。

シュワちゃんを突き刺そうとする際、そのナイフがシュワちゃんの体に当たった途端、グニャっと曲がるのが確認できます。撮影時、ケガをしないようにゴムで作られた偽物の撮影用ナイフを使っていたからです。

しかし、4K版では、その曲がったナイフが、曲がっていないように画像修正が加えられています。

T-1000の股間のアソコをカット

T-1000が3つのターミネーター作品に登場した【6th St Bridge】に到着したシーンで、全裸のT-1000が、しゃがんで警官から銃を奪う際、劇場公開版ではT-1000を演じたRobert Patrick(ロバート・パトリック)の股間の一物が、ちらりと見えてしまっていたのですが、4K版では、その部分が除去されています。

また、その部分を隠すためか、もしくはもっと液体金属感を出すためか、そのシーンを全体的に、より暗く青色っぽく、デジタル修正が加えられています。そのため、劇場公開版では肌色っぽかったT-1000の全裸の色が、4K版では青色っぽく変わり、メタル感が増加しています。
→関連記事:ジョン・コナーの犯罪履歴とパトカー端末

トラック後方からはみ出ていた撮影機材を消去

ショッピングモール「GALLERIA(ギャレリア/ギャラリア)」での初バトルの後、T-1000がトラックを奪いますが、そのトラックを正面から見たアングルで、トラックの後部荷台の左下部に撮影用のカメラ(撮影用の足場)が実は映り込んでいました。

その映り込んでいたトラック後方脇に取り付けたカメラ(撮影用の足場)が、4k版ではデジタル修正で消去されています。

トラックのフロントガラスの辻褄を合わせた

これはもうかなりいろいろなところで指摘されている有名な撮影上のミスですが、T-1000が運転するトラックが、用水路に突っ込んできた際、運転席前のフロントガラスが、衝撃で落下して無くなります(フロントガラス消失)。

しかし、直後のシーンではフロントガラスはまだ付いたままで、T-1000がそのフロントガラスを手で押し退けてどかすという、シーン接続の矛盾が生じていました。

4k版では、トラックが用水路に落ちた際、「フロントガラスは付いたまま」に修正され、後続のシーンと辻褄合わせがなされています。

スタントマンの顔をシュワちゃん顔に修正

その後、シュワちゃんことアーノルド・シュワルツェネッガー演じるT-800がバイクに乗って、ジョンコナーを救いに用水路にやってきますが、そのバイク運転手の顔が「明らかにシュワちゃんと違う」(=スタントマンの顔そのままである)ことが、あちこちでネタにされていました。

4k版では、そのバイクのスタントマンの顔が、「シュワちゃん顔」に修正されています。

用水路に映りこんでいたカメラの足場を消去

そのシーンの続きで、T-1000の運転するトラックが、「CAUTION 9-11」と書かれた橋桁に衝突して炎上します。

その際、トラックの右上、用水路の上の側面に、撮影用のカメラの足場が、また映り込んでいたのですが、4K版では、それが削除されています。

ちなみにそのT-1000が運転するトラックがぶつかった真ん中の橋桁は、衝突シーンを作り出すために付け加えられた撮影用のもので、本来はその橋には中央の橋桁は存在していません。

パトカー後部のスタントマンや撮影隊の映り込みを削除

サラコナーが入っていたPescadero State Hospital(ペスカデロ警察病院)から脱出する際、奪ったパトカーでバックしながら、病院のフェンスを突き破りますが、その際、パトカーのバックシートに、スタントマンの後頭部が映ってしまっています。

また、そのシーンでは、右奥のフェンスのところに、思いっきり撮影隊と撮影機材が映り込んでしまっています。

4K版では、その後頭部と撮影隊&機材がすべて消去されています。

シュワちゃんの「本物の腕」を消去

終盤のT-800とT-1000の、工場内でのバトルシーンで、シュワちゃんT-800が、滑車(歯車)に挟まった腕を自ら引きちぎるシーンがあります。その際、引きちぎって破損した腕のうしろ(背中側)に、隠していたシュワちゃんの本当の腕が思いっきりぶらーんと映っていました(つまりT-800は腕が3本あるように見える)。

その映ってしまっていた「シュワちゃんの本当の腕」が画像処理で消去されています。

腕を動かすワイヤーを消去

その後もT-800とT-1000のバトルは続き、シュワちゃんT-800が金属棒で串刺しになる直前、T-800が「ほふく前進」のようにはいつくばって動くシーンがあります。

その際、破損した左腕を動かすために、シュワちゃんの皮ジャンの背中側からワイヤーがつながっていたのですが、そのワイヤーが2本ほど、画面に映ってしまっていました。

4k版では、そのワイヤーがデジタル処理で消されています。

その他いろいろイメージ強調色に変更

その他、例えば溶鉱炉に沈んでいくシーンで、溶鉱炉の中の液体を、赤黒い色だったものを、より鮮やかな黄赤色に変更して、より感動的に見えるような変更や、前述のようにT-1000の全裸から肌色感を無くして、よりメタル感を出したり・・・というように、「黒いモノはより黒く、鮮やかな色はより鮮やかに」 色合いが両極端に振れるような、心理効果を狙った画面全体の色の修正が加えられています。

全体的には、4k版は、画質改良というよりも、上述のような粗(あら・・・撮影ミス)のほうを修正することが主目的だったのでは?とも感じられます。

それでも完璧な修正は失敗

以上、スカイネットが過去を修正しようとするがごとく、いろいろ細々と修正が加えられている4K版ですが、これまた映画のスカイネット同様、完璧な修正は達成できず、実はまだツッコミどころがたくさん残っています。

例えば、ジョン・コナーのバイク・シーン(特に飛ばすシーン)のスタントマンの顔は、そのままです。明らかにエドワード・ファーロングとは違う顔の人が4k版でもバイクに乗り続けています。

また、サイバーダイン社の入口付近で、シュワちゃんが「I'll be back.」と言った後、SWAT部隊がシュワちゃんT-800に一斉射撃をするシーンがありますが、そのSWAT部隊の背後(窓の外)左側に、呑気に歩く撮影スタッフが映り込んだままになっています。

それ以外にも、以下の迷(名)シーンも修正できなかったようでそのまま残っています。


以上のように、ターミネーター2には噛めば噛むほどおいしい「隠された魅力」がまだまだ存在します。
【映像特典】:ターミネーター2:25年目の真実/メイキング・オブ・T2/未公開シーン2種/2017年版劇場予告/予告編集/コメンタリー

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