映画『ゴーストバスターズ』に登場したマンションを、どこか彷彿させるNTTドコモ代々木ビルの形と孤高さ。
NTTドコモ代々木ビルは電波の発信塔ですが、『ゴーストバスターズ』のマンションは、 Spook Central(お化けの集積地点)として霊の発信塔と化していました。
そんな『ゴーストバスターズ』(Ghostbusters、1984年)は、特に
- ゴーストバスターズがオフィス(事務所)を構えた元消防署の建物
- ディナ(シガニー・ウィーバー)が住んでいたマンション(上図左)
の2つが、アメリカ・ニューヨークにおける、映画のロケ地巡りの人気なスポットになっています。
しかし、2のディナ(シガニー・ウィーバー)が住んでいたマンションのほうは、実際に訪れてみるとガッカリする人も多いようです。
なぜなら実際の物件は、映画の半分くらいの高さしかないからです。
ディナのマンション(ゴーストバスターズ)
ロケーション
- 55 Central Park West, New York, NY 10023 U.S.A.
- 座標:40.77230898524126, -73.97912762946271
- https://en.wikipedia.org/wiki/55_Central_Park_West
1929年に建てられたこのマンション(アパート)は、The Ghostbusters Building, The Shandor Building, The Shandor Apartments, Spook Centralなど、いろいろな愛称で呼ばれています。
実際の高さは約 半分
上図でわかるように、映画『ゴーストバスターズ』では、実際の高さより2倍近く かさ増しして登場していました。本当は、現存する右隣の建物とあまり高さは変わりません。にもかかわらず、映画の中では高さが突出しています。つまり、実際のこの建物は、映画のものより半分近い低さで、拍子抜けします。
上部の形も、映画では「NTTドコモ代々木ビル」のように、上に行くにつれて段々に尖っていく形でしたが、実際の建物には「とんがり感」はあまりありません。屋上は広くて平たく、現在はペントハウスとテラス仕様になっています。
『ゴーストバスターズ』の劇中、何度かこのマンションを遠方から空撮したようなシーンがありますが、あれはすべて特撮(加工映像)だったのです。
周囲の建物も低く加工
なおかつ、周囲の建物を低くした加工映像を流して、あたかもこのディナのマンションが孤高の神殿のような演出がなされていました。例えば左側のビルは、実際はディナのマンションの2倍くらいの高さですが、高さがかなりカットされ、相互のビルの高さに逆転現象が生じています。
何気ない映像ですが、周囲の高い建物を排除(低く加工)して、中心のディナのマンションのみ高くそびえ立つように遠近法を利用した神秘性・不気味さの演出がなされていたのでした。
背後や周辺ビルの高さ調整は、例えば、『ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ』の、「貸金庫型タイムマシーンの銀行」のシーンなどでも確認できます。
では実際には、あのビルの屋上にあった「ゴーザの神殿」は、どこに存在していたのでしょうか?
「ゴーザの神殿」と「グーニーズの海賊船」は同じ場所
その『ゴーストバスターズ』のビルの屋上にあった「ゴーザの神殿」は、別の場所に作られ、そこは実は映画『グーニーズ』の海賊船があった場所と同じだったのです。ゴーザの神殿(WBスタジオ・ステージ16)
アメリカ・ロサンゼルス北部のバーバンクにある、ワーナーブラザーズ・スタジオ内の一番大きなステージ16に、『ゴーストバスターズ』のディナのマンションの巨大な屋上セットとゴーザの神殿が作られました。
Ghostbusters (1984) | Behind the Scenes(ゴーストバスターズのメイキング動画)
https://youtu.be/AUi3GakPtb4?t=377
にても「stage 16 に巨大なセットを作った」と言及されています。
グーニーズの海賊船(WBスタジオ・ステージ16)
このステージ16というのは、グーニーズの海賊船が作られ、ダム並みの大量の水で満たされた場所でもあります。→詳細:グーニーズの海賊船があった場所(祝キー・ホイ・クァン)
ワーナーブラザーズ・スタジオ・ステージ16
- Warner Bros. Studios - Stage No.16
(ワーナーブラザーズ・スタジオ・ハリウッド・ステージ16) - 4000 Warner Blvd, Burbank, CA 91522 U.S.A.
- 座標:34.147528821615936, -118.33913256371385
- Warner Bros. Studio Tour Hollywood(スタジオツアー)
URL: https://www.wbstudiotour.com/ja/
このステージ16では、その他にもカート・ラッセル、スティーブン・セガール、ハル・ベリーらが出演した、ハイジャックがテーマのアクション映画『エグゼクティブ・デシジョン』(Executive Decision、1996年)の、フルサイズのボーイング747型機が、このステージ内に作られて、撮影が行われています。
とにかく巨大なセット専用のステージで、巨大なセット=製作費が大きな大作=日本でも公開された有名映画・・・ということで、数々の名作がこのステージ16という同じ場所から誕生しています。
このステージ16だけ背丈が突出しており、そしてWBロゴの看板が掲げられていることからも、ここがワーナーブラザーズ・スタジオを代表する建物であることが分かります。
ステージの入り口には、そのステージで撮影された代表的な映画のタイトルが表札として掲げられています。
表札の上部には、『ゴーストバスターズ』に続いて『グーニーズ』のタイトルも確認できます。
まったく違う映画の、まったく異なるシーンが、実は同じ場所で作られていた・・・という隠れたつながりを発見できるのも、映像マジックである映画の種明かしを堪能する1つの方法です。