サラ・コナーが同じ銃で偲ぶカイル・リース

ターミネーター

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カイルリースとサラコナーの銃

映画『ターミネーター』(The Terminator、T1、1984年)のエンディングといえば、ガソリンスタンド。そしてそのガソリンスタンドのシーンでの、


が有名ですが、あまり注目されていないものに、サラ・コナーが携帯していたリボルバーの銃があります。

実はこの銃は亡きカイル・リースへの想いがつまったものでした。

サラ・コナーの銃が語るもの

ルガー・セキュリティシックス 4インチ357マグナム弾(ステンレス/ラバーグリップ)

このガソリンスタンドのシーンでサラ・コナーが携行していた銃は、Ruger Security Six with 4" barrel .357 Magnum(Stainless )・・・ルガー・セキュリティシックス 4インチ357マグナム弾(ステンレス)で、黒のラバーグリップ仕様のものでした(上図)。

ルガー・セキュリティシックス 4インチ357マグナム弾(黒/ウッドグリップ)

実はT1でカイル・リースが使っていたのもルガー・セキュリティシックス 4インチ357マグナム弾(黒)で、サラ・コナーのと同じ型で色違いの銃となります。(上図)
ターミネーターの銃ルガーセキュリティシックス

1.刑事がカイルに手渡した銃

ターミネーターT-800の警察署の襲撃から逃げる際、撃たれたエド・トラクスラー刑事(ポール・ウィンフィールド→ターミネーター出演者の故人を悼む)がカイル・リースを呼び止めて、「サラコナーを守ってやるんだ」と自分の銃(ルガー・セキュリティシックス)をカイル・リースに渡します(未公開シーン)。それがルガー・セキュリティシックス 4インチ357マグナム弾(黒)です。

2.カイルがサラに向けた銃

カイル・リースはその後、その銃を持ち続け、このターミネーター2発祥の地T1【フォールズ・カフェ】のケンカ・シーン(未公開シーン)では、サラ・コナーにその銃を向けたこともありました。この時サラ・コナーは「サイバーダイン社爆破計画」を発案し、カイル・リースを説得します。T2の起源はここにあります。

3.モーテルでサラに手渡した銃

また、TIKIモーテルでは、カイル・リースがお手製のダイナマイトを作るための資材調達の買い物に出かける際、「Keep this.(これを持っておけ。)」と、一応護身用にサラ・コナーにそのルガー・セキュリティシックスを渡します。

サラ・コナーにとってはおそらく初めて触る銃であり、そんな物騒な物触りたくない、と一度はベッド脇へ放り投げますが、その後、思い直してその銃を持ち直してまじまじと見つめるシーンがあります。

この後2人は仲睦まじくサイバーダイン社爆破用のダイナマイト作りと子作りにいそしみます。

サラ・コナーにとっては思い出の銃

つまり、サラ・コナーにとって、ルガー・セキュリティシックスは、初めて触った銃であり、思い出の銃でもあるのです。

その後、T-800によるモーテルの襲撃、カーチェイスを経て、T-800ターミネーターとのバトルの狭間にそのルガー・セキュリティシックスはどこかへ消えてしまいます。

カイル・リースと一緒にいるつもり

そしてエンディングのシーンになるのですが、サラコナーは運転席でルガー・セキュリティシックスを所持しています。

このルガー・セキュリティシックスはステンレスのシルバーなので、カイル・リースが使っていたそのもの(黒)ではないので、サラ・コナーが新たに購入したものと思われます。

その際、カイル・リースが持っていた銃と同じものをわざわざ選んだことがうかがえます。購入時、銃器店の店主から、女性だからということで色はステンレスのシルバー、グリップは銃初心者の女性でも撃ちやすいように黒のラバーグリップが巻かれているものを勧められたのでしょう。
そのルガー・セキュリティシックスをサラ・コナーは身籠っているお腹のところに乗せながら、これから産まれるジョン・コナーへのメッセージをカセットテープに吹き込んでいます。

通常、お腹の赤ちゃんのすぐ傍らに銃、となると(暴発の危険性もあったりで)かなり異様な構図ですが、サラ・コナーにとっては、この銃はカイル・リースの形見のようなもので、カイル・リースと一緒にいるつもりで、息子ジョンへのメッセージを吹き込んでいたのでしょう。

ジェームズ・キャメロンの仕込み

銃の一致は単なる偶然ではないか?と思われるかもしれませんが、実はターミネーター2(T2)でも、サラ・コナーはカイル・リースが使っていたものと同じものを身に着けていたので、このルガー・セキュリティシックスの一致は、カイル・リースを偲ぶものとして意図的にサラ・コナーが選んでいた可能性は非常に高いです。
→詳細:T2サラも愛用のカイル・リースのコートの怪

また、T1の監督は、銃火器オタクで銃にメッセージを託すジェームズ・キャメロンなので、このサラコナーの銃にも意味があるはずです。車が停車するときにわざわざオモチャのトラックを引かせたり、わざわざレーザーサイト付の銃を使ったり、と細かい演出の積み重ねがジェームズ・キャメロンの特徴の1つだからです。

その他ルガー・セキュリティシックス関連

残念な「ターミネーター・ニューフェイト」

「ターミネーター・ニューフェイト」でもサラ・コナーがリボルバーの銃を所持しており、その銃がこのルガー・セキュリティシックスだったらとても感動したのですが、残念ながら「ニューフェイト」でサラ・コナーが持っていたのはChiappa Rhino 50DS(キアッパ/チアッパ・ライノ 50DS)でまったく違うものでした。

「ニューフェイト」においては、全体的に銃のチョイスがチャラく、一貫性やメッセージ性、癖も感じることがなく、明らかにジェームズ・キャメロン監督作ではなく正統な続編感がまるで無いことが、この辺りにも露呈している残念な内容になっていました。

サラ・コナーに対ターミネーターに意味不明な3発しか装弾できないコンパクト・ショットガンを持たせたり、それをポスター等で前面出しにしたり、とニューフェイトはチンプンカンプンな演出が目立ちました。
→詳細:サラ・コナーの疑問点(ターミネーター:ニュー・フェイト)
ニューフェイトはジェームズ・キャメロンではない、ティム・ミラー監督作品であり、ティムミラーは前作「デッドプール」でもコンパクト・ショットガン(レミントンM870・ショートバレル)やコルト M1908 ベスト・ポケットなどを使っていたので、「ニューフェイト」でサラコナーにコンパクト・ガンを持たせたのも、コンパクト党であるティムミラー監督のご趣味だったのでしょう。

銃火器に限らず、そもそも「ニューフェイト」にはカイル・リースの「カ」の字も登場せず、ジョン・コナーには肖像権料としてお金を握らせただけでお払い箱。本当にこれ「正統な続編」なのか、かなり疑問が残る内容となっていました。ニューフェイトの全キャラクターに温かみやヒューマニズムが感じられず、全体的に殺伐とした感じで、映画レビューを見ても「登場人物の誰にも感情移入出来ませんでした。」などの感想があるのは納得です。

日本におけるルガー・セキュリティシックス

日本においては、WA(ウェスタンアームズ)社がスタームルガー・セキュリティシックス(Sturm Ruger Security Six)として、4インチや6インチ、シルバーやブラックなどのモデルガンをかつて販売していました。

今でもご当時モノを、極々稀に、ではありますが、ネットオークション等で見かけることはあります。

以上、たかが銃、されど銃。映画の小道具としてのルガー・セキュリティシックスが語っているものについて、でした。

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