キャサリン・ウィーバーT-1001が歌うサムソンとデリラ(シャーリー・マンソン)の意味

サラコナークロニクルズ

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歌うキャサリンウィーバーT-1001
サムソンとデリラ(Samson and Delilah)」という曲が面白いのは、

  • 誰が液体金属T-1001(キャサリン・ウィーバー)を箱に閉じ込めたのか
  • 箱に閉じ込められた恨み・怒りを延々と歌い
  • もし箱から出たら何してやるぞ

というメッセージが隠されている点です。

シーズン2のオープニング曲を歌うのは・・・

「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」シーズン2第1話冒頭は、「サムソンとデリラ」という曲をBGMにして始まります。キャメロンが車の爆発により不具合を起こし、暴走を始めたシーンです。

この曲はキャサリン・ウィーバー(T-1001)を演じたシャーリー・マンソンが歌っています

シャーリー・マンソン (Shirley Manson)は、スコットランド&アメリカのロックバンド「ガービッジ(Garbage)」のボーカルです。

「サムソンとデリラ(Samson and Delilah)」の意味

「審判の日」「救世主」などの言葉や「終末思想」ネタからも分かるように、映画「ターミネーター1」や「ターミネーター2」(T2)は、旧約聖書~新約聖書をモチーフに作られています。

そしてT2の続編である「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」も旧約聖書に沿って話を展開させていっています。
→その詳細:【解説】創世記とターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ

「サムソンとデリラ」は旧約聖書の物語

旧約聖書の「士師記」第13章~第16章に、サムソンの物語がありますが、それをモチーフにしたのが、このキャサリン・ウィーバーを演じた歌手 シャーリー・マンソンが歌っている「サムソンとデリラ(Samson and Delilah)」という曲です。

「サムソンとデリラ(Samson and Delilah)」は、オペラや映画にもなっている有名なお話(古典)です。日本でいうところの「日本昔話」みたいなものです。

「サムソンとデリラ」の簡単なあらすじ

この「サムソンとデリラ」の物語は、

  1. ライオンさえも倒す怪力を持つヘブライ人のサムソンという者がおり、
  2. 敵対関係にあるペリシテ人のデリラにそそのかされて力を奪われ、閉じ込められてしまう。
  3. 最後に力を取り戻してすべてを破壊し復讐する、
というお話です。

歌詞も、その物語と同じことが語られています。

  1. 1番の歌詞:デリラがサムソンをそそのかす話
  2. 2番の歌詞:幼少時代からサムソンは怪力だった話
  3. 3番の歌詞:引き続きサムソンの(ライオンを倒す)怪力話

一番重要なポイントは、サビで何回もリフレインされる、
If I had my way, I'd burn this whole building down
直訳:もし私の道を持つことができるのであれば、私はこの建物を燃やし尽くすことだろう。
(もし自由になれば/思い通りにすることができたならば、すべてぶち壊してやるのに。)
の一文です。

サムソンの怒り(恨み)と破壊がテーマになっている点です。

「サムソンとデリラ」の歌が例えるもの

この「サムソンとデリラ(Samson and Delilah)」の物語において、

  • 不思議な力を持つサムソンがT-1001キャサリン・ウィーバーであり、
  • デリラ(ペリシテ人)はスカイネット

と見ることができます。

閉じ込められた「サムソン」=箱の中のT-1001

そのため、サムソン同様、T-1001キャサリン・ウィーバーは箱に閉じ込められた状態で登場します。
十戒のアーク聖櫃
T-1001(後のキャサリン・ウィーバー)が入った箱。
時系列で最初にT-1001が登場したシーン(シーズン2第18話)。

→詳細:潜水艦にいたのはキャサリン・ウィーバー(T-1001)である理由

この箱の中に閉じ込められていた時の怒りの心情を「サムソンとデリラ」の歌詞 If I had my way, I'd burn this whole building down.(もし自分の思い通りにできるなら、すべてを破壊してやるのに。)に乗せて、シャーリー・マンソン(キャサリン・ウィーバー)は歌っている・・・というネタバレ設定になっています。聖書の古典を歌ったロックですが、恨み節を歌う演歌とも言えます。

T-1001を箱に閉じ込めたのはスカイネット

そしてその後、箱から解き放たれたT-1001は、実際にスカイネットへ復讐を果たすために行動していきます。(→スカイネットの対抗馬となるA.I.ジョン・ヘンリー育成のために、現代に飛び、キャサリン・ウィーバーに成り代わります。)

ちなみに、この箱から解放された後の状態は、今度は旧約聖書のアーク(聖櫃)と十戒に引っ掛けて描かれており、A.I.ジョン・ヘンリーに規律(十戒)を与えていきます。その理由は、規律がないのがスカイネットの弱点とみたからです。
→その詳細:【解説】創世記とターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ

いかにも"I'd burn this whole building down."のシーン。

T-1001はスカイネット傘下の施設「ハンターキラー製造工場(デザートキャニオン・ヒート&エアー)」を爆破します。
※この炎のシーンはT2のT-1000用水路のシーンのオマージュです。

以上から、箱にT-1001を閉じ込めたのはスカイネットであることがわかります。

もし、人間側がT-1001を閉じ込めていたならば、箱から出てきた途端に、T-1001は人間を皆殺しにしていたでしょう。

しかし キャサリン・ウィーバーは、

  • スカイネット(カリバ)傘下で働く人間
  • 自分の脅威・支障となる/自分に攻撃をしかけてくる人間
  • スカイネットが送った刺客(ターミネーターT-888)

以外はターミネートしません。明らかにターゲットをスカイネットとしていることから、この箱に閉じ込めたのが(恨みの対象が)スカイネットであることが分かります。

具体的に、箱の中に閉じ込められた時の様子は不明ですが、根底にある原因としては、サイボーグ側の「生存」(生き残る)可能性に対して算出した答えが、スカイネットとT-1001で相反していることが大きく関わっていることは間違いありません。
→詳細:「仲間にならないか」の意味【ターミネーター・サラコナークロニクルズ】

シャーリー・マンソンがターミネーターに起用された理由

ロックバンド「ガービッジ(Garbage)」のボーカルであるシャーリー・マンソンが、「サラ・コナー・クロニクルズ」でターミネーター役に抜擢されたのは、『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』(The World Is Not Enough/1999年)にてシャーリー・マンソンが歌ったオープニング主題歌「The World is Not Enough」の、以下のプロモーションビデオの影響によります。

「ターミネーター」を彷彿させるプロモーション・ビデオ。ちなみに007映画本編でのこの曲がかかっているシーンでは、液体金属のように見える女性が踊っています。

シャーリー・マンソンは、「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」の出演にあたり、「自身が歌う曲を1曲挿入すること」が、出演条件(出演契約)になっていたため、シーズン2の内容と自分が演じるT-1001のキャラクターを暗示した「サムソンとデリラ(Samson and Delilah)」をチョイスし、シーズン2のオープニングに挿入された・・・という流れです。
T-1001ことシャーリー・マンソンのアカペラが聴けるDVDボーナスDISC。「ターミネーター サラ・コナー・クロニクルズ」シーズン2後半のDVD(初回盤)には付録の映像/情報が充実してます。

ちなみに、シーズン2第20話では、サバンナ・ウィーバーが、歌手であるシャーリー・マンソンが演じるキャサリン・ウィーバーに対して、「ママは歌えないでしょ?」と言い放つギャグ・シーンが挿入されています。
→詳細:サバンナ・ウィーバーの学校

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