貸金庫型タイムマシーンの銀行

サラコナークロニクルズ ロケ地

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こちらのHi-Lo Marketとガレージでの応急措置の翌日、ジョン&サラ・コナーとキャメロンが向かったのが、この特徴ある外観をした銀行(Security Trust of Los Angeles)。
→「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」シーズン1第1話

Security Trust of Los Angeles(セキュリティ・トラスト・オブ・ロサンゼルス)

Security Trust of Los Angelesは架空の銀行名ですが、建物は上の写真の通り実在していて、実際のロケ地は以下の通りです。

Film Location


ニューメキシコ州アルバカーキにあるアルバカーキ銀行(Bank of Albuquerque)の建物を、ロサンゼルスにある架空の銀行(Security Trust of Los Angeles)に仕立てて撮影されています。


アルバカーキ背景にLA摩天楼を合成

何もない開けた空のアルバカーキ銀行の背後に、ロサンゼルスの摩天楼が合成されています。

ロサンゼルスの高層ビルの風景は、ダウンタウンの110 Harbor Fwy×West Sunset Blvd または 110 Harbor Fwy ×101 Hollywood Fwyあたり、座標でいうと、


あたりの少し高い場所、おそらく上座標の左隣のマンションの屋上などから撮影したものを、ビルの配置や高さなどを若干修正し合成しているように見えます。

例えば、左端手前にあるビル(図中 X)などは半分ほどに高さがカットされ、手前のものから後ろにいくほど高くなる遠近法が効果的に働くよう、うまく調整されています。まったく同じような手法(背景合成)が原子力発電所(セラノポイント)の際にも使われています。

遠近法は「これから遠くへ向かう=何かが起きそうだ。」といった高揚感などを潜在意識に刷り込む効能があるそうで、人間が風景写真や絵に見入ってしまうのはそのせいと言われています。「ターミネーター1」のエンディング「嵐がやってくる」のシーンも道路と山で遠近法がうまく使われていました。

背景にLA摩天楼を合成させるシーン集

「サラ・コナー・クロニクルズ」にて、背景にロサンゼルスの摩天楼を合成させて、ロサンゼルスのダウンタウン感を演出したのは、例えば以下のようなシーンがあります。

なぜ丸いのか

この銀行、なぜこのような丸い特徴的な形をしているか?というと、Drive-Up ATM(ドライブスルーATM)のため。車社会のアメリカならではですが、車を降りずにATMからお金を引き出せるようになっているそうです。


A(上図)の丸い建物がアルバカーキ銀行。
Bは、このシーズン1第1話冒頭のサラ・コナーの夢のシーンで、核爆弾で吹き飛んだ図書館(ハイランド高校)。銀行と300mほどしか離れていません。

ルート66沿い

銀行と高校の間にあるCentral Avenue(セントラルアベニュー)は実は昔の、Route66(ルート66)。アルバカーキの東西に伸びるメインストリートで、アルバカーキという町がルート66とともに発展した町だということがわかります。
実際、アルバカーキには「Route 66」という冠詞が付く店が多く、アルバカーキのユースホステルは「Route 66 Hostel」という名前だったりします。サラ・コナー・クロニクルズの劇中でもクロマティが銀行へスポーツカーで駆けつけたシーンでも、Route 66 と書かれた看板が背景に映りこんでいます。ちなみにクロマティはスポーツカーがお好きなようです。
→関連記事:サラコナーが車から飛び降りた荒野

このルート66を西に進んでいくと、チップスを食べるシーンのガソリンスタンドがあり、さらにLAまで進んでいくと、「ターミネーター1」でカイル・リースが1984年に到着した路地裏があります。

パイロット版は放送版とかなり違う

「サラ・コナー・クロニクルズ」撮影隊は2007年の1月末から1ヶ月程、このアルバカーキに滞在してシーズン1第1話/パイロット版を撮影しました。そのため第1話のほとんどがニューメキシコ州の風景となっています。

当初のパイロット版とTVで放送された第1話はけっこう違っており、例えば、

  • 冒頭の高校のシーンは、図書館にいるジョンをサラが呼びに来る(放送版)のではなく、教室で授業を受けているジョンをサラが呼びに来ている(Pilot版)
  • サラ・コナーが家の壁を掘って中に銃を隠すシーンがある
  • チャーリー・ディクソンを演じる俳優さんはディーン・ウィンタースではなかった
  • マイルズ・ダイソンも違う俳優さんだった

といった違いがあります。1話なのにゆうに2話分は撮影していることになります。

DVD巻末にてコメントしているように、1月末~ということでアルバカーキはかなり寒かったらしく、サマー・グローは最初、ずっと体調を崩していたそうです。朝晩の冷んやり感や湿感が劇中で吐く息の白さなどからうかがえます。そもそも雲の形など空の様子からして西海岸と異なっています。撮影の大変さがいろんなシーンから見て取れます。

この銀行のシーンの見所

「サラ・コナー・クロニクルズ」シーズン1第1話のこの銀行のシーンは、なかなか興味深い見所が凝縮されています。

1.クロマティーT-888の破壊力

怪力に身を任せてどこまでもしつこく追いかけてくる「ターミネーター1」のような怖さがよく再現されています。空手の正拳突きのように、金庫の扉を破壊していくクロマティT-888が圧巻です。

クロマティの耳から露出している、ターミネーターT-800系の皮膚を覆うワイヤーも確認できます。ターミネーターが笑ったり表情をつけるには、エンドスケルトンの外側に、人工皮膚を引っ張るワイヤーのようなものが必要なはずですが、その皮膚下のワイヤーを確認できる貴重なシーンとなっています。

2.T史上初の未来へのタイムトラベル

これまでターミネーターのタイムトラベルといえば、未来からやってくるばかりでしたが、過去(1999年)から未来(2007年)へタイムトラベルしたのは、サラ・コナー・クロニクルズがターミネーター・シリーズ史上初です(その後、ジェニシスでも過去→未来へのタイムトラベルはありました)。

ちなみにこの銀行(Security Trust of Los Angeles)はタイムトラベルによる爆発で、吹き飛び、その後、跡地は道路になってしまった・・・という設定です。そのため、キャメロンらが2007年の到着地点では、道路になっており、クロマティT-888のエンドスケルトンは、道路工事の際に路肩から発見されました。
→その到着地点:T名物タイムトラベル到着地点が道路の元祖

3.オリジナルなアイソトープ銃

ターミネーターといえば、癖のある特徴的な重火器が登場するのが1つの名物となっています。例えばT1での「レーザーサイト付きAMTハードボーラー」や、T2での「コルトニクス1911」や「デトニクス・カスタム1911」など。
このドラマ第1話では早速、サラ・コナー・クロニクルズ・オリジナルの「アイソトープ銃」が登場します。


このアイソトープ・ガンのデザインは、「L6 Grenade Launcher」をベースとして、「M1921 トンプソンマシンガン」の木製フォアグリップパーツなどを組み合わせて作ったもので、ドラマ上は、一応、1963年当時に手に入るものを寄せ集めて作ったことになっているプラズマ砲です。

4.エンジニア1963年の謎

キャメロンはこのアイソトープ銃やタイムマシーンは、1963年に送り込まれた人類抵抗軍の「エンジニア」が作った、と語っています。また、貸金庫を開ける際、「E. Boykins」と表示されており、そのエンジニアの名前は「E.Boykins」である可能性はあります。

しかし、さらに興味深いのは、タイムマシーンを起動させるのに、キャメロンの網膜認証を使っているという点です。タイムトラベルでは未来から「物」は持ち込めないので、この網膜認証を行うには、キャメロンが1963年に一度、行っていなければならないことになります。

つまり、キャメロンはこのSecurity Trust of Los Angeles銀行設立(1963年3月7日)頃に少なくとも一度、行っていたことがあり、もしかしたら、そのエンジニアないしE. Boykins というのは、キャメロン自身もしくはキャメロンの元となったアリソン・ヤングだったのかもしれません。

サラ・コナー・クロニクルズにシーズン3があれば、もしかしたらその1963年のエピソードも描かれるのかもしれませんが、いろいろな可能性があり、おもしろいところです。

#Terminator Sarah Connor Chronicles Pilot 101

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