史上初・女型ターミネーター同士の戦い@シャーマン医師のオフィス

サラコナークロニクルズ ロケ地

t f B! P L


ターミネーター史上初の、女型ターミネーター同士の戦いが見られた、シャーマン医師の診療所オフィスが入る建物。
(「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」シーズン2第6話「時は得難く失い易し / The Tower Is Tall But The Fall Is Short」)

この建物のロケ地はこちら。

Dr. Boyd Sherman's Office


シャーマン医師のオフィスの入り口のベンチに座り、診療所に仕掛けた盗聴器が拾ってくる音声を盗聴しているキャメロン。ちなみにこの時はこのキャメロンのレザー・ジャケット(革ジャン)を着ています。

Film Location

  • Warner Bros. Studios "Building No.137"
  • 4000 Warner Blvd, Burbank, CA 91522 U.S.A.
    (300 Television Plaza. Building 137)
  • 座標: 34°08'57.8"N 118°20'05.4"W
    34.149388, -118.334823
  • Warner Bros. Studio Tour Hollywood(スタジオツアー)
    URL: https://www.wbstudiotour.com/ja/

オフィスのドアを開けたキャメロンとロージーの背後に、ワーナーブラザーズ・スタジオのビルNo.136とNo.156(Bridge Building)が映っていることから、このビルNo.137の裏側(南東側)の出入口が、シャーマン医師のオフィスの出入口として撮影に使われていたことが特定できます。

ワーナーブラザーズ・スタジオ・ツアーでもこの建物の正面出入口(一番上の画像)の前は、カートに乗って通り過ぎたりはしますが、さすがに裏手のほうはなかなか通らず、また近くを通ったとしても、生い茂った木で見えない位置にあるので、仕事関係者以外は目にすることがないマイナーな場所です。

このシャーマン医師のオフィスでの見所・解説

キャメロン VS. ロージー の芸術的創作機械ダンス(バトル)

このシーズン2第6話の最大の魅力は、シャーマン医師のオフィスが入るビル(専らエレベーター)内で繰り広げられる、キャメロン対ロージーのバトルです。ターミネーター史上、初めての女型ターミネーター同士の戦いでもありますが、その戦い方が独特です。

Rosie(ロージー)を演じるBonnie Morgan(ボニー・モーガン)は女優であるとともに、Contortion(コントーション/軟体曲芸)を得意とするcontortionist(コントーショニスト/軟体芸人)でもあり、数々のスタントもこなしています。
例えば貞子で有名な映画「リング」のハリウッド版リメイクの「ザ・リング2」(2005年)ではスタントを、「リングス」(2017年)ではサマラ(ハリウッド版での貞子)のシーンをすべて演じています。

そんなボニー・モーガンの軟体能力が、キャメロンとのバトル・シーンでは存分にいかされており、最後の「折りたたまれてコンパクトにされた状態」も、作り物でもCGでもなく、ボニー・モーガン自身がリアルに演じている(化している)ものです。

一方のキャメロン演じるサマー・グローもバレエをやっており(→参考:キャメロンが通ったバレエ・スクール)、柔軟性をいかしたアクションを展開しています。特に、他のターミネーターが見せないようなまわし蹴りや合気道のような関節技を随所に見せているのが見所で、その姿はまるで映画「暴走特急」のスティーブン・セガール(Steven Seagal)の合気道アクションのようでした。
サマー・グローがオーディション無しで「サラ・コナー・クロニクルズ」のキャメロン役に抜擢されたのは、以下の作品でのアクションの実績が認められたためです。
そんな彼女たちの、機械仕掛けの芸術的創作ダンス(バトル)がこのシーズン2第6話の見せ場の1つとなっています。

ロージー(Rosie)の名前の由来

このシャーマン医師の元に現れたピンクの服を着た女型ターミネーター Rosie(ロージー)の名前の由来は、アニメ「宇宙家族ジェットソン ロボットお手伝いさんロージーの活躍 編」のお手伝いロボット・ロージーに由来していると製作者から明かされています。


シャーマン医師の女性アシスタントを暗殺し、派遣会社から代わりにやってきたこの女型ターミネーターを、お手伝いロボット・ロージーに引っかけている、というわけです。
単にシャーマン医師を暗殺するだけなら、派遣に成り代わるような手の込んだことをする必要はないはずなのですが、おそらくしばらくアシスタントとして「潜伏」し、シャーマン医師に関係する人物を調査・暗殺しながら、最終的にシャーマン医師も暗殺する予定だったのではないか?と思われます。

自己破壊機能付きターミネーター初登場

キャメロンがロージーを倒し、サラコナー宅に「折りたたんでコンパクトにして」持ち帰った後の、サラたちの会話。
JOHN: It was there to kill him.(シャーマン医師を殺しに送られてきたのか。)
SARAH: Or protect him.(それか彼を守るためかもね。)

とあり、「ロージーは敵なのか?味方なのか?」ということなのですが、キャメロンがロージーからチップを引き抜いた際、自動的にチップが発火して自己破壊し読み取れなくなるよう細工されていたことがわかりました。

このことからロージーはスカイネットが送り込んだ、ということがわかります。
CAMERON: This model has been redesigned. (マシンは改良されてる。)
DEREK: With a self-destruct feature? (自己破壊機能が付いてるのか?)
JOHN: Skynet must not want me reprogramming in the future. I guess they're getting smarter.(スカイネットは俺に再プログラムさせないようにしているに違いない。やつらも知恵を付けてきている。)

ターミネーター史上、チップの self-destruct feature(自己破壊機能)が付いたターミネーターが登場するのはこれが初めてです。そしてチップの自己破壊機能が付いたターミネーターは、シーズン2の後半にも登場します。

A.I.はジョーク(ユーモア)を理解できるか?

「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」のシーズン2では、スカイネットと人類の戦いの描写と同時進行で、A.I.の生成過程も描かれています。キャサリン・ウィーバーの子どもサバンナというキャラクターが登場するのも、A.I.の成長(教育)と人間の子どもを対比させるためです。

アンディ・グードが作ったA.I.「ターク」を手に入れたキャサリン・ウィーバーは、自社(ゼイラ社)の地下にてその「ターク」を「育てて」おり、そのタークがジョーク(ユーモア)を発するまで成長していることが、シャーマン医師により指摘されました。

液体金属であるキャサリン・ウィーバーもジョーク(ユーモア)をなかなか理解できていませんでしたが、シャーマン医師からヒントを得て、サバンナとの関係を通じて人間の行動を学習し、そのことがA.I.の生成にも役に立つことを発見します。

そこでキャサリン・ウィーバーはシャーマン医師にA.I.のコンサルタントを依頼するのですが、そのことがシャーマン医師がスカイネットにねらわれることにつながってしまいます。

A.I.(マシーン)の成長は、「ターミネーター2」での涙腺刺激要素の1つでもあったため、「ターミネーター・ニューフェイト」でも描こうとしていたようでしたが、ニューフェイトでは唐突な表現になりすぎて、うまく描写できていなかったようです。

原題「The Tower Is Tall But The Fall Is Short」の意味

このシーズン2第6話の原題(英題)は「The Tower Is Tall But The Fall Is Short」で、直訳すると「塔は高いが落ちる(崩れる)のは一瞬だ」という意味になります。

一方、邦題は「時は得難く失い易し」でこれだと「好機にはなかなかめぐりあえず、いざ好機に恵まれても見逃しやすい。」とか「わずかな時間でも大切にしなければならない。」といった意味になってしまい、英題の主旨とズレてしまいます。

特にこのシーズン2は旧約聖書の「創世記」を元に作られており、実際、シーズン2第1話では、キャサリン・ウィーバーがA.I.育成プロジェクトのことを、「Babylon(バビロン)」と命名するところから幕を開けます。バビロンとは「バベルの塔」があったと言われているメソポタミア地方の古代都市です。→詳細:【解説】創世記とターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ


このシーズン2第6話にて、キャサリン・ウィーバーがゼイラ社にエリソンと話をしている際、レゴ・ブロックで作っているのがバベルの塔です。
ELLISON: The basement. What's happening down there?(地下に何があるんです?)
CATHERINE WEAVER: We're building something.(あるモノを作ってるの。)
バベルの塔とは・・・実現不可能な天にも届く塔を建設しようとして、崩れてしまった(神に壊された)という故事にちなんで、空想的で実現不可能な計画の比喩としても用いられる
https://ja.wikipedia.org/wiki/バベルの塔
とあるように、キャサリン・ウィーバーは、実現不可能と思われる完璧なるA.I.(ターク→後のジョン・ヘンリー・・・スカイネットの対抗馬となるもの)作りに挑戦しており、それをバベルの塔に例えている、という意味が隠されていたのが、上のレゴ・ブロック遊びのシーンです。つまり、原題にあるTowerとは「バベルの塔」のことです。

また、原題「The Tower Is Tall But The Fall Is Short」のもう1つの意味として、サラ・コナーやジョン・コナーらの人間関係も引っかけられています。
シャーマン医師の診療所でのカウンセリングを通して、ジョンとサラの親子関係の不安定さや問題点をあぶりだし、人間関係を塔に見立て、「人間関係構築には高い塔を建てるように時間がかかるが、一瞬にして崩壊しやすい」という意味合いも原題「The Tower Is Tall But The Fall Is Short」には含まれています。

この辺りは9.11の米国同時多発テロで、ワールド・トレード・センターが一瞬にして崩壊したのをイメージするとわかりやすいですが、サラ・コナー・クロニクルズ製作陣も9.11はかなり心底にあったようで、シーズン1第2話のカルロスの家でも9.11について語られるシーンがあり、また、最終話の飛行物体のビル突入シーンも、9.11でのビルへの飛行機突入をモチーフに描かれたとの説明が、メイキングでもなされています。

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