ターミネーター2を予告?T1ホンダ・スクーターとバイク集

ターミネーター

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ホンダ・エリート(スペイシー)125バイク

映画『ターミネーター』(The Terminator、T1、1984年)で、主役のサラ・コナー(リンダ・ハミルトン)の愛車は、ホンダのスクーター「SPACY 125(スペイシー125)ストライカー/アメリカでの販売モデル名: Honda Elite 125, CH125 」1984年式でした(日本と欧州ではSpacy、北米ではEliteという名前だったようです)。
サラ・コナーのホンダ・スクーター

サラ・コナーが、バイト先のファミレス「Big Jeff's Family Restaurant」に通勤するシーンなどで乗っているのを確認できます。
→関連記事:サラ・コナーが働いていたレストラン

ホンダ Spacy/Elite 125 の特徴

格納式ヘッドライト

このバイク(Spacy/Elite 125)の一番の特徴は、リトラクタブル・ヘッドライト(Retractable headlights)・・・格納式前照灯です。

2輪車初の自動収納式ヘッドライトを採用 高級乗用車感覚のスクーター「ホンダ・スペイシー125ストライカー」を発売
本田技研工業(株)は、2輪車初の自動収納式(リトラクタブル)ヘッドライトを採用し、スクーターでは初の、水冷4サイクルエンジン(124cc)を搭載した、高級乗用車感覚のスクー ター「ホンダ・スペイシー125ストライカー」を3月10日より発売する。
(1983年03月07日ニュースリリース)
https://www.honda.co.jp/news/1983/2830307.html

エレガントさ(からの落差の前フリ)

T1でもそのヘッドライトをサラ・コナーは点灯させながら運転し、T1の中で唯一エレガントなBGMで上品な感じで爽やかに登場していました。

また、サラ・コナーは初め、やたらピンク色のモノ(リュック、制服、シャツ)を身に着けているのも目立ちます。
戦士化した『ターミネーター2』では、サラ・コナーはいっさい、ピンク色のものを身に着けていません。
→関連記事:T2サラも愛用のカイル・リースのコートの怪

これは、「エレガントな普通の女性(女子大生/お嬢さん)が、これからターミネーターの襲撃という恐怖に巻き込まれ、戦士へと変わっていく」という、落差をつけるための前フリ演出だと見られます。

未来感

また、T1では、銃に必要でもないのにレーザーサイトを使用したり、とジェームズ・キャメロンこだわりの「未来感の演出」も随所になされていました。
→関連記事:ターミネーターなのにレーザーサイトを使った理由

このホンダ Spacy/Elite 125も、当時のCMやパンフレットを見ると、宇宙船の窓から外界を臨むような部屋にバイクが置かれた構図になっていたり、スペースシャトルが登場していたり・・・と「宇宙」「未来」を感じさせるイメージになっていました(後述)。
ホンダ・スクーター・スペイシーの宇宙イメージ
HONDA・・・WORLD'S LARGEST MOTORCYCLE MANUFACTURER

Spacyとはspace(空・空間・宇宙)からの造語ですが、「宇宙(=未来)」の意味に託して、このバイクにスペイシーと名付けたようです。

そんな「未来感」をターミネーターにて演出する小道具の一環として、このホンダのスクーターも一役買っていたわけです。

Spacy と Elite の違い

ホンダのSpacy(スペイシー)の、米国名がElite(エリート)ですが、外見的にも少し違います。

一番わかりやすい違いは、サラ・コナーが乗っているEliteには、車体の前後下部の横にサイドランプ(=ポジションランプ=車幅灯=スモールランプ)が付いていますが、日本での製品にはサイドランプは付いていません。

これはアメリカなどでの規制に沿った仕様変更のようです。

まるでT2の予告のようなスペイシーの宣伝

そんなホンダのスクーター「SPACY 125(スペイシー125)ストライカー/Honda Elite 125, CH125 」ですが、そのご当時モノのパンフレットを見てみると、まるでT1の続編である『ターミネーター2』(Terminator 2: Judgment Day、T2、1991年)に登場した、あの液体金属ターミネーターT-1000にそっくりな、メタリックなモノが登場しているのです。
ホンダ・スペイシー125日本版
ホンダ・スペイシーのパンフレット表紙、日本版(上)と海外版(下)
ホンダ・エリート125海外版
まるでT1の時点で、T2を予告していたかのようなホンダのパンフレットです。
ターミネーター2液体金属T-1000
T2のこのシーンのように、液体金属ターミネーターT-1000が、今にも追っかけてきそうな勢いです。

もしかしたらジェームズ・キャメロンはT1撮影の1984年当時、サラ・コナーのバイク選びの際に、このスペイシーのパンフを目にして、「次回のターミネーターはこんな銀色メタリック調にしたい」とアイデアを得たのかもしれません。
→関連記事:ランス・ヘンリクセンがターミネーター役のままだったら?

ターミネーターとバイク

「ターミネーター・シリーズといえばバイク」というイメージをお持ちの方も多いようです。

おまけでターミネーター・シリーズに登場したバイクを簡単にまとめました。

ターミネーター1

  • ホンダのスクーター「SPACY 125(スペイシー125)ストライカー/Honda Elite 125, CH125 」1984年式・・・にサラ・コナーが乗っていました(前述の通り)。
  • HONDA CB750 FOUR-K・・・の赤色に、終盤のカーチェイスにて、ターミネーターT-800(アーノルド・シュワルツェネッガー)が乗っていました。
ターミネーター1は、バイクは「ホンダらけ」だったことになります。安い製作予算の中で調達できる良質なバイクだった、ということなのかもしれません。

ターミネーター2

  • Harley-Davidson Fat Boy(ハーレーダビッドソンファットボーイ)・・・ターミネーターT-800(アーノルド・シュワルツェネッガー)が乗っていました。
  • Kawasaki KZ1000P・・・液体金属T-1000が警官から奪った白バイはカワサキでした。
  • ホンダ XR 100・・・ジョン・コナーが液体金属T-1000から逃げる際、ショッピングモールから用水路でのチェイスで乗っていました。
こう見ると、T2はバイク映画だった、と言えます。サラとジョンのコナー家は、親子でホンダのバイクを愛用していたことになります。

ターミネーター3

  • Triumph Bonneville America(トライアンフ・ボンネビル・アメリカ)・・・映画の序盤にジョン・コナーが乗り、転倒したバイクです。
  • Indian Chief(インディアン・チーフ)・・・T-Xが運転するクレーン車とのチェイスの際、ターミネーターT-850(アーノルド・シュワルツェネッガー)が乗っていた白バイです。

ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ

  • ヤマハ(YAMAHA)FJ1100(青、1985年)・・・シーズン1第2話にて、サラ・コナーが東洋系アジア人から奪ってターミネーターT-888・VICKを追跡する際に乗ったのがYAMAHAでした。このバイクでサラ・コナーはターミネーターにスライディング・タックルをくらわせます。
  • 白バイ(不明)・・・シーズン1第7話でターミネーター・キャメロンが白バイ警官に扮した際、白バイに乗っていましたが、バイクの形式は不明です。このシーン、シルバーのサングラスを掛け、T2の液体金属T-1000のオマージュ仕立てとなっています。

ターミネーター4・サルベーション

  • DUCATI Hypermotard 1100(ドゥカティ・ハイパーモタード1100)・・・をベースにしたモト・ターミネーターが数台、登場します。ジョン・コナーが捕獲してハッキングし、サンフランシスコにあるスカイネットの基地への足として使います。
→関連記事:モト・ターミネーター(バイク)【T展】

ターミネーター5・ジェニシス

  • Harley-Davidson FLSTF Fat Boy(ハーレーダビッドソン FLSTF ファットボーイ)・・・に砂鉄男ジョン・コナー(T-3000)が乗り、ゴールデンゲートブリッジにて黄色のスクールバスにバイクごとジャンプして飛び移ります。ハーレーダビッドソン・ファットボーイのチョイスはおそらくT2へのオマージュかと思われます。
ターミネーター・ジェニシス新起動
ちなみに、ジェニシスの映画宣伝商材イメージに、バイク(おそらくハーレーダビッドソン・ファットボーイ)をサラ・コナー(エミリア・クラーク)が運転し、後部シートにカイル・リース(ジェイ・コートニー)が乗ったタンデム写真があります。Entertainment Weekly; Terminator: GenisysのMagazine Collector Covers(雑誌表紙)にもなっています。しかし、これはあくまで宣伝用のプロモ写真であって、映画本編にはこのようなシーンはありません。

ターミネーター6・ニューフェイト

「ターミネーター・ニューフェイトにはバイクが登場しなかったから正統ではない(不満)」との映画レビューを書き込んでいる人も見かけます。

それほどバイクはターミネーター・シリーズではアイコニックな、お約束のアイテムで、シュワちゃんT-800がバイクに乗るのがお約束事項となっています。

そんなターミネーターにおけるバイク・ヒストリーは、このホンダのスクーター、Spacy/Elite125から始まったのでした。

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