家に強盗に入られたサラ・コナーらが、盗まれたダイヤモンドを追って訪れた宝石店。
(「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」シーズン2第7話「ナブルスの兄弟 / Brothers of Nablus」)
その宝石屋のロケ地はこちら。
Moishe's Jewelry Shop
Film Location
- Warner Bros. Studios (Backlot) "Hennesey Street"
- 4000 Warner Blvd, Burbank, CA 91522 U.S.A.
- URL:https://studiooperations.warnerbros.com/hennesey-st/
- 座標: 34°09'03.0"N 118°20'13.1"W
34.150837, -118.336978 - Warner Bros. Studio Tour Hollywood(スタジオツアー)
URL: https://www.wbstudiotour.com/ja/
デレク・リースらが防犯カメラを通過して入った宝石店の看板には、JEWELRY MAYOREO と書かれていました。 MAYOREOとは「卸売業者」という意味らしいですが、何やらこのお店に関しては闇の取引で暗躍しているような感じでした。
また、この宝石屋を営むMoishe(モイシェ/演じるは Andrew Ableson)は、デレク・リースやジェシーとの共通の知り合いのようで、どうやら壁に隠し金庫があったレジスタンスのアジトにてヒューマンレジスタンスが保管していたダイヤモンドも、このモイシェと関係しているようでした。
ちなみにこの宝石店のロケ地は、このキャメロンが顔面をホッチキスで修復した店の通りを挟んだ斜め向かいに位置します。
この宝石店のシーンに関する見所・解説
ターミネーターと旧約聖書
ターミネーター1と2もそうですが、「救世主」「審判の日」「終末思想」からもわかるように、そもそもターミネーターは旧約聖書がベースになっています。そのため、「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」でもそれを踏襲し、旧約聖書の「創世記」を深堀りするような形で展開していっています。→詳細:【解説】創世記とターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ
このエピソードについても、例えば以下の通りです。
宝石屋モイシェが語る3つの選択肢
このシーズン2第7話「ナブルスの兄弟 / Brothers of Nablus」は、この宝石屋の主人 モイシェが語る3つの選択肢をベースに話が進んでいます。モイシェが言うには、Someone came into your home. Someone took things that were rightfully yours.
(もし誰かがあんたの家に押し入って、何かを盗んだとしても)
- The Torah says: No revenge. No retribution.
(トーラの教えでは、仕返しはするな。報復は一切認められない。) - On the other hand, it also says:
An eye for an eye.
(一方でこういう教えもある。「目には目を」だ。) - We've the story of the brothers of Nabulus...
(忘れちゃいけないのはナブルスの兄弟の話だ・・・)
と、モイシェの一見、無駄話とも思える会話が重要な意味を持っていて、サラ・コナーら御一行が、強盗に対してどの選択肢を取るのか、そしてその選択がどのような結果をもたらすか?がこのエピソードのテーマになっています。
上記1~3を言い換えると、「罪を犯した者」に対して、
- 何もしない(許す)
- 目には目を(同等の報復を与える)
- 「ナブルスの兄弟」(倍返し/皆殺しにする・・・後述)
という選択肢のどれをサラコナーたちが取るかが見もの、ということがこのエピソードのお題となり問われている、ということです。
「ナブルスの兄弟 / Brothers of Nablus」とは
モイシェが言っていた3つ目の「ナブルスの兄弟」については、後にキャメロンがサラコナーに車内で説明しています。Brothers of Nablus. Genesis, Chapter 34.
Jacob's daughter, Dinah, is raped by Shechem, prince of Nablus. He falls in love with her. Shechem's father comes to Jacob and strikes a bargain to allow his son to marry Dinah. Jacob says yes on the condition that all the men in Shechem's town be circumcised. Three days later, while Shecem's men were still in pain from the circumcision, Dinah's brothers rode into the city and killed them all.
ナブルスの兄弟。創世記34章。ナブルスの王子シェケムはヤコブの娘ディナを犯した。そして彼女に恋をした。そこでシュケムの父親は2人を結婚させるため、ヤコブに会いに行く。ヤコブは返事はこう。「ナブルスの男が全員割礼すれば娘はやる。」3日後、割礼の痛みで苦しんでいる時に、ディナの兄弟が来て皆殺しにした。
これを聞いたサラ・コナーが、キャメロンに対して、
It's your kind of story.(あなた好みの話ね。)
と皮肉ると、「ターミネーター」であるキャメロンはまんざらでもない表情をしながら、
Yes. My kind of story.(ええ。私好みの話。)
と答え、この会話のあと、キャメロンはボーリング場で容赦なく「ターミネーター」ぶりを発揮し、犯人らを皆殺しにします。つまり、3の「ナブルスの兄弟」を実行した・・・つまり「ナブルスの兄弟」の話は、このキャメロンの行為の前フリになっていた、ということです。
→キャメロンがターミネーターしたボウリング場
(これと同じようなことはシーズン1第2話のエンリケ・サルセダの家でも起こりました。キャメロンは容赦なくエンリケを消します。どちらの場合も、結果的にはキャメロンの判断のほうが正しかったことが後でわかります。)
これに対して、サラ・コナーのほうは、1または2のスタンスで、ボーリング場でたまたまトイレに行っていてキャメロンの惨殺から逃れた犯人の一人を見逃してやります。
しかし、この時見逃してやったことで、クロマティに住居がバレ、サラコナーは誘拐され、次の第8話、クロマティとの銃撃戦につながることになります。
→続く:サラコナーが車から飛び降りた荒野
→続く:メキシコな教会での「銃撃戦」
なぜモイシェは殺されたのか
「なぜモイシェは殺されたのか」というと、ジェシーの名前をサラ・コナーらの前で出してしまったからです。とにかくいろいろベラベラしゃべってしまうモイシェはリスクであるため、ジェシーによって暗殺されました。つまりジェシーもキャメロン同様、3の「ナブルスの兄弟」という選択肢を取った、ということになります。
→その他参考:撮影時特殊メイクをした 宝石屋 Moishe(Andrew Ableson)
https://www.imdb.com/name/nm0008813/mediaviewer/rm3563310592
尚、「ジェシーって誰?」と尋ねるサラ・コナーに対して、デレク・リースはジェシーを「一緒に来た抵抗軍の一人だ、ターミネーターにやられた。」と嘘でごまかしていました。
「兄弟」をエリソン型ターミネーターにも掛けている
また、このエピソードのタイトルの「ナブルスの兄弟」の「兄弟」を文字って、エリソンがエリソンに瓜二つの外見をしたターミネーターに襲われて助かったことも描かれています。警察: Your alibi isn't exactly ironclad. Unless, of course, you got a twin brother I don't know about.
(だが君のアリバイは不完全だ。双子の兄弟がいれば別だが。)
Ellison: I think I'm being tested.
(私は試されているのだと思う。)
「双子の兄弟」のターミネーターに間違われて逮捕されたエリソンは、エリソンを信じたキャサリン・ウィーバーによって助けられ、ウィーバーの下で働くことを選択します。
このシーズン2第7話は、全体として「兄弟」「選択(試し)」がテーマになっています。
# Terminator Sarah Connor Chronicles 207