液体金属T-1000は温かい白い息を吐く【ターミネーター2】

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液体金属ターミネーターT-1000の呼吸

海外のサイトを含めて見ても、あまり気づいている人はいないようなのですが、映画『ターミネーター2』(Terminator 2: Judgment Day、T2、1991年)に登場する液体金属ターミネーターT-1000は、息を吐き、そしてその息は温かく白くなる、というお話です。

T2でT-1000が息を吐くシーン

ロバート・パトリック演じる液体金属T-1000は、ぺスカデロ警察病院にてサラ・コナーらを取り逃がした後、駆けつけた白バイ警官に対して、以下のような ちょっとした名セリフを言うシーンがあります。

Say, that's a nice bike.
ところで、いいバイクだな。

これは、この後T-1000がこのバイクを奪うことを暗示する意味深セリフなのですが、それはさておき、そのセリフを発した際、T-1000の「息」を吐き、それが白く拡散していくのが画面ではっきりと確認できます。
ターミネーター液体金属T-1000の呼吸

液体金属なのに、声を出す時に「息(空気)」を吐いているのです。

この点について、以下2点、考察します。

  1. 撮影上のミス
  2. 液体金属T-1000のメカニズム

1.撮影上のミス

結論からいうと、これは単なる撮影上のミスです。やむをえない自然現象がうっかり収録されてしまったものです。

この役は液体金属ターミネーターですので、本来、人間の生理現象はカメラに収めないはずなのですが、うっかり撮影してしまい、それに気づかなかったのでしょう。

ちなみにT2には、かなり多くのうっかりミスがフィルムに収められています。

一例:

吐いた息が白くなる原理

人間の吐いた息が白くなるのは、
  1. 吐く息の中に含まれる水蒸気(気体)が、
  2. 口の外に出たらまわりの空気に冷やされて水滴(液体)になり、
  3. それが白く見えるため
です。

もう少し細かく説明すると、息の中の水蒸気が、空気中のエアロゾル(小さなチリやホコリ)にぶつかって凝結して、水滴になり、白くみえるようになります。

撮影時の気温は13度以下

人間の吐く息が白くなるのは、外気の気温がおよそ13度以下であることが目安と言われています。

つまり、このシーンの撮影時は、13度以下で、比較的寒かったことがうかがえます。このシーンの撮影場所(ロケ地)はこちら、 にて述べているように、ロサンゼルスです。

ロサンゼルスは湿度が低く、晴れていることが多いので、放射冷却もあって、朝晩は冷え込むことが多いです。

このT2撮影時はもしかしたら13度よりもはるか低かった可能性が画面からうかがえます。

サラ・コナーを演じたリンダ・ハミルトンは、この冷え込みの中で、白のタンクトップと裸足で撮影に臨んでいたのでしょうか。

2.液体金属T-1000のメカニズム

前述の通り、これは「撮影上のミス」なのですが、ただ単にそれで済ませるのも芸はないので、「SF救援隊」的に考察を加えると、以下のようなことが考えられます。

液体金属T-1000は「口」を開けた時に排熱している

物は動くと熱を発するものです。ターミネーターT-800の体内、特に動力源の周囲は相当、高温になっていそうですが、液体金属もあれだけ変幻自在に動くには、それなりに熱を発しているはずです。

液体金属はT-800と違って、体の外側部分が外皮で覆われているわけではないので、直で排熱はできていそうですが、それでも内部は高熱であることが予想されます。

それを人間でいうところの「口」を開ける際に、中の空気を押し出して排熱していることが、上のシーンからうかがえます。

但し、外側が高熱だったら、このシーンで湯気や水滴がT-1000の外側に確認できるはずですが、湯気や水滴がないことから、外側はそれほど熱くないこともこのシーンは示唆しています。
ちなみに「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」では、液体金属T-1001(キャサリン・ウィーバー)に、サバンナが触れた(膝の上に乗った)際、「冷たい・・・。」と言うシーンがあります。液体金属の外側は冷たいようです。

液体金属T-1000は人間と同じような仕組みで発声している

液体金属T-1000は、擬態だけでなく、擬音(擬声)もできます。実際、T2の劇中でも、養母やサラ・コナーの声を真似ています。

電子的に音(声)を作って出しているのかと思いきや、意外と人間と同じような発声メカニズムで、管楽器を吹くように、空洞から任意の声を作りだしているのかもしれないことが、上のシーンからうかがえます。

液体金属T-1000が出す空気には水蒸気が含まれている

前述の通り、息が白くなるには、吐いた空気の中に水蒸気が含まれていなければなりません。

ということは、液体金属は、音(声)を出す時に「水蒸気を発している」ということになります。

つまり、液体金属が稼働し続けるには水分が必要であり、どこかで「水を飲む(水分を補給する)」シーンも「あって然るべき」ということになります。

以上、ターミネーター2の液体金属T-1000にまつわる、ちょっとしたおもしろシーンについて、でした。

語りつくされた名作T2ですが、あまり語られていない(気づいていない)点がまだまだあるのも、名作たる由縁と言えるでしょう。

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