その時サバンナ・ウィーバーが履いていた靴。 通販で日本でも買えるこのサドルシューズのサドル(Saddle)とは、自転車や乗馬する際の馬のサドル(鞍)のことです。このシューズの甲の部分が、その乗馬のサドルに似ていることから、このようなネーミングになったそうで、古き良きアメリカの名残あるデザインでロングセラーとなっています。
"Donald, Where's Your Trousers?"(キルトをはいた少年)
この「Donald, Where's Your Trousers?」(キルトをはいた少年)は、元々はスコットランド民謡で、本来の曲調はコミカルでカントリー調のものが多いのですが、サラ・コナー・クロニクルズでは一連の重鎮なシーンに合わせて、物静かで意味深げなトーンにアレンジされていました。なぜスコットランド民謡が選ばれたのか?
まず、なぜここでスコットランド民謡がチョイスされたのか?というと、それはキャサリン・ウィーバー(T-1001)を演じたシャーリー・マンソンがスコットランド出身(ロックバンド Garbageのボーカル)だからです。→関連記事:キャサリン・ウィーバーT-1001が歌うサムソンとデリラ(シャーリー・マンソン)の意味
シャーリー・マンソンがスコットランド出身であるため、英語にスコットランド訛りが出るので、(人間の)キャサリン・ウィーバー夫妻は「スコットランド出身」という設定になっています。
劇中にも、オルドリッジ捜査官の以下のような説明セリフがあります。
Agent ALDRIDGE:.....Savannah Weaver, daughter of Catherine Weaver and citizen of Scotland, making this incident both federal and international.
サバンナ・ウィーバーはキャサリン・ウィーバーの娘だが、ウィーバーはスコットランド国籍であり、これは国際問題なんだぞ・・・
ということで、スコットランド出身のキャサリン・ウィーバーの夫 Lachlan Weaver(ラクラン・ウィーバー)が、娘サバンナによく歌ってあげていた曲が、この「Donald, Where's Your Trousers?」(キルトをはいた少年)だったので、サバンナがA.I.ジョンヘンリーに頼んで、一緒に歌ってもらっている・・・というシーンになっています。
前フリとして、このサバンナ・ウィーバーの学校のシーンにて、キャサリン・ウィーバーとサバンナが、
CATHERINE WEAVER:Maybe I could sing it with you.という会話を交わしているように、サバンナは、女性ではなく男性にこの歌を歌ってほしかったようで、それで以前から約束していたジョン・ヘンリーが歌わされている、という形になっています。
(ママが歌ってあげる。)
SAVANNAH WEAVER:You're not a boy, and you can't sing.
(ママは男の子じゃないし、それに歌えないでしょ?)
CATHERINE WEAVER:Fine. We won't sing.
(そうね。やめましょう。)
ちなみにこのシーン、歌手であるシャーリー・マンソン(キャサリン・ウィーバー)に、サバンナが「歌えないでしょ?」と言う、ギャグになっています。
→関連記事:キャサリン・ウィーバーT-1001が歌うサムソンとデリラ(シャーリー・マンソン)の意味
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英語と日本語訳のニュアンスの違い
このスコットランド民謡「Donald, Where's Your Trousers?」ですが、日本語だと「キルトをはいた少年」に飛訳されており、英語と日本語で少しニュアンスが違ってきます。英語の「Donald, Where's Your Trousers?」を直訳すると、(ズボンではなくスカートみたいなスコティッシュ・キルトをはいた)ドナルドという少年に対して、「ドナルド、ズボンはどこにやったの?(なんでズボンはいてないの)」という、少しからかい気味な意味が感じられます。
しかし、日本語「キルトをはいた少年」だと、特にキルトをはいていること(ズボンをはいていないこと)の特異性に関してのニュアンスは失われてしまっています。
日本語「キルトをはいた少年」が意味するものは
以上をふまえて、日本語訳ベースだと、「大風吹く日でも負けずにキルトをはいた少年が進みゆく」という感じになるので、この街角のシーンにダブらせて、(デレク・リース叔父さんを失い、母親サラコナーが逮捕された)ジョン・コナーが、逆境に負けずに独り立ちしてたくましく前進していく・・・というニュアンスでこの曲が選択され挿入されているように感じられます。英語「Donald, Where's Your Trousers?」を深読みしてみると
しかし、英語の歌詞は "Donald, Where's Your Trousers?"であり、直訳すると、「ドナルド、あなたのズボンはどこ?」となります。これを深読みすると、以下のように考えられるかもしれません。次回(最終話)の暗示?
歌詞の一部を、Donald→キャメロン またはジョン・ヘンリー、Trousers→チップ
と置き換えてみると、 "Cameron(or John Henry), Where's Your chip?"となり、最終話でキャメロンが自分のチップをジョン・ヘンリーに渡し、文字通り「二足の草鞋(わらじ)」=ズボン となったジョン・ヘンリーとキャメロンは、いったいどこに行ったんだろう?ということになり、最終話を暗示している曲だったのではないか?と考えさせられるものがあります。
「二足の草鞋(わらじ)」となったジョン・ヘンリーとキャメロンの行方は・・・
→詳細:最終話からループで伏線回収【ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ】
A.I.ジョン・ヘンリーの成長
また、併せての見方ですが、A.I.ジョン・ヘンリーがこの歌を歌っていることからも、実はこの歌は、ジョン・コナーではなくて、A.I.ジョン・ヘンリーのことを指しているとも見えます。「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」は、基本的には以下の「3つの点」を基軸に描かれています。
- 人間の成長(サラ・コナーの苦悩やジョン・コナーの成長)
- スカイネットの成長
- A.I.の成長(サイボーグ・レジスタンスの成長)
A.I.ジョン・ヘンリーが、人間の子どもと合わせて歌が歌えるまで(=人間の子どもをケアできるほど)成長しており(少なくとも、A.I.ジョンヘンリーの「精神年齢」は現段階ではサバンナ以上になっており)、未来のサイボーグレジスタンスの基軸となる準備がほぼ完了した、ということをこの「Donald, Where's Your Trousers?」(キルトをはいた少年)を「歌っていること」は示唆しています。
このシーンの最後では、ジョン・ヘンリーとサバンナが歌っている部屋を覗き込んで、A.I.の成長具合に満足そうな表情を浮かべ、そっとドアを閉めるキャサリン・ウィーバーの描写で締めくくられています。
# Terminator Sarah Connor Chronicles 221