ターミネーター:ニュー・フェイトの矛盾(タイムパラドックス編)

ターミネーター

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※以下、映画「ターミネーター:ニュー・フェイト」のネタバレも含まれますので、ご注意ください。
ニューフェイトの矛盾
興行的にも大失敗で爆死に終わってしまった『ターミネーター:ニュー・フェイト』(原題 Terminator: Dark Fate)。

世間的にも微妙な評価が流れ、いろいろな矛盾点や辻褄が合わない腑に落ちない点・疑問点を指摘されることが多いですが、このページでは、そんな『ターミネーター:ニュー・フェイト』の矛盾の中でも、時間軸(タイムライン/タイムパラドックス)に絞った矛盾点を、整理の意味も含めて まとめてみました。

ターミネーター・ニューフェイトの矛盾(タイムライン編)

『ターミネーター:ニュー・フェイト』は、ざっくり言うと2029年の未来からスカイネットがバックアップ・ターミネーターをたくさん過去に送っていました、という「後出しジャンケン」設定になっています。その時点で「ターミネーター1」(T1)や「ターミネーター2」(T2)は何だったの?というヒドイことになってしまうのですが・・・

時系列まとめ

T1、T2とニューフェイトの時系列を図解すると以下のような感じです。
ターミネーター・ニューフェイトの矛盾
T2における1994年のサイバーダイン社爆破で、スカイネットは消滅しました。しかし、そのサイバーダイン社爆破の前に、バックアップ・ターミネーターとしてT-800(シュワちゃん演じるカール/Carl)がこっそり送られていて、それがジョン・コナーを1998年にターミネートしてしまいました・・・というのがニューフェイトの味噌になっています。
ここで疑問メモ
  • ジョンコナーを探し出すのに4年もかかったのか?
  • 成長期に4年も経過しているのにジョンコナーが成長してないのはなぜ?
  • なぜT2にカールT-800は登場しないのか?
  • なぜT2でT-800はカールT-800の存在に気づかないのか?
  • T-1000を送ったことに気づいた未来のジョンは、なぜカールT-800には気づかなかったのか?
  • なぜ毎回やってくるT-800はシュワちゃん顔のみなのか?(もはやコントでしかない)
  • T1で大量殺人,T2でミニガン乱射・ビル爆破等散々やらかし指名手配されているのと「同じ顔」がカーテン屋まで開いて20年以上逃げ続けられる設定は無理すぎる
    →詳細:T-800カールの矛盾【ターミネーター:ニュー・フェイト】
などここだけでも数々の疑問・矛盾が生じますが、当ページはあくまでタイムラインの矛盾にのみ言及することにします。

消滅したスカイネットが干渉してくる矛盾

そこで矛盾しているのが、サイバーダイン社爆破でスカイネットが存在しない時間軸になった(←実際にカールもそう言っている)にもかかわらず、なぜかサラ・コナーがジョン・コナーの死後、1998年~2020年の間に、未来から次々と新たにやってくるスカイネットが送ったターミネーターを何体も自力で倒したことになっている点です。

以下、劇中のサラコナーのセリフ。
Sarah Connor: Skynet had sent several terminators to hunt him. One finally caught up with us, and carried out orders from a future that never happened. Since then, I hunt terminators, and I drink until I black out. Enough of a resume for you?
Sarah Connor: I get these texts. Precise GPS coordinates. Dates, times, down to the second. They always end with the same two words, “For John.” So I pack up every weapon I’ve got, and I head to those coordinates to kill whoever is messing with me. The air splits open above a parking lot, and a terminator drops out. So I destroy it. And then two years later, same thing. Location, time, date, “For John.” I fired that one too. And last week, I get two texts, both in Mexico City.
これらのターミネーターもカール同様、サイバーダイン社爆破前に送られてきていたのでしょうか?

いいえ、違います。

なぜならタイムトラベルしてくる際の、新たなエネジーバブルをカールが検知して、それをサラに知らせているからです。つまり1998年~2020年の間に新着したことは間違いありません。

スカイネットが存在しない時間軸なのに、なぜスカイネットが送ってくるターミネーターがこの新時間軸で干渉してくるのでしょうか?矛盾しています。

「ターミネーター:ニュー・フェイト」について、「矛盾はない」「辻褄は合っている」としているサイトは、この点には触れようとしません。

リージョンが送ったターミネーターだったのか?

では1998年~2020年の間に何体も送られてきたターミネーターは、スカイネットではなく、その時間軸の未来に存在するLegion(リージョン)が送ったターミネーターだったのでしょうか?

いいえ、違います。Legion(リージョン)が送ったターミネーターではありません。

その理由としては、

  1. サラ・コナーが手持ちの武器で自力で倒せている
  2. 倒したのはサラが知っている型のターミネーターだった

以上の2点から、1998年~2020年の間に何体も送られてきたターミネーターは、サラコナーがよく知っているT-800系だったことがわかります。つまり、送ったのはスカイネットだということになります。

1の解説

1については、サラコナーは実際、リージョンが送ったRev-9は倒せていません。また、液体金属も倒せるような武器も持ち合わせていません。ジェニシスのようにバレットM82を持ってもいなければ、強酸も持ち合わせていません。
かろうじて、サラの手持ちの武器の中でバズーカか手りゅう弾が運よくT-800の胴体の内側で破裂すれば、T1のカイル・リースお手製のダイナマイトのように、T-800をバラすことくらいはできるかもしれません。よって、サラコナーが倒せるのはT-800ぐらいなので、送られてきたのはスカイネットでお馴染みの旧式T-800であった可能性が高い、ということになります。

2の解説

2に関しては、T1とT2から、「サラコナーが知っている」ターミネーターはT-800とT-1000しかいません。そしてサラコナーとグレースの会話に以下のようなやりとりがあります。

Sarah Connor: I can’t fight it if I don’t know what we’re up against.
サラ:どんな奴と対峙しているのか知らないと戦うことができない。

Grace: It’s a Rev-9 model. You don’t fight it. You run from it.
グレース:Rev-9モデルよ。戦えない。逃げるだけ。

つまり、Rev-9はサラにとって初見だということ(これまで対峙したのはRev-9ではないということ)がわかります。リージョンが送ったのなら、サラコナーが知らないターミネーターなので、逆に言えば、サラが知っているターミネーターであるならば、それはスカイネットのもの、ということになります。

矛盾のまとめ

以上から、ニューフェイトでは「スカイネットが存在しないタイムライン」に移行しているにもかかわらず、スカイネットが送ったターミネーターをサラが何体も倒している(消滅した時間軸から干渉してきている)という矛盾が生じています。

さらに多くの矛盾

上記のタイムトラベルに関しては、

サラ・コナーの瞬間移動の矛盾

T-800カールがタイムトラベルを検知してからサラ・コナーへ通知、サラコナーがタイムトラベル到着地点に到着する、という一連の行動が瞬時に、それこそ2,3分以内にすべてがなされなければならない、という実現不可能な速度的・時間的矛盾

サラ・コナーの越境の矛盾

すべてのターミネーターの到着がサラ・コナーが駆けつけられる地点である距離的矛盾。サイバーダイン社破壊前の時間軸のスカイネットが送ったのなら、アメリカ・ロサンゼルスにターミネーターが送られる可能性が高いです。そして劇中、サラコナーはメキシコからアメリカへの入国が相当困難であると言及しており、実際、国境にて捕まっています。アメリカに到着したターミネーターはそう簡単に越境して倒せないはず。サラコナーが倒したというならそれらターミネーターはすべてメキシコの、しかもサラコナーがいるすぐ近くに到着するという無理やり設定が展開しています。

サラ・コナーの軽装備の矛盾

前述のように、そもそもサラコナーが持っている武器では倒せないというサラコナーの装備の矛盾も存在します。弾が3発しか装弾できないショットガンを持ってRev-9に近寄っていく大失敗シーンもあり。ポスターのサラ・コナーからして説得力がありません。

以上のようにサラコナー関連だけでもあまりに多くの疑問と矛盾が生じており、それらはこちらサラ・コナーの疑問点(ターミネーター:ニュー・フェイト)にまとめてあります。

尽きない矛盾や疑問

それ以外にも、ジョン殺害後、T-800(カール)が20年以上も存在し続けていることから、「それなら、T2でT-800シュワちゃんは溶鉱炉に沈む必要がまったくなったのではないかか!」といった観客ガッカリの道義的矛盾もたくさん抱え込んでいるのが『ターミネーター:ニュー・フェイト』です。

明らかにシュワちゃん(老化T-800)をストーリーに組み込むためだけの無理やり設定が度を過ぎており、そのせいで劇中でも設定について、言い訳がましい長々とした説明セリフが多い映画に仕上がっています(←ターミネーター映画なのに、セリフが多いイメージ)。

中国の会社によって急いで無理やり作り出された背景もあります。
→詳細:ターミネーター映画大失敗の致命的な原因

そもそも現実には存在しないタイムトラベルなので、タイムトラベルものには、少々のタイムパラドックスが生じたり、パラレルワールドに逃げて曖昧化させるのは仕方のないことですが、『ターミネーター:ニュー・フェイト』は「正統な続編」をうたっている以上、これだけ腑に落ちない点がありすぎる(アクション映画なのに単純明快にスッキリしない、むしろストレスが溜まる)と、さすがに観客の我慢の限界を超えており、それがニューフェイトが大コケした理由の1つであると言えるでしょう。

『ターミネーター:ニュー・フェイト』については、上記「時間軸」以外にも矛盾や腑に落ちない点がたくさんあるので、全体的な矛盾や疑問点については、こちら矛盾だらけ【ターミネーター:ニュー・フェイト】疑問点まとめにまとめてあります。



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