ターミネーター映画の5作品目として、三部作構成の第一作目として公開されるも、興行も評判もふるわず続編は中止、黒歴史化した「ターミネーター・ジェニシス」(英題:Terminator Genisys)ですが、その内容にあまりに「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」と酷似点が多かったので、その酷似点をまとめておきます。
たくさんありますが、その中でも特に気になった点を画像にまとめると以下の通り。
以下、順に説明していきます。
車に衝突して決めゼリフを吐く
サラ・コナー・クロニクルズ(シーズン1第2話)の、キャメロンが車にはねられ、フロントガラスを突き破った顔から気の利いたセリフを車内に吐くシーン。ジェニシスのゴールデンゲートブリッジ上で、シュワちゃんが車にはねられ、フロントガラスを突き破った顔から気の利いたセリフを車内に吐くシーン。
瓜二つです。
車で相手を跳ね飛ばして決めゼリフ Come with me・・・
ジェニシスでサラ・コナーが敵を跳ね飛ばしながらさっそうと登場し、運転席からドアを開け放って、"Come with me if you want to live!"(生きたければ付いて来て)の決めゼリフ・・・までの一連の流れ。これはサラ・コナー・クロニクルズ第1話にて、キャメロンが車で颯爽と登場し、ターミネーター(クロマティ)を跳ね飛ばして、"Come with me if you want to live!"の決めゼリフを吐くシーンそのもの。
"Come with me if you want to live!"は、ターミネーター・シリーズの「お約束」なので、そのセリフ自体は問題ないのですが、シーン全体の流れまでそっくりというのはどうなのかと疑問に感じざるを得ません。
道路へのタイムトラベル到着シーンが見分けがつかないほど
サラ・コナー・クロニクルズシーズン1第1話の、サラ・コナーやキャメロン、ジョン・コナーが過去から未来(1997年→現代 2007年)へタイムトラベルし、道路に到着するシーン。ジェニシスでも過去から未来(1984年→現代 2017年)へタイムトラベルし、道路に到着するシーンが瓜二つ。
違いがわからないほど、かなりそっくりです。
車が通行中の道路を着地点とする点、そしてその到着シーンのアングルその他すべてそっくりです。
→詳細:T名物タイムトラベル到着地点が道路の元祖
タイムトラベル装置のTDE(Time Displacement Equipment)は、その「時間転移装置」という名前の通り、場所は移動しない、時間だけが移動する、というものなので、サラ・コナー・クロニクルズでは、タイムトラベル出発点の銀行が爆発で吹き飛び、そこが道路になったので道路に到着した・・・という理由があるのですが、ジェニシスで道路に到着した理由は不明です。単に見栄えが良かったからという理由だけかもしれません。
そして車が通行中の道路に到着するというのは、「ターミネーター・ニューフェイト」でもありました。オマージュとしてやっているわけでもないのに、なぜ同じようなシーンを繰り返すのか、後続作品に疑問を感じます。
液体金属が両腕刀(二刀流)
これまでの3つぐらいならまだしも、まだまだ続き、次は液体金属までも。サラ・コナー・クロニクルズの液体金属T-1001ことキャサリン・ウィーバーの二刀腕に、ジェニシスのイ・ビョンホン演じるT-1000の二刀腕がまったく同じ。
ちなみにジェニシスではなぜT-1000が東洋人のイ・ビョンホンになっているのか不明。あの路地裏のカイル・リースの元にやってくる警官役は黒人だったはず。
バレットM82でターミネーターを仕留める
バレットM82でターミネーターを仕留める発想まで、ジェニシスはコピーしています。サラ・コナー・クロニクルズで、ターミネーター史上、初めてバレットM82がシーズン2第5話に登場し、ジョン・コナーがターミネーターを引き付けている間に、デレク・リースがバレットM82でターミネーターを仕留めます。
ジェニシスでは若T-800 対 老T-800 のバトルで、老シュワちゃんが若T-800を引き付けている間に、サラ・コナーがバレットM82でT-800を仕留めます。
そっくりです。
その後ジェニシスでは、カイル・リースがT-800を仕留める際にも同銃を仕様しています。
しかも、ジェニシスで使ったのはバレットM82A1ですが、このバレットM82A1はこのシーンの舞台である1984年にはまだ存在しないはずのタイプであり、矛盾が生じています。
→詳細:ターミネーター・ジェニシスの矛盾と疑問点
過去→未来へタイムトラベルという発想
昔からタイムマシンを仕込んでおいて、過去から未来へタイムトラベルをする、という点もそっくりです。サラ・コナー・クロニクルズでは1963年に貸金庫型タイムマシーンの銀行内に秘密裏にタイムマシーンを作って仕込んでいました。
ジェニシスでも工場内に秘密裏にタイムマシーンが作られ備えられていました。
そしてジェニシスにおいて、過去から未来へタイムトラベルして、観客が観ているリアルタイムの時代設定にリセットするという発想も、サラ・コナー・クロニクルズにそっくりです。
ただ、サラ・コナー・クロニクルズの場合、しっかりとジョン・コナーという子作りをしてから未来へ飛んだからいいものの、ジェニシスの場合は、一番肝心なことをせずに未来に来てしまったので、「救世主としてのジョン・コナー」という、ターミネーターのストーリーの根幹部分が崩壊してしまい、それが大失敗の一因になったのではないでしょうか。
ジェニシスは、ストーリー上の軸が崩れた上に、1973年、1984年、2017年、2029年と時代が入り乱れた割にはその背景がしっかりと説明されておらず、時間酔いして理解不能に陥ってしまった観客も多かったようです。
幼い頃のカイル・リースに会いに行く
また、幼い頃のカイル・リースに会いに行く、というのも、サラ・コナー・クロニクルズにてデレクとカイル・リースが野球をしていた公園にカイル・リースに会いに行くシーンと似ています。もっとも、ジェニシスでは、その会いに行った子どものカイル・リースに積極的に関わってしまったので、未来への不測の影響が計り知れないものがあります。
また、「幼い頃の●●に会いに行く」というアイデアは、サラ・コナー・クロニクルズ放送時、とても好評だったため、どうも後続の製作者たちが味をしめたらしく、「ターミネーター・ニューフェイト」(Terminator Dark Fate)のエンディングでも、幼い頃のグレースに会いに行く、という形で完全にコピーされていました。
総合すると、「ターミネーター・ジェニシス」に次いで「ターミネーター・ニューフェイト」でも既存作品と変わり映えするものが乏しく、ターミネーター作品は、もうネタが出尽くしており、製作者たち(人間)の想像力の限界に達している、オワコン化してしまっていると言えます。
今後はそれこそ A.I. に脚本を作ってもらったほうがいいのかもしれません。
ダニー・ダイソンが元凶というネタ
サラ・コナー・クロニクルズでは、マイルズ・ダイソンの息子、ダニー・ダイソンが失踪していることが明かされています。また、スカイネットのA.I.に、ジョン・ヘンリーと同じコードが使われており、サイバーダイン社やマイルズ・ダイソン転じてダニー・ダイソンが、スカイネット発祥に何らかの関係があると示唆されていました。
一方、ジェニシスでは、ダニー・ダイソンが「Genisys」の開発担当者であり、それがスカイネットになった、となっており、ダニー・ダイソン ネタもサラ・コナー・クロニクルズとかぶっています。
創世記という発想
ジェニシスについては、そもそも当初発表された『ターミネーター: ジェネシス』 (Terminator: Genesis)というタイトル(数ヶ月後には『ターミネーター・ジェニシス』 (Terminator Genisys) と造語スペルに変更)からして、創世記(Genesis)ベースのサラ・コナー・クロニクルズのパクリ臭がプンプンでした。タイトルや脚本だけかと思いきや、ふたを開けてみると、実際の映画内の複数のシーンも、ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズに酷似点が多すぎた「ターミネーター・ジェニシス」でした。
ジェニシスがサラ・コナー・クロニクルズにオマージュを表明していればよいのですが、オマージュ表明もしておらず、それ以前にオマージュ的なシーン構成にもなっていないため、いかがなものか、という作品でした。