かろうじて「ターミネーター2」(T2)に、以下のようなヒントが少しあるだけです。
ジョン・コナーは、
- ハッキングするのが得意
→関連記事:ジョン・コナーの犯罪履歴とパトカー端末 - T-800の頭にチップがあり、それで動いていることを知っている
- 人命を尊重する優しさがある
ジョン・コナーはなぜ救世主になれたのか?
そこで、技術的に「なぜジョン・コナーが未来で救世主になりえたのか?」が描かれていたのが「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」です。「サラ・コナー・クロニクルズ」はサラ・コナーの物語だけでなく、数本の軸が同時進行する形で描かれており、その軸の1本に、ジョン・コナーの成長(トレーニング)物語も描かれています。
そのジョン・コナーの技術面のトレーナー役を担っていたのがキャメロン・フィリップス(TOK715)であり、キャメロンの任務の1つが、(ジョンを守ることだけではなく)実はジョンの訓練(ターミネーターの構造的な基礎知識を授けること)だったことが、観ていると明らかになってきます。
サラ・コナー・クロニクルズにおいて、ジョンコナーの部分を整理すると以下のように描かれていました。
幼少期:中南米でのトレーニング
T1からT2(10歳)の間の期間、謎に満ちたメキシコ・南米潜伏時代のジョン・コナーは、幼少期(5-7歳頃?)を過ごしていたのか、「サラ・コナー・クロニクルズ」ではスポットライトを当てています。→関連記事:ジョン・コナー【幼少期】がサバイバル訓練したジャングル シーズン1第5話とシーズン2第20話に登場の幼少期のジョン・コナー。
演じるは、John DeVito(ジョン・デビート)1998年9月2日生まれ。
南米のジャングルの中で、エンリケの組織に同行しながら、基礎的な銃の扱い方やサバイバル訓練を施されたり、チェスで戦術的思考を磨いたり・・・その一方ではジャングルの中の珍しい鳥にみとれたり・・・と、T2のジョン・コナーに通じるような無邪気かつヤンチャだけれど、優しさも併せ持つ感受性の高いジョン・コナーが描かれていました。
この中南米での幼少期時代に、基礎的な銃器の扱いを習得していたことが、このPresidio Alto Military Academy【軍士官学校】での射撃訓練のシーンからも分かります。
高校時代:キャメロンによるトレーニング
その後、T2の出来事が起こった後、高校時代のジョン・コナーが、サラ・コナー・クロニクルズのメイン舞台となります。- 高校1:ジョン・コナーとキャメロンが出会った高校(ニューメキシコ州アルバカーキ)
- 高校2:ジョン・コナーが通ったカンポ・デ・カフエンガ高校(カリフォルニア州ロサンゼルス)
キャメロン・フィリップス(TOK715)と合流したジョン・コナーは、キャメロンを通じて、ターミネーターに電気ショックを与えると2分間ほど再起動にかかること、ターミネーターのチップの解析方法やエンドスケルトンの基礎知識などを学んでいき、これが未来においてターミネーターを捕獲して再プログラムする手法につながっていくこと(→T2へつながること)になります。
ターミネーターのソフト(チップ)の解析・基礎構造を学ぶ
「サラ・コナー・クロニクルズ」シーズン1第8話では、捕獲したターミネーターのチップをPCにつなぎ解析していくことで、ジョン・コナーはターミネーターのチップの構造を学んでいきます。 この時おもしろいのが、ジョンコナーとキャメロンの会話です。このデレク被弾とVICKのチップを引き抜いた湾岸道路のシーンで捕獲して取り出したターミネーターのチップの解析にジョンが行き詰まり、キャメロンに何か甘い物を買ってくるように頼みます。
Look, since you have no clue how to read this. Would you mind making a 7-eleven run or something? Pick up some burritos, chocolate milk. It would mean a lot to me.
解析には時間がかかりそうだ。悪いけどコンビニ行って何か買ってきてくれない?ブリトーとかチョコミルクとか。
しかしキャメロンはそれを完全に無視し、さらにジョンに近寄って座り直し、チップについて伝授してきます。
CAMERON:How much power are you giving the chip?
チップに送ってる電圧は?
JOHN:We're running at 2.5 volts.
2.5ボルトだよ。
CAMERON:My CPU requires a minimum of 6.2 and a maximum of 8.7 continuous voltage in order to function properly.
私の場合、CPUの安定動作に必要な電圧は6.2~8.7ボルト。
JOHN:That much use would burn out any processor I've ever seen.
そんなパワーに耐えられるプロセッサーはないよ。
CAMERON:Access to visual memory will require less power than higher-level functions.
高次レベルの機能にアクセスしなければもっと少なくて済む。
JOHN:Higher-level functions?
CAMERON:Decision-making, strategic mission analysis, we don't wanna activate those functions.
意思決定や戦略分析の機能は起動させたくない。
JOHN:So, crank the juice, but not too much.
じゃ、起こさない程度にパワーアップさせるってこと?
CAMERON:Yes. Crank the juice.
そう、起こさない程度に。
つまり、ジョンの頼み事を聞くよりも、チップについての情報を与えるほうが優先順位が高いとキャメロンが判断したことの証であり、キャメロンの優先事項(ミッション)の1つがジョンコナーにターミネーターの構造を教えトレーニングしていくことであることがうかがえます。
ターミネーターのハード(エンドスケルトン)の基礎構造を学ぶ
ターミネーターのソフト(チップ)だけでなく、ハード(エンドスケルトンの構造などターミネーターのパーツ・体の部位)を学んでいくシーンもあります。パーツの構造を学ぶ
シーズン2第17話では、このサラ・コナーの家(シーズン2)の小屋でキャメロンが自分の手の不調を修理している最中に、ジョンコナーが近づいてきた際、わざと手を差し出して自分の手の構造を見せて、ジョンコナーに修理させます。 その際に、CAMERON:You're ahead of schedule what you need to learn.
学ぶべきこと(カリキュラム)の進み具合が予定より早い。
とキャメロンはかなり意味深なことを発言します。つまり、ジョン・コナーにトレーニングすることが予めキャメロンの任務として想定されており、そのカリキュラムの進捗状況が当初予定していたよりも前倒しになっている・・・ということが、この発言からうかがえます。
動力源の構造を学ぶ
また最終話(シーズン2第22話)のこのジョンとキャメロンが避難したモーテル(ラスベガス)のシーンでは、キャメロンはターミネーターとしての自分のエンドスケルトンの根幹部分の構造を、ジョンに教えるシーンがあります。CAMERON:You need to understand how it works. This chip. This body. The software ...The hardtware...
あなたはターミネーターのチップ、体、ソフトウェア・・・ハードウェアがどのように機能するのか知っておく必要がある。
CAMERON:I need to show you something...this body. Reach down under the breastplate. There. What does it feel like?
あなたに見せたいものがあるの。私の体。胸部プレートの下に手を伸ばして。そこ。どんな感じ?
JOHN:Cold.
冷たい。
CAMERON:That's good.That's perfect.
それでいいの。完璧よ。
と、自分のメタルの中心部の power source(動力源)がどんな構造になっているのか、またどういう状態になっていれば正常なのか、をジョンに学ばせたキャメロン。
自分を献体にしてジョンにメタルの知識を叩き込み、一人前の「未来のジョン」に育て上げようとしているキャメロンの意図が感じられます。そしてそれが、キャメロンが現代にやってきた理由の1つだったのでしょう。
- ヒューマンレジスタンス(人類抵抗軍)側は、未来の救世主(ジョン・コナー)を誕生させるために現代に使者を送り、育て上げ、未来へ送った。
- サイボーグ・レジスタンス側は中核となるA.I.ジョン・ヘンリーを現代で完成させ、未来に送った。
- スカイネット側は、次々と刺客や使者を現代に送り、「審判の日」を起こすべく準備を進めた。
以上のように、「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」では、ジョン・コナーが人間的に成長していく姿とともに、ジョン・コナーがターミネーターの具体的な基礎知識を学んでいき、「なぜ未来でターミネーターを再プログラムできたのか?」「なぜ人類の救世主になりえたのか?」の種明かしが、全編を通じてなされていました。