キャメロンがアリソン・ヤング化したスーパーマーケット

サラコナークロニクルズ ロケ地

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キャメロンとアリソンヤング
ターミネーターには「他人の声や他人の人格をダウンロード(コピー)してなりきる機能」がありますが、今回はそんな人格変換機能に不具合が生じ、他のキャラクターになったまま、一時的に元の人格に戻れなくなった、というSF話です。
(「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」シーズン2第4話「アリソン / Allison from Palmdale」)

真夏の狂気を描いた、あのマイケル・ダグラス主演で有名な映画『フォーリング・ダウン』でミリタリーショップとして登場した壁画と坂が印象的なSurplus Value Centerの脇でジョン・コナーと別れた後、キャメロンはスーパーマーケットに入ります。

そのロケ地はこちら。

スーパーマーケット - Hows Market

キャメロンのアリソン・ヤング化

Film Location


この店がこのシーンのロケ地であると言及しているサイトは、世界中で英語のサイトが1つあるだけです。

ちなみにこのスーパーマーケットは、シーズン2第7話「ナブルスの兄弟 / Brothers of Nablus」にて、クロマティがキャメロンとジョン・コナーを探し回るシーンにも再び登場します。
→関連:クロマティがキャメロンを探し回った住宅街

このエピソード放送時、「このスーパーマーケットはどこ?」とアメリカのネット掲示板などで話題になりましたが、今ほどSNSに拡散性がなかったこともあり、このロケ地を見つけられなかった人も多かったようです。

このスーパーマーケット(Hows Market)は2010年に閉店し、現在ではスポーツジム(24 Hour Fitness)に変わっています。建物自体は当時のままなので、入口付近や周辺の環境は「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」撮影当時と基本的には変わっていません。

このスーパーマーケットのシーンの見所・解説

リンゴは「禁断の果実」キャメロンは「イブ」

ターミネーターという映画は「審判の日」「救世主」「終末思想」など、旧約聖書をモチーフにストーリーを展開させていっています。そもそも「ジョン」「サラ」といった欧米人の名前のほとんどが聖書由来です。

「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」も聖書のネタをモチーフに話を展開していっています。このシーズン2第4話には「ノアの箱舟」も登場します。
→詳細:【解説】創世記とターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ

旧約聖書の創世記2-3章「アダムとイブ」の節では、イブは果実(リンゴ)を食べたことで、「(神の)望ましくない状態」に陥りました。このスーパーマーケットのシーンでは、イブをキャメロンと例え、スーバーでキャメロンがリンゴを手に取りキャプチャーした瞬間、ふだんの「ターミネーター・ビジョン」(枠や文字や数値の表示など)が消え
ターミネーターキャメロンとイブ
人間と同じような視野になり、キャメロンが「望ましくない状態」(=人間=アリソン・ヤング)へ変化したことが表現されています。

「アダムとイブ」の物語のイブのように、「禁断の果実」(善悪の知識の実)を食べてしまったことによる「善悪の判断」というのがこの第4話のテーマにもなっています。またジョン・コナーもアダムのようにイブ(キャメロン)がやらかすことに翻弄される姿が描かれています。

そしてエピソードの最後のシーンでは、「望ましくない状態から抜け出ること」として、「人生ゲーム」のようなゲーム「モノポリー」のカード「get out of jail free(無罪放免)」の言葉がエピソードの最初と最後に登場して締めくくられています。
→詳細:Safari Inn 前の道路を運転するジョン・コナー

また、未来での出来事と現実がシンクロして描写されているので、結局、キャメロンはアリソンヤングを「殺していない」こともわかります。
→詳細:ジョディとキャメロンが侵入した家

サマー・グローが一番好きなエピソード

キャメロン・フィリップスを演じたサマー・グローに、「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」のどのエピソードが一番好きか尋ねたところ、このシーズン2第4話「アリソン / Allison from Palmdale」を挙げていました(DVDのコメンタリーなどにも収録)。このエピソードはサマーグローが演じた2つのキャラクターに焦点を当てており、サマー・グローのために用意されたエピソードなので当たり前といえば当たり前かもしれません。

ちなみにジョン・コナーを演じたトーマス・デッカーは「どのエピソードが好きか?」という質問には、「マシーン(A.I.)は美を理解できるのか?」というテーマを追求し、キャメロンがバレエを踊るシーンで終わったシーズン1第7話「神の手 / The Demon Hand」と答えています。
→詳細:キャメロンが通ったバレエ・スクール

尚、アリソン・ヤングについては、まだまだ掘り下げたい部分があると製作者によって語られています。
→詳細:シーズン3(続編)の内容【ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ】

店内の絵

ショッピングカートを押しながら、このHows Market店内を歩くキャメロンの背後上部にちらほら見える、力強い野菜や果物の絵が印象的ですが、この絵はデザイナー/イラストレーターでもあり教師でもあるStephanie Donon(ステファニー・ドノン)さんという方が描いた作品とのこと。
hows-market-north-hollywood
キャメロンがショッピングカートで倒したWatermelon(スイカ)も絵野中に描かれており、その絵のスイカと、店内に転がったスイカが重なるようなアングルで撮られていました。

自身のサイトにも、このHows Marketの作品が掲載されており、彼女の計9作品が Hows Marketの店内に飾られていたそうです。
Illustrations for 9 food department murals-
HOWS Market, North Hollywood, CA
https://sgdportfolio.carbonmade.com/projects/2114925#1

作品4点の写真
https://s3images.coroflot.com/user_files/individual_files/large_168376_jNUvTi1zbdeFbSwMfSeKjbQVq.jpg

NoHo 芸術家の街

このハウズ・マーケットがある地区は、North Hollywood、略して NOHOということで、ハリウッドも近く多くの劇場があることから、NoHo Arts District(ノーホー・アーツ・ディストリクト/芸術振興区域)となっており、スーパーマーケットも芸術家や映画の撮影に理解があることが、この「サラ・コナー・クロニクルズ」のシーンからもうかがえます。

アメリカの小売業の厳しさ

映画のロケ地巡りの面白い点は、社会情勢や歴史(時間の流れ)や現実とフィクションとのつながりが感じられるところでもあります。例えば、『ターミネーター2』では、ノースリッジ地震(Northridge earthquake)で倒壊し建て替えされる前の、在りし日の「ノースリッジ・ファッション・センター」の姿が映像に残されています。
→詳細:ショッピングモールの怪【ターミネーター2】

「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」のこのシーンでは、前述の通り、2010年5月に閉店する前のHows Marketの店内の様子が記録されています。

尚、Hows Marketは、当時、この店舗だけでなくカリフォルニアでチェーン展開している5店舗ほどを一斉に閉店してしまったようです。

このHows Marketがらみで、アメリカ・カリフォルニアの小売業の厳しさを伝えるような、こんな投稿(2011年)がネット上にありました。
  • カリフォルニアのスーパーマーケット業界は全米で1、2位を争うほど厳しい
  • 南カリフォルニアで6店を展開するアップスケールのハウズマーケット(HOWS Market)が、一度に5店の閉店&売却を発表
  • ハウズマーケットの創業は1999年
  • 創業者はヒューズ・ファミリーマーケット(1997年にクォリティフードセンターに売却後、ラルフスが買収)の創業者ジョセフ・ヒューズ氏の息子(ロジャー・ヒューズ氏)とヒューズで働いていた方です(共同創業者らの名前の頭文字をとってHOWSとなった)。
  • (今回の北カリフォルニアでの倒産事例の)アンドロニコスは10年前の拡大路線の失敗で財務が悪化したことが大きな要因
  • 最近の景気悪化と競争激化はハウズマーケットも同じ
  • 他に共通する点としては、ホールフーズやトレーダージョーズがもっているようなお店のパーソナリティがないことです。単に「スーパーやってます、売り場もきれいでクォリティもいいでしょ」では生き残れないのですね。
    http://blog.livedoor.jp/usretail/archives/51720932.html
確かに劇中の映像を見る限り、このハウズマーケット(HOWS Market)の店内はとてもきれいで上品な感じで、クオリティも良さそうな雰囲気でしたが、競争がとても厳しいようです。この店舗の閉店を嘆き、同じようなスーパー(きれいでクオリティがあり、そこそこ安い店)がここにできることを臨む近隣住民の声がネット上には残っていますが、やはり他のスーパーもこの場所を引き継ぐのは遠慮してしまったようです。

消えてゆくのはお店や建物だけではないのも感慨深いものがあります。
→詳細:ターミネーター出演者の故人を悼む

#Terminator Sarah Connor Chronicles 204

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