キャメロンが通ったバレエ・スクール

サラコナークロニクルズ ロケ地

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スカイネットの元となったA.I.タークの売買に関する情報収集のため、キャメロンが生徒として通って潜伏調査したバレエ・スクールの建物。
(「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」シーズン1第7話「神の手 / The Demon Hand」)

スクールの窓には「East Valley Ballet Studio(イースト・バレー・バレエ・スタジオ)」と掲げられていました。そのロケ地はこちら。

East Valley Ballet Studio

Film Location


「サラ・コナー・クロニクルズ」撮影時には、ここはバレエスクールということで、壁一面に鏡が貼られています。

この建物はふだんは、カフェやバーなど飲食店系のセットとして使われることが多く、実際、「サラ・コナー・クロニクルズ」でも原発職員が集うバー The Broken Atomとしても使われていました。

ワーナーブラザーズ・スタジオ・ツアーでも高い確率で訪れる場所にあり、たまにここがオープンカフェ風になっている時などは、この建物の前でイスに座って記念撮影ができるようになっていることもあります。

このバレエのシーンに関する見所

サマー・グローならではのバレエ・シーン

キャメロンを演じるサマー・グローが、元々クラシック・バレエをやっていた、ということで採り入れられたバレエシーン。

サマー・グローがターミネーター・キャメロン役に抜擢された理由の1つとして、このセレニティの格闘シーン動画に代表されるように、バレエで培った高い身体能力を持っている点が挙げられます。

そのため、キャメロンのアクションの中では、これまでどのターミネーターも見せていないようなハイキックなど、柔軟性を存分に生かしたアクションが見られます。

「魂と美」機械が人間の抽象的概念を理解していく過程として

このエピソードでバレエが採り入れられたのは、単にサマー・グローがバレエ経験者だった、というだけでなく、「ターミネーター2」に則して、機械(ターミネーター)が人間の抽象的概念(美や魂)を少しずつ理解していく過程を描くために、バレエシーンが挿入されています。

このシーズン1第7話「神の手 / The Demon Hand」の冒頭では、サラコナーのナレーションにて、

They say that when a person dies, the soul lives on. The soul. The thing that separates us from the machines.
人間は肉体が死んでも、魂は生き続けるという。魂。それは機械と人間とを分かつもの。

との前置きがあり、このエピソードでは「魂」が1つのテーマとして進んでいくことが提示されています。

また、バレエスクールのシーンでも、

Remenber, dance is the hidden language of the soul, yeah?
踊りは魂の秘めたる言葉よ。

とバレエのインストラクターでもあるディミートリの妹から言われた言葉の意味を、キャメロンが理解しようと努めており、「オズの魔法使い」のブリキ男に例えて、サラコナーから「Tin Man」や「Tin Miss」(ブリキちゃん)と呼ばれるターミネーター・キャメロンが、マシーンの空っぽの心に魂を入れていく(入れようとしていく)過程が、バレエ・シーンを通して描かれています。

※マシーンによる人間の抽象的概念理解については、シーズン2の「亀」のくだりでも描かれています。

最後のデレク・リースの意味深な表情は

このシーズン1第7話の最後には、サラコナーの家で、キャメロンが一人、ショパンの「夜想曲第20番(The Nocturne No. 20 in C-sharp minor)」に合わせてバレエを踊っているシーンを、デレク・リースがドア越しに見て、意味深な表情を浮かべるシーンで終わっています。

このデレクの微妙な表情には、

  1. 未来のスカイネット捕虜収容所(?)にデレクが拘留され地下室に連れていかれたとき、ショパンの「夜想曲第20番」が流れており、そこにはまだ外皮が生成過程のキャメロンがいたことを、「音楽の一致」と「デレクのギョッとした表情」で表している。なぜショパンかというと、キャメロンのベースとなったアリソン・ヤングの母親がショパンが大好きで、よく家で聴いていたため。(→関連記事:アリソン・ヤングの実家
    キャメロンにアリソン・ヤングを「インストール」するのにショパンは必須アイテムの1つだった。
  2. その時のキャメロンはまだ作られたばかりでほぼターミネーターの初期状態の無機質なマシンでしかなかったが、そのキャメロンがここまで成長(人間を理解)しつつあることへの驚きと恐れと警戒、それを必死に否定しようとする拒絶反応・防御本能的なもの。
  3. そして地下室での拷問(大量の血を抜かれ、それがキャメロンの外皮生成に使われていた)ことへのトラウマ(PTSD)。
など様々な情報と感情が入り混じって、何とも言いようのない複雑な表情をデレク・リースは浮かべています。

T2からの発展、マシンの成長と第3勢力の伏線

そしてそのキャメロンのバレエ・シーンは、サラ・コナーの以下のナレーションで締めくくられています。

Science now performs miracles like the gods of old.Creating life from blood cells or bacteria or a spark of metal. But they're perfect creatures and in that way, they couldn't be less human.There are things machines will never do. They cannot posses faith, they cannot commune with God.
They cannot appreciate beauty.They cannot create art.
If they ever learn these things, they won't have to destroy us. They'll be us.

科学は神のごとく奇跡を起こす。バクテリアや金属から生命を作ることも。だがそれらの生命は人間とは程遠い。機械にマネできないことは信念を持つことや神と対話すること。機械は美を称賛せず、芸術も生み出さない。機械にもしそれができたなら、私たち人間を滅ぼすはずがない。

としてバレエをするキャメロンを映し出し対比させることで、機械が美や芸術を理解し、人間を理解する可能性を示唆しています。


これは映画「ターミネーター2」のエンディングで、サラコナーが、

The unknown future rolls toward us. I face it for the first time with a sense of hope. Because if a machine, a Terminator can learn the value of human life・・・maybe we can too.

目の前には未知の未来が広がっているが・・・今では希望の光が見える。機械のターミネーターが生命の価値を学べるのなら我々人間も学べるはずだ。

と語っているのを受けて「サラ・コナー・クロニクルズ」ではそれをさらに発展させて、「希望の光」=旧約聖書「創世記」天地創造「暗闇の中、神は光を作り・・・」に基づいて「光」として、まずはキャメロンを描くことで、のちに登場するキャサリン・ウィーバーやジョン・ヘンリーなどの、人間の抽象的概念を理解したサイボーグレジスタンスの登場の伏線としています。
→詳細:【解説】創世記とターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ

この「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」シーズン1第7話「神の手 / The Demon Hand」では、1回軽く観ただけでは拾いきれないほど、かなり深い要素がいろいろと盛り込まれています。現代社会とこれからにおけるA.I.と人間の関係性などに興味がある人も、シーズン2にかけて観てみると面白いかもしれません。


# Terminator Sarah Connor Chronicles 107

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