靴下で映画といえば、「ホーム・アローン」的なクリスマス映画を思い浮かべることも多いですが、クリスマスではなくても靴下が妙に印象的な映画というものがあります。
そんな靴下が目に焼き付いて忘れられない映画を拾ってみました。
「殺しの免許証(ライセンス)」 Licensed to Kill(1965年)
『殺しの免許証(ライセンス)』(英題:Licensed to Kill/The Second Best Secret Agent in the Whole Wide World)は1965年のイギリスの映画ですが、この中で、殺し屋(エージェント)の2名が、双方ともにモーゼル(Mauser C96)を持って街中で撃ち合うシーンがあります。 この時、相手に足音を悟られないように、双方ともに靴を脱いで靴下のまま偲び歩くシーンがあるのですが、靴を脱いだ敵方のエージェントの靴下の穴が開いていて、指が見えている・・・しかもそれをそのまま撮影し、本編として公開されている・・・という、一度見たら忘れられない名(迷)場面となっています。→そのシーンが確認できる動画:https://youtu.be/vyAA698XRSY?t=5042 プロといえばプロですが、サングラス掛けたハードボイルドな紳士が、穴あき靴下でモーゼルで撃ち合うというシュールな映画で、一度見たら忘れられません。
欧米人に「あるある」靴下の穴
「靴下の穴」は、室内でも靴を脱がない習慣の欧米人には「あるある」の文化で、穴が開いた靴下を履き続けていることはよくあります。そのため、来日したハリウッド俳優も、雑誌インタビュー等の写真インタビューで、日本の室内で、靴を脱いで撮影に応じた際、靴下に穴が開いたまま写真が撮られてしまっていることがよくあります。昔、「ロードショー」とか「スクリーン」などの映画雑誌で、そんなハリウッドスター(特にアイドル系)の来日時の穴あき靴下写真がよく掲載されていました。
「ノーカントリー」 No Country for Old Men(2007年)
『ノーカントリー』(No Country for Old Men)は、2007年のアメリカ映画で、アカデミー賞も受賞している名作ですが、これまた殺し屋と靴下で印象的なシーンがあります。劇中、殺し屋アントン・シガー(ハビエル・バルデム)がモーテルを襲撃する際、足音を悟られないように、靴を脱いで、靴下になってモーテルのドアに偲びよるシーンがあります。上述の「殺しの免許証(ライセンス)」を彷彿させます。
そして襲撃が済んだ後、モーテルの室内のベットに腰掛け、自分が履いていた靴下を無造作に現場に脱ぎ捨てる名(迷)シーンがあります。
この殺し屋アントン・シガーは、映画の冒頭にも安易に保安官に逮捕されるシーンもあり、犯行現場に自分の証拠が残ることをまったく気にしていないどころか、むしろ警察(保安官)に捕まること自体も楽しんでいるような素振りさえうかがえます。
その一方でこのこの殺し屋アントン・シガーは、潔癖症的な部分があり、自分の足の裏に血が付くことを非常に嫌がり、後のシーンでも、床を流れてくる血から足を浮かせて避けたり、現場の家から出た後に、自分のブーツの裏に血が付いていないか、入念に確認するシーンも挿入されています。
小道具としての靴下
これら靴下や靴の裏の描写は、アントン・シガーという強烈なキャラクター造形(観客への印象付け)に一役買っており、また、犯行シーンを直接描写しなくても、犯行を遂行したことを示唆する表現として、うまく使われていました。海外「あるある」靴下の低品質
そして何よりも、これまた海外・・・特に欧米諸国に「あるある」の「伸び伸び」の伸びに伸びた靴下も画面から確認でき、殺人鬼なのに人間臭さ、そしてリアリティーを感じさせます。靴下の品質の悪さは、欧米圏に住んだ人がよく実感する「あるある」話です。「ダイ・ハード」 Die Hard(1988年)
『ダイ・ハード』(Die Hard)は、1988年に公開されたアメリカ映画ですが、この映画では、主人公のジョン・マクレーン刑事(ブルース・ウィリス)が素足で頑張るアクションとしても有名です。劇中、飛行機内で、靴と靴下を脱いで「素足になればリラックスできる」と隣席の乗客から吹き込まれたマクレーン刑事が、ナカトミビル内でリラックスしようと素足になったところで、テロが発生し、終始、素足でアクションをこなすことになります。
しかし、足がクローズアップしていないシーンをよく見ると、マクレーン刑事(ブルース・ウィリス)は、靴下のようなブーツのような「薄い何か」を履いて撮影をこなしていることが、画面をよく見ると確認できます。
→関連記事:映画「ダイハード1」ナカトミ・プラザの不思議(矛盾)
ダイハード1のジョン・マクレーン刑事(ブルース・ウィリス)は実は素足ではなかった・・・という一幕でした。
他にも映画において、靴下ネタは事欠きませんが、なかなか靴下という細部まで詰め切って撮影できることはないので、靴下に注目して映画を観ていくのもおもしろいかもしれません。
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