1999年から2007年にタイムトラベルしてきて、偽造IDを手に入れ、早速こちらのCampo de Cahuenga High School(カンポ・デ・カフエンガ高校)に通うことになったジョン・コナーですが、校舎に変な落書きが描かれていたり、女子高生の事件に遭遇したり・・・と、穏やかではない学生生活を送っています。
(「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」シーズン1第3話「ターク / The Turk」)
校内の壁に、謎の落書きを描かれたことで、「体育館」の屋上に上がった女子高生のシーンのロケ地はこちら。
Jumper, the Gym scene
Film Location
- Warner Bros. Studios "Building 4" between building 4 and 149 near Gate 4
- 4000 Warner Blvd, Burbank, CA 91522 U.S.A.
- 座標: 34°09'04.4"N 118°20'22.1"W
34.151217, -118.339458
- Warner Bros. Studio Tour Hollywood(スタジオツアー)
URL: https://www.wbstudiotour.com/ja/
上図のビルNo.149の出入口からジョン・コナーは飛び出して、ビルNo.4(「体育館」)の下へ向かいました。
この建物はオフィスビルで、ワーナーブラザーズ・スタジオ・ツアーのコースにはないので一般人が訪れることはできませんが、スタジオの北側の一般道 West OLIVE Avenue(ウェスト・オリーブ・アベニュー)のゲート4 周辺から、壁越しにこの建物(ビルディング No.4)を見ることができます。
撮影時は、このビルの屋上に人(Jordon)が立っているのを通りから見ることができた、ということになります。撮影だと知らずに通りから見た一般人は、驚いたかもしれません。
実際の撮影では、高いところから飛び降りるのを得意としている Nancy Thurston(ナンシー・サーストン)というスタントウーマンが担当したそうです。
ちなみに、この建物は、デレク・リースが拘留された拘置所として(上図のビルNo.4,76,91に囲まれたエリア)、またキャメロンが侵入したロサンゼルス中央警察署のロケ地としても使われていました。
このシーンの解説
壁に書かれたドアの落書きは何だったのか?
この女の子Jordon Cowan(ジョーダン・コーワン・・・チアリーディング部所属)が、学校のガイダンス・カウンセラーのMr.Harris(ハリス先生)と、カウンセリングルームで関係を持ってしまって、それをたまたま見かけた人物が、その件をみんなにチクる(暴露する)ぞ、という目的で落書きを描いたものと思われます。最初はドアとブラと「A」という文字だけでしたが、徐々にエスカレートして、最後は「IDAN」という文字と、ブラとドアが半開きになってJordonが所属していたチアリーディングの衣装を着た女の子が男性がキスをしているドア越しの絵まで描かれるまでに至っていました。その女性のシルエットはJordonと、男性のシルエットはMr.Harrisとそっくりでした。
「IDAN」という文字は、「GUIDANCE COUNCELOR」の書きかけです。
落書きを描いた犯人は不明ですが、おそらく生徒の一人で、シェリーに詰め寄っていたサイコバス的な男子生徒の描写がありましたが、その男子生徒の可能性があります。
Mr.Harrisは、Jordonとの関係がどのくらい生徒たちにバレているのか心配になり、それで生徒たちを次々とカウンセリング名目でカウンセリング室に呼び出しては尋ねてまわり、キャメロンも「Jordonに最後に会話した人物」ということで、Mr.Harrisに呼ばれJordonが何をしゃべったか、根掘り葉掘り聞かれることになった、ということです。
この女子高生のシーンが持つ意味は?
スカイネットとの闘いには、直接的には関係はありませんが、- ジョン・コナーの成長
- キャメロンの成長
- 第14話ライリーの行為の伏線
の1つのきっかけになる出来事として、この女子高生の事件のシーンが挿入されています。
1.「ジョン・コナー」になっていくきっかけ
それまでジョンは、「自分が人類の救世主になるなんて何かの間違いじゃないのか?救世主は自分じゃなくて母親(サラコナー)ではないか?」という感じでずっとモヤモヤ悩んでいました。(身分をさらすとターミネーターにねらわれるということもあり、偽名で生きる、引き籠り系でもあった。)そして思春期ということもあり、微妙なお年頃でもあります。そして今回、Jordonの死にあたり、「身近な人間も助けられないのに人類のリーダーなんかになれるのか?」という思いが強まり、「未来のジョンコナーへのスイッチ」が1つ入るきっかけになったという描写として描かれています。
2.キャメロン(A.I.)の成長
「オズの魔法使い」が何度も劇中に登場しているように、キャメロンは「オズの魔法使い」に出てくる「ブリキ男」になぞらえて、何度もサラコナーから「ブリキくん」「ブリキちゃん」と呼ばれています。そんな「心を持たぬブリキちゃん」キャメロンが、人間が死者を弔うという行為などから、少しずつ人間を理解し、心を入れていく過程の1つとしても、1人の人間の死のくだりが挿入されています。
→関連記事:亀とターミネーターとブレードランナー
その応用編として、シーズン2第15話の葬儀・通夜のシーンでは、チャーム・エーカーの工場の爆発で亡くなった従業員の「遺族」が、「遺影」を見ようとしないことから、キャメロンは従業員は亡くなっていないことを見抜きます。
これは「遺影を見ながら死者を弔う」という人間の心理や習性を、高校での事件を介してキャメロンが理解したことによる洞察となっています。
→このシーン詳細:グレムリンの家での通夜(スカイネット調査)
3.シーズン2第14話の伏線
この高校での事件は、のちにシーズン2第14話「大いなる存在 / The Good Wound」にて、ライリーがバスルームで起こした事件の伏線にもなっています。ジョンコナーは高校で女子高生を助けようとし、キャメロンはそれを止める。その様子をライリーが見ていて、ジョンとキャメロンを引き離す道具としてこのアイデアを利用したことが後に明らかになります。シェリーという女の子は何だったの?
同級生に Kristina Apgar(クリスティーナ・アプガー) が演じるシェリーという金髪の女の子がいて、ジョン・コナーのほうから積極的に話しかけることが多かったので、ジョン・コナーはあのようなタイプの子が好みだったようです。シェリーの設定としては、前いた学校で何か問題を起こして(おそらく教師と関係を持った等)、この学校に転校してきて、今は親が厳しく監視中・・・というワケありの複雑な設定になっていました。「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」が始まった当初は、そのシェリーとジョン・コナーとキャメロンの学園内の三角関係的なものが描かれる予定だったそうですが、2007–2008年全米脚本家組合ストライキ(2007–2008 Writers Guild of America strike)が発生。これにより製作を中断せざるをなくなり、シーズン1が急遽、9話までで終了することになったので、そのシェリーとの学園内のシーンはカット。そのため、劇中、シェリーは何だか中途半端な存在(=ただの同級生)になってしまいました。
この脚本家ストライキがなければ、ジョン・コナーはもっと高校に通学し、「サラ・コナー・クロニクルズ」は学園ドラマ的要素が強まっていたことでしょう。もう少しキャメロンとの関係も恋愛的に濃厚になっていたかもしれません。
ただ、この三角関係については、シーズン2で、未来からやってきたライリーというキャラクターにて代わりに描かれることになりました。
# Terminator Sarah Connor Chronicles 103 Trompe-l'œil graffiti John Connor Campo de Cahuenga High School