バル・ベルデ共和国と同じ世界線の映画20選

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バル・ベルデ共和国旅行ガイドブック

ハリウッド映画によく登場するブラックな中南米の「例の国」といえば、「バル・ベルデ共和国」(The Republic of Val Verde)。

そんなバル・ベルデ共和国に端を発する「バルベルデ・ユニバース」をたどっていくと、実は「マーベル・ユニバース」よりも大きい(稼いでいる)のではないか?と言えるような、映画における隠れた世界線が存在していることに気づきます。

バル・ベルデとは

「バル・ベルデ共和国」は、ストーリー上の中南米の闇(カオス)を一手に引き受け、ハリウッド映画における中南米の代表国であり、知る人ぞ知る架空の国です。

バル・ベルデ(Val VerdeVal) とは スペイン語で valle (谷)Verde(緑)で、「緑の谷」という意味です。そのため、バル・ベルデ共和国が映画に登場する場合、その国旗やロゴなどに「緑」色や谷(山)があしらわれていることが多いです。

そのまま人名にもなっており、Valverdeという苗字(姓)のサッカー選手・監督がウルグアイやスペインに実在します。

バル・ベルデはいろいろな作品に登場しますが、メジャーな作品では、以下の3つがあります。

  1. コマンドー(1985年)
  2. プレデター(1987年)
  3. ダイ・ハード2(1990年)

なぜこの3つに登場するのか、というと脚本家Steven E de Souza(スティーヴン・E・デ・スーザ)が同じだからです。

スティーヴン・E・デ・スーザは、深い意味はなく「一種のジョーク」として、このバルベルデ共和国という名前を使ったそうですが、それが今ではwikipediaまで作られるほど広がりを見せたことに本人は驚き、「もしバルベルデ共和国が実在したなら、私の銅像がその国に建てられることだろう。」と冗談を言っています。

1.『コマンドー』バル・ベルデ共和国の空港

バルベルデ共和国発祥の映画となった『コマンドー』(Commando、1985年)では、バルベルデ共和国の元独裁者アリエスが、メイトリックス(アーノルド・シュワルツェネッガー)を利用して、バルベルデ共和国の大統領に返り咲こうとするストーリーです。

映画の中では、バルベルデ共和国の空港が直接的に、登場していました。そのロケ地はこちら。

バル・ベルデ共和国の空港(ロケ地)

バルベルデ空港とロングビーチ空港

アメリカ・ロサンゼルス南部にある、ロングビーチ空港のターミナルが、バルベルデ共和国の空港として撮影に使われていました。

ターミナル正面の、ふだん「Long Beach Airport」と掲げられている看板は、劇中では「AEROPUERTO VAL VERDE」(バル・ベルデ空港)とスペイン語の看板で覆い隠され、ターミナル建物前では、肌が褐色の中南米風の人々(エキストラ)や屋台などであふれさせ、バルベルデ感を演出していました。

ちなみに『コマンドー』でのバルベルデ共和国の設定は、「ロサンゼルスからウェスタン航空の直行便で11時間のフライトの距離」ということになっていました。

ロサンゼルスの小さな地方空港を、中南米の国の国際空港として撮影しているのがおもしろいところですが、クライマックスのアリエスの孤島の豪邸での銃撃戦も、ロサンゼルスで撮影されています。
→詳細:映画コマンドー孤島の怪(海・浜辺・兵舎・豪邸)

このように映画『コマンドー』はすべてロサンゼルスの近場で撮影を済ませており、TVドラマ並みかそれ以下の、かなり低予算で作られたコスパのよい映画だったことがロケ地探訪からも分かります。
→詳細:映像使いまわしでコスパ最強映画「コマンドー」

2.『プレデター』戦場はバル・ベルデ共和国

同じくアーノルド・シュワルツェネッガー主演の映画『プレデター』(Predator、1987年)では、 プレデターとの戦場となった森林はバルベルデ共和国、という設定でした。実際のロケ地はメキシコです。

その地がバルベルデであることは、劇中、地図とともにチラッと示唆されていました。

尚、バルベルデ共和国以外にも、映画『コマンドー』と『プレデター』の両方に登場したものがあります。

それがこちら・・・「3つの映画に登場した腕時計」です。

3.『ダイ・ハード2』バル・ベルデ共和国の将軍(麻薬王)

映画『ダイ・ハード2』(Die Hard 2: Die Harder、1990年)では、ワシントン・ダレス国際空港を占拠したテロリストの目的は、軍用機で護送されてくるバル・ベルデ共和国の麻薬王エスペランザ将軍の奪還であり、それがこの映画の骨子となっていました。

護送される前に、TV中継の画面にて、バル・ベルデ共和国のエスカロン国際空港の様子などが映像として映っていました。このエスカロン国際空港が、前述『コマンドー』に映っていた「AEROPUERTO VAL VERDE」のことを指しているのかは不明です。
羽田空港を東京国際空港とも呼ぶのと同じようなことかもしれません。

そのエスカロン国際空港からエスペランザ将軍は軍用機C-130で護送されてくるのですが、そのC-130の機体側面には、バルベルデ共和国の国旗が掲示されていました。そしてこのC-130輸送機に関しては、劇中、摩訶不思議な怪奇現象が起きていました。
→詳細:C-130と手榴弾33秒の手品を楽しむ映画ダイ・ハード2

バルベルデ共和国は本来、共産主義(社会主義)国家という設定ですが、このC-130輸送機はアメリカの戦闘機の護衛を付けて米国まで飛来しており、また、そもそも麻薬王が米国に引き渡されるという時点で、民主主義的な米国寄りの傀儡政権が、その時点ではバルベルデで樹立していたことがうかがえます。このあたりの政治的なカオスな状態という設定も『ダイハード2』や『コマンドー』などと共通するものがあります。

トリビア

日本にはヴァルヴェルデという株式会社がある

ちなみに日本(大阪)には、株式会社Valverde(ヴァルヴェルデ)という会社が実在します。社名の由来は会社のサイトには書かれていませんが、造園業も営んでおり、会社の看板も緑で囲まれていることから、スペイン語の「緑の谷」に由来しているものと思われます。映画でネタとして使われている名前であることを、この会社がご存知かどうか興味深いところです。

女性ニュースキャスターが同じ

バル・ベルデ共和国と同じく、Steven E de Souza(スティーヴン・E・デ・スーザ)が脚本を担当した複数の映画に登場する女性ニュースキャスター(同一人物)がいます。

Gail Wallens(ゲイル・ヴァレンス/ウォレンス)という女性ニュースキャスターが、映画『ダイ・ハード1』(1988年)と、デンゼル・ワシントン主演映画『リコシェ』(Ricochet、1991年)にも登場し、ともにMary Ellen Trainor(メアリー・エレン・トレイナー)という同じ女優さんが演じています。

貨物輸送会社が同じ

前述の女性ニュースキャスターと同じような感じですが、映画『ダイ・ハード1』(1988年)でナカトミ・プラザビルを占拠したテロリストらが乗って来たバン(トラック)は、Pacific Courier(パシフィック・クーリエ)と書かれていました。

キアヌ・リーヴス主演映画『スピード』(1994年)で、爆弾が仕掛けられたバスが激突して大爆発を起こした飛行機には、Pacific Courier Freight(パシフィック・クーリエ貨物)と書かれていました。FEDEXとかDHLとかそんなイメージの貨物輸送専用機です。
Pacific Courier貨物輸送

ともにロゴが上下に丸い矢印かつ背景もで同じ、『ダイ・ハード1』の撮影監督が、『スピード』の監督ヤン・デ・ボンなので、『ダイ・ハード1』から派生した同じ貨物輸送会社であり、両作品は同じ世界線にある、ということになります。

ちなみにハワイ・ホノルルに国際宅配便サービスを行うPacific Couriers, Inc. という会社がありますが、これはたまたま同名だっただけで(sが付くか付かないかなども違いはある)、映画とは関係ないようです。ロゴなども違います。

マーベル・ユニバースより巨大?なバルベルデ・ユニバース

バルベルデ・ユニバース世界線
バルベルデは、これ以外にも、
https://en.wikipedia.org/wiki/Val_Verde_(fictional_country)
にあるように、様々な映画やTVドラマ、アニメ、ゲームなどにも登場するようになります。

このバル・ベルデやPacific Courierの世界線(ユニバース)をつなげていくと、エイリアン・シリーズの『プロメテウス』『エイリアン:コヴェナント』、プレデター・シリーズの『プレデター2』(エイリアンのスカルが登場)『AVP2』『プレデターズ』『ザ・プレデター』『プレデター:ザ・プレイ』など総計20作品以上がつながることになり、マーベル・ユニバース(Marvel Universe)よりも大きく、かつマーベル・ユニバースよりも興行収入を稼いでいる、と指摘する海外の映画ファンもいます。

以上、映画はシリーズの縦のつながりだけでなく、別の作品同士でも横断的につながっている設定があり、例えば、このE.T.はフォースの使い手でヨーダと同世界の生物のように、違う映画だけど同一世界のお話だったりと裏設定を吟味するのも、映画の楽しみ方の1つです。

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