ターミネーター3の「T-1」(左)とターミネーター4の「T-100」(右)
このお台場での「ターミネーター展」には、「ターミネーター4(サルベーション)」の撮影で使われた、キャタピラで動く戦車型のターミネーター「T-100」も展示されていました。
メジャーなT-800と違って、T-100はマイナーでターミネーター4固有の機種であり(しかも本編ではT-100の登場シーンはカットされた)、また大きいので持ち運びも大変なので、今後、日本で展示されることはまずないでしょう。まさに「幻」のターミネーター、貴重な展示でした。
「ターミネーター展」で上映されていた「ターミネーター4」のメイキング映像では、このT-100を実際にリモコンでフル稼動させているシーンが見られました。現実世界で(リモコンですが)実際にフル稼働できる唯一のターミネーターとも言えます。
「T-1」と「T-100」は違う
上の写真を見てもわかるように、「T-1」(ターミネーター3)と「T-100」(ターミネーター4)は違います。T-1からT-100系は、ターミネーターが二足歩行に進化していく前段階の初期のタンク型ターミネーター。
デザインも製造者も年代も違う
T-100は、ターミネーター3で出てきたT-1型と同系ではありますが、初代T-1が丸みを帯びた愛嬌のある顔なのに対して、T-100は一回り大きく、さらに戦闘型へ改良が加えられ、全体的に尖り、ゴツゴツ感が増してます。T-1が2004年頃サイバーリサーチ・システム社で作られた・・・つまり人間が作ったのに対し、T-100は2018年頃、スカイネットが作った・・・という違いもあります。
「ターミネーター展」でも「T-100」と掲示
「ターミネーター展」でも「T-100」として掲示されていました。画素数が悪いですが、上の写真でもT-100という文字が確認できます。この「ターミネーター展」に展示されていたものは、実際に映画の撮影に使われていたもので、泥などがリアルでした。しかし、結局T-100が水中から出てジョン・コナーを襲うシーンがカットされ、ターミネーター4劇場公開版では登場しませんでした。
公式にも「T-100」と認識されている
一部のサイトでT-100をT-1と混同してしまっていることがありますが、公式にもT-1とT-100は別物と認識されています。Film Visits The Set Of Terminator Salvation
- The T-100's and the other models
- Later while we are walking through the soundstages, we came face to face with a few T-100s.
- "The T-100's at the factory were never used. These guys are active and they are currently out there battling the resistance."
https://www.slashfilm.com/503583/film-visits-the-set-of-terminator-salvation/
また、マックG監督も、「T-100である」と言及しています。
The T-1 from Terminator Salvation is once referred as T-100 by McG.マックG監督がT-100と発言したのは勘違い、と済ませているサイトもありますが、マックG監督がT-100と発言したのは意図的であり、間違いではありません。これはターミネーターの商標権利関係をふまえれば明らかなことです。
https://terminator.fandom.com/wiki/T-1.
→詳細:ケイト・ブリュースターではないT4はT3の続編でもない事実
海外含め、ターミネーターの商標権利までふまえてターミネーター各作品の関連性やキャラクターを解説できているサイトはほとんどないのが現状です。
Wikipediaを見たところ・・・
Wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/ターミネーター4)には、「T3との関連性」の項目に、「前作に登場したT-1の登場、」と書いてあるのですが、明らかに間違っています。「ターミネーター4」にはT-1は登場していません。T-1は「ターミネーター3」にしか登場していません。
そして「ターミネーター4」においては、T-100という機種が撮影されましたが、マックG監督のインタビューをいくつか見たところ、マックG監督はサルベーション(ターミネーター4)がターミネーター3(T3)と比較されたり続編と見られるのを嫌う傾向があり、T3を彷彿させかねないマシーンの登場はカットした模様です。
また同じくwikipedia には「更に"Skynetは14年前に自我に目覚めた"との明示的な記載もあることから、」とあるのですが、引用元が不明です。引用元がもし「公式サイト(米国)」(http://terminatorsalvation.warnerbros.com/)のことだったら、「"Skynetは14年前に自我に目覚めた"」との記載は見当たりません。
ネット上には、
"Terminator Salvation" is set in 2018, 14 years after Skynet started a nuclear attack on humanity on "Judgment Day."
「ターミネーター4」は,スカイネットが人類への核攻撃を開始した「審判の日」から14年後の2018年を舞台にしている。 - 浜島書店 Catch a Wave
という文章は見かけますが、それがどこから出てきたのか、はたまた公式なものなのかは不明です。
ちなみに「ターミネーター4」の映画の本編では、
EARLY IN THE 21ST CENTURY, SKYNET, A MILITARY DEFENSE PROGRAM, BECAME SELF-AWARE.
(21世紀初め、軍の防衛プログラムであるスカイネットは自我に目覚め・・・)
とあり、「21世紀初め」とあるだけです。
以上と、マックG監督のインタビューを何件か確認したところ、マックG監督は、T3という映画ができてしまっている以上、その存在に敬意を払いつつもT3との関連性については明確にせず、T3の続きとも、続きでないとも言えるようなボカし戦法でターミネーター4を作ったようで、「T3の続編」という感覚ではT4を作っていないのは明らかです。
実際、マックG監督は、サルベーションの続編は「審判の日の前の2011年が舞台になる。」と来日時のインタビューでも明言しており、2004年が審判の日であるターミネーター3とは矛盾します。
マックG監督としては、T3の続編というよりも、あくまでT1とT2をベースにした、完全に独立した新三部作(T4→T5→T6)を作りたかったのです。そのため、日本では「ターミネーター4」とは言われているものの、正式な原題は「Terminator Salvation」だけで、4というナンバリングはされていません。
また、ジョン・コナーがT-800に会ったエピソード(T3では2032年にジョンがシュワちゃん顔ターミネーターに懐かしんで近づいて殺されるはずが、T4では2018年にシュワちゃん顔ターミネーターに会っている)やT-800らはスカイネットではなく、サイバーリサーチ・システムズが作っているとか、サラ・コナーのカセットテープの有無など、数々の矛盾がT3とT4の間には生じています。
ターミネーターに受け継がれるミニガン遺伝子
それはともかくとして、ターミネーターには脈々と「ミニガン遺伝子」が受け継がれているようでおもしろいです。T-1とT-100には両サイドにミニガンが付いてますし、T-600もミニガンを装着。T-800に関しては、ミニガンを持ってうれしそうな表情をし、実際にサイバーダイン社でミニガンを撃ちまくっています。
ターミネーターの各作品を通して、ミニガン遺伝子がターミネーターの各機種に受け継がれていっているようです。ターミネーター作品は、ミニガンに着目して観てみるのもおもしろいかもしれません。