キャメロンがLA交通管理網に侵入した信号機

サラコナークロニクルズ ロケ地

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ロサンゼルスの交通管理網を支配するというスカイネットの陰謀を阻止するべく、キャメロン(TOK715)からチップを抜き取って、信号機経由でARTIEに侵入させ、ハッキングし、ARTIEを破壊したシーン。
(「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」シーズン1第8話「チップの記憶/Vick's Chip」)

キャメロンがARTIEをハッキングした信号機のロケ地

一見、ロケ(ロサンゼルス・ダウンタウン)に見えますが、実はスタジオ内のセットで撮影されていました。

Film Location



ワーナーブラザース・スタジオ内の既設のバックロットの低層建造物の上に、VFX(CG)で上層階を付け足してダウンタウンらしくなるよう高さを演出。さらに背景にはロサンゼルス・ダウンタウン摩天楼のシンボルでもあるライブラリー・タワーなどの高層ビル群を合成しています。

これと同じVFX技法(背景にロサンゼルスの摩天楼を合成)は、タイムマシーンを貸金庫に仕込んでいたSecurity Trust of Los Angeles銀行でも使われていました。

このシーンの見所・ポイント

なぜARTIEを破壊する必要があったのか

ARTIE(アーティー)とは、Automated Realtime Traffic Information Exchange(自動リアルタイム交通情報交換システム)の略で、ロサンゼルス市が試験的に導入を始めた、あらゆる信号機や交差点などに設置されたカメラなどと市役所をつなぐ光ファイバー網の管理システム。今は試験段階だが、うまくいけば、やがて州全体、ひいてはアメリカ全土に導入される交通管理システム。

スカイネットは将来的にこのARTIEを乗っ取り、人間を監視下に置くことを考えていたため、ARTIE実現のために、VICK(ヴィック)というT-888ターミネーターを送り込んでいたのでした。

キャメロンいわく「スカイネットのコンピューターが頭脳なら、このARTIEというシステムは神経系ね。」とのこと。

そのARTIEというシステムを現段階で故障させ、信用をなくせばARTIE計画はボツとなり、スカイネットの野望は遠のく・・・ということで、ジョンやサラコナーらは、システムをウィルス感染させるという破壊工作に乗り出したのでした。

なぜキャメロンのチップを使ったのか

初めはジョン・コナーが作ったウィルスを、サラとデレクがLA市役所に侵入して職員のパソコン経由でウィルス感染させることを試みましたが、ブロックされ失敗。

たまたまヴィック(T-888)のチップをいじっていたら、チップ自らがデジタル回線で稼働することを知ったジョン・コナーは、「キャメロンのチップは今最強のコンピューター。」ということで、キャメロンのチップを使えば(キャメロンがデジタルで侵入すれば)ARTIEを破壊できると思いつき、実行することにしました。

デジタルの戦い

おもしろい点は、これまでターミネーターといえば、人間型のロボット 対 人間 の三次元の戦い でしたが、ここでは二次元(デジタル)での戦場が垣間見れることです。

チップからネット回線へ逃げ込もうとするヴィック(T-888)。LA交通網の回線に侵入するキャメロン。

「サラ・コナー・クロニクルズ」では、ターミネーターの機能を深堀りしていくシーンがあるので、ターミネーターの検証としても楽しめます。

中国の監視網が「天網(スカイネット)」

嘘のようなホントの話ですが、「中華人民共和国本土(大陸地区)において実施されているAIを用いた監視カメラを中心とするコンピュータネットワーク」を天網(てんもう、中国語: 天网工程、英語: Sky Net,スカイネット)と言います。→https://ja.wikipedia.org/wiki/天網

「サラ・コナー・クロニクルズ」で描かれていたことが現実化してきている、ということになります。

さらに悪いことに、後続のターミネーター作品(映画)が、中国市場重視(中国媚び)に切り替わったため、中国の「天網(スカイネット)」を悪者にすると、外国映画制限がある中国で公開してもらえません。
そのため、中国で公開してもらうために、スカイネットを「ジェニシス」というコンピューターに変えたり、「リージョン」という曖昧な組織に変えたりするなど、ターミネーターの根本を覆すような情けない改変(改悪)が、「ターミネーター・ジェニシス」や「ターミネーター・ニューフェイト」にてなされています。

両作品とも「ターミネーターらしさ」を喪失し、「ジェニシス」は黒歴史化、「ニューフェイト」は大コケ爆死に終わりましたが、中国に媚びするあまり、表現の自由を放棄してしまった情けないターミネーター映画がヒットすることはないでしょう。→詳細:ターミネーター映画大失敗の致命的な原因

ジョンをトレーニングするというキャメロンの任務開始

実はジョンコナーを守るだけがキャメロンのすべての任務ではない、ということがこの第8話あたりから見えてきます。

他の任務とは、ジョン・コナーにターミネーターの機能を教えて、将来、ターミネーターを捕獲し、リプログラムするなどして戦況を挽回した、人類の救世主となったジョンコナーを育てること。

そのトレーニングが、このヴィックのチップの解析シーンから始まります。

ジョンが「コンビニでブリトーとかチョコミルク買ってきて。」とキャメロンに頼むも、キャメロンは完全無視し、あえて椅子をジョンの近くに引き寄せ、レクチャーを始めます。おやつを買ってくるというジョンの命令より、ターミネーターの機能について教えることのほうが、プログラム的に重要度が高いと判断したように見えます。そして矢継ぎ早に、ジョンに問いかけ始めます。

(キャメロン)
How much power are you giving the chip? We're running at 2.5 volts.My CPU requires a minimum of 6.2...
and a maximum of 8.7 continuous voltage in order to function properly.
チップに送っている電圧は?私の場合、CPUの安定動作に必要な電圧は6.2ボルトから8.7ボルト。

(ジョン・コナー)
That much use would burn out any processor I've ever seen.
そんなパワーに耐えられるプロセッサーはないよ。

(キャメロン)
Access to visual memory will require less power than higher-level functions.
高次レベルの機能にアクセスしなければもっと少なくて済む。

(ジョン・コナー)
Higher-level functions?
高次レベルの機能って?

(キャメロン)
Decision-making, strategic mission analysis.We don't wanna activate those functions.
意思決定や戦略分析のレベル。その手の機能は起動させたくない。

(ジョン・コナー)
So crank the juice but not too much.
じゃあ起こさない程度にパワーアップすればいいってこと?

(キャメロン)
Yes. そう

どのようにターミネーターをハッキングしていけばいいか、キャメロンによるジョンのトレーニング、まずはターミネーターのチップの仕組みのレッスンが始まった模様です。
その後、ジョンはいろいろ解析していき、

(ジョン)
So I figured out that they don't store memories the way we do.They store them by categories. Like "mission" or "location" or whatever.
メモリの記憶方法が違うんだよ。カテゴリーで分類されてる。任務や場所とか。

などなど、ターミネーターのチップの仕組みを理解していきます。なぜ、未来でジョン・コナーはターミネーターを捕獲し、リプログラムすることができたのか(T2でシュワちゃん型ターミネーターT-800を現代に送ることができたのか)の背景が、この辺りから描かれ始めています。

また、チップをいじっていたら、過電流でヴィックの中核部分を起動させてしまい、危うくヴィックをネット回線に逃してしまうところでした。そのことから、キャメロンのチップもネット回線に侵入させることもできる、ということに気づくに至り、ARTIE破壊にキャメロンをデジタル的に使うことになります。

まだまだキャメロンによる授業は続きます。

次は、キャメロンは自らの体を提供して、ジョンにチップの取り出し方を丁寧に教えます。

(キャメロン)
Two centimeters left. One centimeter down.Cut a semicircle with a diameter of 12 centimeters. Cut a bigger circle to compensate. Push harder....down to my endoskeleton.Set the pliers over the shielded tab on the end of the chip...a half turn counterclockwise and pull it out.
もう2cm左。1cm下。直径12センチの半円を切りとって。誤差を考えて大きめに切って。強く押して、チップの端にあるつまみをプライヤーでつまみ、反時計回りに引き抜いて。
.
躊躇するジョンに、

(キャメロン)
It's okay, John.It's not the first time we've done this.
大丈夫よ、ジョン。私たちはこれを前にもやってる。

と、まるで先生のように優しく語りかけています。

この「私たちはこれ(チップを引き抜くこと)を前にもやってる。」というのが、

  • (第5話で)ヴィックのチップを抜いた時のことを指しているのか
  • 未来においてジョンがキャメロンのチップを抜いたことを指しているのか

どちらとも取れるような、ミステリアスな言葉をキャメロンは残しています。

キャメロンのウィンク

ジョンのトレーニングと同時に、キャメロン(A.I.)の人間の学習も進んでいっている描写も盛り込まれています。

マニキュアを塗ってみたり、人間に Effective.(効果的)な仕草を学習したり、人間が死者を弔うことの意味を理解しようとしたり・・・そしてサラからの質問を躱して、ジョンとの会話を無難に、

Just making conversation.
ただ会話をしていただけ。

として立ち去り際にウィンクまでするシーンがあります。

ジョン・コナーは、そんなA.I.(キャメロン)の学習機能に、驚きとともに、恐怖も抱くような表情を浮かべていたのが印象的でした。


#Terminator Sarah Connor Chronicles filming location Vick's Chip

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