トランプ大統領が影響した映画4選

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トランプ大統領が影響した映画

ドナルド・トランプ氏が2015年から共和党員として「2016年アメリカ合衆国大統領選挙」に進出して以降、「アメリカの分断」と言われるほど、米国内は両極端に揺れ動きました。

ハリウッド映画もその影響を受け、選挙戦開始頃(2015年)から在任期間中(2017年~2021年)に作られた映画の中には、「あるテーマ」を題材にしたものが目立つようになりました。
アメリカ映画におけるメキシコの扱い

「あるテーマ」とはメキシコです。

トランプ大統領は当初から「アメリカとメキシコとの国境に壁を作る」を公約に掲げていました。

ちなみにアメリカでは先日も以下のような事件が起きています。

 米 トレーラーから46人の遺体 メキシコからの移民か(2022年6月28日) 
アメリカ・テキサス州でトレーラーから46人の遺体が見つかりました。ビザなしでメキシコ側からアメリカに入ろうとした移民とみられています。アメリカメディアによりますと、27日、南部のテキサス州でトレーラーの中から少なくとも46人の遺体が見つかりました。現場は、メキシコ国境から200キロ以上離れた路上で、見つかったのはビザを持たずにアメリカに入ろうとした移民だとみられています。当時、気温は39度を超えていて、トレーラーの中には100人近くが詰めこまれていました。死者の数はさらに増えるとみられています。
https://www.youtube.com/watch?v=8xyf4rJr2Wo

その「メキシコ」を題材にした映画が2015年以降、増えており、明らかにトランプ大統領の存在に影響を受けたことがうかがえます。

そんなトランプ大統領の影響を受けたであろう、メキシコをテーマにした映画を4選、ピックアップしてみました。

トランプが追い風1「ボーダーライン」2015年

銃が似合う女優エミリー・ブラントが主演した映画『ボーダーライン』(原題:Sicario、2015年)は、映画の冒頭のほうからメキシコがらみのハード&グログロシーンが連続します。

メキシコでの犯罪を描いており、明らかにトランプ大統領(が巻き起こしたメキシコ風)を「追い風」にして作られています。
https://www.rottentomatoes.com/m/sicario_2015

この『ボーダーライン』ですが、映画批評サイト・ロッテントマトでは、TOMATOMETER:92%、AUDIENCE SCORE:85% と高評価になっています。

原題 Sicario(シカリオ)の意味

尚、原題:Sicario(シカリオ)とは、メキシコ語(スペイン語)で「殺し屋」という意味ですが、邦題は「ボーダーライン」(国境・境界線)に変えられています。この「ボーダーライン」というタイトルには、

  1. 文字通り、アメリカとメキシコとの国境 という意味の他にも、
  2. 善悪の境界線 という抽象的・精神的な意味合いも含まれており、

アクションという派手な部分だけでなく、登場人物たちの内面描写が高い評価を得たようです。

邦題がファインプレー

また、この『ボーダーライン』は、映画の途中で主役が入れ替わる(あれ、実はこの人が主役だったのか?)と感じさせる展開になっています。

原題:Sicarioのままだと、タイトルからして主役が誰なのか?のネタバレになっていたことに後から気づくのですが、邦題を「ボーダーライン」と曖昧かつ抽象的にしたことで、タイトルからのネタバレを防ぐ効果はあったようです。

トランプが追い風2「ボーダーライン2」2018年

「ボーダーライン2」こと映画『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』(原題:Sicario: Day of the Soldado、2018年)は、前述「ボーダーライン」が高評価であったことと、さらなるメキシコ風を追い風にして、作られました。

「ボーダーライン」の続編ですが、エミリー・ブラントが出演していないことと、話の内容的にも、「1」の続きというよりかは、別の出来事の映画化・・・スピンオフ、という感じでもあります。そのため原題にも「2」というナンバリングは付いていません。

メキシコ「悪」は相変わらず

この映画もなかなかハードで、いろいろ生々しすぎるシーンが多々ありますが、前作に劣らず、メキシコギャングががっつり描かれています。

原題の「 Day of the Soldado」の「Soldado」とは、メキシコ語(スペイン語)で「兵士(英語のソルジャー)」に当たるため、そのまま邦題も『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』と、今回はあまり捻りもないタイトルになっています。

前作ほどではないにしても、この続編もネタがタイムリーなので、それなりの評価を得ています。

リハーサルの痕が・・・

この映画で個人的にかなり印象に残ったのが、ベニチオ・デル・トロ(Benicio del Toro)が見せたBeretta 92FS Centurionでの珍しいBump Fire(バンプファイア)と、顔面を撃たれてからのリカバリー~手りゅう弾のシーンなのですが・・・
シカリオ2車衝突シーン
後者の、意識を失って車を道路脇の柵にぶつけるシーン、よく見ると、道路にリハーサルのタイヤ痕がくっきり残っているところが、この映画のチャームポイントになっています。

道路にあるタイヤ跡からは、車を柵にぶつけてUターンを少なくとも2回以上していることや、劇中の通り、柵にぶつけたあと道路前方へ進んだり・・・のリハーサルを複数回、積んだことがうかがえます。

トランプが追い風3「ランボー5」2019年

「ランボー5」こと映画『ランボー ラスト・ブラッド』(Rambo: Last Blood、2019年)は、まさにトランプ大統領なくして存在しえなかった映画と言っても過言ではありません。

ランボーは「4」で完結していたのだが・・・

映画ランボー・シリーズは、明らかに「ランボー4」こと『ランボー/最後の戦場』(原題: Rambo、2008年)で完結していました。それはランボー4でのエンディングが、ランボー1の冒頭と韻を踏むように終わっていることからも分かります。

ランボー1でアメリカで裏切られ、その後アジアを彷徨っていたランボー(の彷徨う傷心)が、ようやく故郷アメリカに戻って来た様が、ランボー1の冒頭と同じ服装でランボー4のエンディングにて表現されていたからです。
→関連記事:カナダが舞台の映画「ランボー」(スタローン/ホープ/ナイフ)

トランプ大統領誕生でスタローンの愛国魂に火が付いた

しかし、トランプ大統領の登場によって、愛国主義者シルベスター・スタローンの愛国魂に火が付いたのでしょう。

メキシコをネタにしたランボー作品を1作、作ってしまいました。それが『ランボー ラスト・ブラッド』でした。

前作の『ランボー/最後の戦場』がいまいち世間の評価が低かったことへのリベンジもあったのでしょう。『ランボー/最後の戦場』は良作ですが、なぜ世間の評価がいまいち低かったのかというと、

  • ミャンマーでの出来事に世間(特に欧米圏の人々)があまり興味がない(ミャンマーのことをよく知らない)ので戦いの大義名分が(特に欧米圏の人々には)伝わらなかった
  • (戦いの大義名分が理解できていない人が多い割には)グロすぎるシーンが多すぎた

という点が挙げられます。

ちなみにスタローンは共和党支持者、トランプ大統領とは旧知の仲です。「スタローン トランプ」といったキーワードで検索すれば、その辺りのことはたくさん情報が出てきます。

スタローン、トランプ氏が所有するクラブの会員に
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202104140000108.html

また、スタローンは圧倒的に愛国主義者で、彼の映画が「アメリカ!アメリカ!」していることは、「ロッキー4」や「ランボー2」などを見ても単純明快です。

トランプ大統領が誕生したことで、勢いで作ってしまった愛国映画、それが「ランボー5」こと『ランボー ラスト・ブラッド』と言えるでしょう。

『ランボー ラスト・ブラッド』が他のランボーシリーズより異質で蛇足感が否めないのは、この「勢いで作ってしまった」点に原因があります。

反トランプ「ターミネーター・ニューフェイト」2019年

これまではトランプ大統領を「追い風」として、どちらかというと「メキシコは悪」としている3作品を挙げてきましたが、逆にアンチ・トランプ派がアレルギーを起こしてヒステリックに作ってしまった映画もあります。

それが『ターミネーター: ニュー・フェイト』(Terminator: Dark Fate、2019年)です。

ハリウッド病1「反トランプ・ヒステリー」

この映画の民主党的ポリコレの押しつけは度が過ぎたものがあり、ターミネーターの世界をも捻じ曲げてしまいました。それがこの『ターミネーター: ニュー・フェイト』が大コケ爆死する原因の1つにもなっています。

『ターミネーター: ニュー・フェイト』においては、アメリカとメキシコの国境は完全に悪!移民万歳!で、国境警備隊は完全に悪役と化し、グレースもRev-9も、バッサバッサと撃ち切りまくる有様です。

フェミニズムはもちろん、共和党地盤のテキサス州への皮肉、銃への批判などのセリフも散りばめられています。
→関連記事:映画の中で揶揄される銃社会アメリカ

「ニューフェイト」のスタッフは、アンチ・トランプが大集合・・・

アーノルド・シュワルツェネッガー、トランプ大統領の嫌味に応酬
https://news.livedoor.com/article/detail/12625130/
シュワルツェネッガー、就任以来最低の支持率を記録したトランプ大統領に皮肉
https://www.tvgroove.com/news/article/ctg/1/nid/33899.html
ジェームズ・キャメロン監督、ドナルド・トランプを攻撃
https://eiga.com/news/20160802/7/

ということで、民主党のプロパガンダ映画みたいになってしまって失敗したのがニューフェイトでした。

トランプ大統領ではない時に、このターミネーター6作品目を作っていたら、もう少しまともなターミネーター映画になっていたであろうことが悔やまれます。
→関連記事:作る前から失敗していた「ターミネーター・ニューフェイト」

ハリウッド病2「媚中」

さらには2010年代に入ってからハリウッドが侵された中国媚びの流行がピークに達した最悪の時期に作られたのが、この『ターミネーター: ニュー・フェイト』でした。反トランプのヒステリー及び中国媚びの病が『ターミネーター: ニュー・フェイト』の大失敗・爆死をもたらしましたのは当然の結果と言えます。
→関連記事:ターミネーター映画大失敗の致命的な原因

以上、良くも悪くも、トランプ大統領という存在が影響を与えたハリウッド映画のうち、メキシコに着目した4選でした。

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