ターミネーター名物「押ボタンスイッチ」3選

サラコナークロニクルズ ターミネーター

t f B! P L
ターミネーター遠隔自爆装置
ターミネーター・シリーズ名物の1つに、ターミネーターをターミネートするのは「押ボタンスイッチ」である・・・というのがあります。

以下、その「押ボタンスイッチ」のシーン3選です。

ターミネーター1

映画『ターミネーター1』(T1)では最後、工場にてサラ・コナーが、

You’re terminated, f〇〇ker.
という決め台詞とともに、プレスマシーンの「押ボタンスイッチ」を押して、ターミネーターT-800をターミネートします。
ターミネーター1の工場
工場の従業員でもないのに、適切なボタンを手探りノールックで押し、機械を稼働させることができるサラ・コナーがかなり神がかっています。

これでようやくターミネーターを倒した・・・

と思ったら、実はこの工場がサイバーダイン社で、サイバーダイン社の社員が「このチップは日本製か?」などと言いながらT-800の破片を回収。
→詳細:日本びいきなターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ
ターミネーター(スカイネット)への技術革新を早めてしまった・・・というホラー映画として作られたT1ならではの、最後の最後まで畳みかけるようなドンデン返しの怖いSFホラー仕様となっています。

この工場のシーンのオドロオドロしたBGMを聴いただけでも、他のターミネーター・シリーズと違っており、明らかにホラー仕様であることが分かります。

ちなみに、「ターミネーター3」で最後、T-850がT-Xを仕留めた時も、このT1のサラ・コナーとまったく同じセリフ、

You’re terminated.
が使われており、T1のオマージュとなっていました。

ターミネーター2

映画『ターミネーター2』(Terminator 2: Judgment Day、T2)でも最後、T-800をターミネートする有名なシーンに、「押ボタンスイッチ」が登場します。
ターミネーター2の工場
Sarah:It's over.(終わったのね。)
Terminator:No. There is one more chip. And it must be destroyed also. Here. I cannot self-terminate. You must lower me into the steel.
(いいや。まだ1つチップが残っている。それを破壊しなければいけない。ここ[T-800の頭の中]にある。私は自己破壊できない。君が私を溶鉱炉に降ろすんだ。)
John:No. No! (いやだよ!)
Terminator:I'm sorry, John. I'm sorry.(すまない、ジョン。すまない。)
John:No! It'll be okay! Stay with us! It'll be okay!(大丈夫だよ、一緒にいてよ。大丈夫だって!)
Terminator:I have to go away.(私は消えなきゃならないんだ。)
John:No! Don't do it, please! Don't go!(いいや、それをしちゃだめだ。消えないで!)
Terminator:I must go away, John.(私は消えないといけないんだ、ジョン。)
John:No! No, wait! Wait, you don't have to do this!(いいや、待って。消えちゃダメだ!)
Terminator: I'm sorry.(すまない。)
John:No, don't do it! Don't go!(いやだ、行かないで!)
Terminator:It has to end here.(ここで終わらせないといけないんだ。)
John:I order you not to go. I order you not to go!I order you not to!!!(これは命令だ、行くな!)
Terminator:I know now why you cry, but it's something I can never do. Goodbye.(人間がなぜ泣くか分かった。しかしそれは私にはできないことだ。さようなら。)

そしてこのシーンでもサラ・コナーはノールックで適切なボタンを押し、機械を稼働させ、T-800をターミネートします。T1と韻を踏むような構成になっています。

ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ

『ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ』(Terminator: The Sarah Connor Chronicles、TSCC)でもターミネーターをターミネートするための「押ボタンスイッチ」が登場します。
ターミネーターのペンダント型起爆装置
自分の不具合によってジョン・コナーを危険にさらしてしまうかもしれないため、キャメロン自らが自分のチップの横に爆発物を埋め込み、その起爆装置であるロケット(ペンダント )型の「押ボタンスイッチ」をジョン・コナーに渡し、ターミネートすることをジョン・コナーに託します。
キャメロンとジョンコナー
Cameron: Making something...for you.(あなたにちょっとしたものを作っていたの。)
John: What is it?(何これ?)
Cameron: You tried to fix me. Twice now. It's not working. I'm not capable of self-termination.(あなたは私を2回直そうとしたわ。でも直っていない。私はセルフ・ターミネート[自己破壊]できない。)
John: Suicide.(自殺のことか)
Cameron: I can't kill myself, but you can.(私は自分を殺せない。でもあなたならできる。)
John: Why would I want to kill you?(何で俺がお前を殺したがるんだ?)
Cameron: You might have to some day. I've planted an explosive in my skull near my chip. It's a small amount, but it's enough.(あなたはいつかやらなければいけない日が来るかもしれない。私は私の頭のチップの近くに爆発物を埋め込んだの。少量だけど[チップを破壊するのに]十分な量よ。)
Cameron: All you have to do is hit the switch.(あなたがやることはそのスイッチを押すだけ。)
John: What would future John do now?(未来のジョンだったらどうするだろう?)
Cameron: Future John doesn't live here. You do.(未来のジョンはここにはいないわ。あなたが決断するの。)

今度はサラ・コナーではなく、ジョン・コナー自身に「そのボタンを押すべきか否か」の決断が委ねられます。

T2と基本構造が同じ

ここで気づくのは、会話の主旨が、T2のジョンとT-800の最後のやりとりに似ている、つまり「サラ・コナー・クロニクルズ」もT2と同じような構造になっている、ということです。

T2では、
  • I cannot self-terminate.(自分はセルフターミネートできない。)
  • I'm sorry, John.(すまない、ジョン。)
と言って、ジョン・コナーに別れを告げ、T-800は消えていきます。

サラ・コナー・クロニクルズでも、
  • I'm not capable of self-termination.(自分はセルフターミネートできない。)
として、最終的には、
  • I'm sorry, John.(ごめんなさい、ジョン。)
の言葉を残してキャメロンは消えていきます。
アイムソーリー、ジョン
マシーンとジョン・コナーの関係性など、全体的な構造がT2のオマージュのようになっています。

しかし今度は、ジョン・コナーはキャメロンを追って、未来へ飛び立つことを自ら決断します。そして未来でターミネーターのことを熟知した「救世主」が誕生することになります。
キャメロンは見事に「現代におけるジョン・コナーの育成」と「未来での救世主誕生」という任務を達成したことになります。→詳細:ジョン・コナーの訓練物語(なぜ救世主になれたか)

キャサリン・ウィーバー(T-1001)は、人間の子どもサバンナとの関わりの中で、人間の情操教育や規律がAIの成長にも役に立つことに気づき(言い方を変えると、スカイネットの弱点が情操教育を受けておらず、規律がないことだと気づき)、シャーマン博士やエリソンを介して、人間の教育と規律をA.I.ジョン・ヘンリーに施しました。それがスカイネットを凌駕するA.I.の誕生とつながっていきます。

一方で、人間ジョン・コナーは、マシーンとの関わりの中で「人間的に」成長していった・・・「人間との関わりで成長するマシーン」と「マシーンとの関わりで成長する人間」という対比が効いているのが面白い点です。

If a machine, a Terminator, can learn the value of human life, maybe we can too.
もしマシーンが、ターミネーターが人命の価値を学ぶことができるのであれば、我々人間もできるはずだ。

というT2のエンディングのサラ・コナーの言葉を、全話を通じて具現化したのが「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」だったのでしょう。

T1→T2→TSCCと、「押ボタンスイッチ」が持つ意味の変遷をたどると、ジワるものがあります。

以上、マシーンと人間の関係性の象徴とも言えるようなターミネーターの「押ボタンスイッチ」3選でした。

この「押ボタンスイッチ」を取り入れた3つの作品が、ターミネーター全作品の中での評価の上位を占めているのは、興味深いところです。↓

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