日本ではあまり注目されていないターミネーター・シリーズの名言集の1つに、
On your feet!というのがあります。
(立ち上がれ/立ちなさい!)
この名セリフは「サラ・コナーとカイル・リースの2人が揃った時のみ、2人の間で交わされる」という法則があります。
On your feet!
立て、立ち上がれ!
登場の有無
立て、立ち上がれ!
登場の有無
T1 | T2 | T3 | TSCC | T4 | T5 | T6 |
---|---|---|---|---|---|---|
〇 | 〇 | × | 〇 | × | × | × |
- 〇・・・そのままの文字列でその名言が登場する。
- △・・・ほぼ同じ文字列がオリジナルを意識して登場する。
- ×・・・その名言は登場しない。
On your feet!(オン ユア フィート)とは
日本でよく知られているセリフに、漫画「あしたのジョー」の、立て、立つんだ、ジョー!がありますが、まさにこれを英語に訳すと、
On your feet, Joe!になります。
(立ち上がれ、ジョー!)
feet とは、foot(足)の複数形です。つまり、
- your feet・・・自分の2本の足
- on・・・地に(足を着けて)しっかり立て
大きな意味では「がんばれ!」的な使い方となりますが、どちらかというと「シャキッとしなさい!」「自立しなさい!」という、突き放すような「叱咤激励」の厳しめなニュアンスの言葉です。
ターミネーターでは、
On your feet, soldier!と、 soldier(兵士)とワンセットで使われていることが多いです。
立て/立ち上がれ、兵士よ!
(兵士なんでしょ、立ち上がりなさい/しっかりしなさい!)
使い方は、前述の「明日のジョー」のようなシチュエーションがベストですが、例えば、現在のウクライナが孤軍奮闘で まさに"On your feet."状態と言えます。
On Your Feet 登場シーン
ターミネーター・シリーズでは、主に、- サラ・コナーがカイル・リースを、
- カイル・リースがサラ・コナーを、
ターミネーター1
映画『ターミネーター』(The Terminator 1984年)では、終盤、サイバーダイン・システムズ社の工場内に逃げ込んだ際、機械をフル稼働させたあと、カイル・リースが気を失います。その際、サラコナーが、
Move it, Reese. On your feet, soldier!と声を掛けて、立ち上がらせます。
しっかりして、リース。立ちなさい、兵士でしょ!
→関連記事:ターミネーター名物「押ボタンスイッチ」3選
ターミネーター2
映画『ターミネーター2』(Terminator 2: Judgment Day、T2、1991年)では、ぺスカデロ警察病院でのサラ・コナーの夢のシーン(非公開シーン)に、カイル・リース(マイケル・ビーン)が登場し、You're strong, Sarah. Stronger than you ever thought...
On your feet, soldier!
I love you, Sarah. I always will.
サラ、君は強い。君が考えているより強いんだ。
立つんだ、兵士だろ!
愛している、ずっと。
とサラ・コナーに伝えます。
この後、ターミネーターのロサンゼルス摩天楼ロケ地3選の、例の公園での核爆発のシーンにつながっていくのですが、このつながりはカットされました。
しかし、この夢のシーンが、サラ・コナーがぺスカデロ警察病院から脱出することを決意させる1つのきっかけとなります。
ターミネーター3
『ターミネーター3』(Terminator 3: Rise of the Machines、T3、2003年)には、カイル・リースもサラ・コナーも登場しないので、"On your feet!"のセリフも登場しません。このことからも、"On your feet!"は、サラとカイルの間だけの「やる気スイッチ」を入れる、特別なキーワードであることが分かります。
ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ
「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」シーズン2第14話「大いなる存在 / The Good Wound」では、銃で撃たれたサラ・コナーが病院から逃亡する際に、幻覚の中でカイル・リースが登場し、"On you feet."のセリフとともに、サラ・コナーを導いていきます。John Connor gave me a picture of you, once. I didn't know why, at the time. You were young, like you are now. I always wondered what you were thinking at that moment. You seemed a little sad, like you were remembering something long gone. I came across time for you, Sarah. I love you. I always have.
On your feet, soldier! On. Your feet. Pain can be controlled.
Come with me, if you want to live.
ジョン・コナーが君の写真をくれた。その時はなぜかはわからなかった。君は今ぐらいで若かった。僕はいつもその写真の君が何を考えているのか不思議だった。君は昔のことを思い出しているようで、少し悲しそうだった。僕は君のために時空を超えて来たんだ。愛している、昔からずっと。
立て、立ち上がるんだ、兵士よ。痛みはコントロールできる。
死にたくなければ、ついてこい。
このサラ・コナー・クロニクルズのカイル・リースのセリフは、T1でのカイル・リースのセリフと、T2でのサラの夢の中でのカイル・リースのセリフをミックスした構成になっています。
ここでもサラ・コナーとカイル・リースの2人の間で、"On you feet."の会話が交わされ、この言葉に鼓舞されたサラ・コナーは、重体を押し切って病院から逃亡します。
→関連記事:サラ・コナーが銃弾を摘出した病院
T1とT2をこよなく愛しリスペクトする製作者らが作ったサラ・コナー・クロニクルズは、T1、T2へのオマージュが「てんこ盛り」のターミネーター作品となっています。
ターミネーター4(サルベーション)
『ターミネーター4』(Terminator Salvation、2009年)においては、サラ・コナーとカイル・リースが「直接的に」関わるシーンはないので、T3同様、"On your feet!"のセリフも登場しません。→関連記事:ターミネーター4どのエンディングが好き?
ターミネーター・ジェニシス
ターミネーター・ジェニシスには on your feet.というセリフそのものは登場しませんが、それに近いセリフと場面はありました。冒頭のほうの、1984年にカイル・リースが到着早々、T-1000の襲撃を受けている最中、サラ・コナーがさっそうと登場し、T-1000を車で跳ね飛ばした後、
Come with me if you want to live!のターミネーターお馴染みの名セリフに続いて、
(死にたくなければついて来い。)
NOW, soldier!と叫びます。
(今よ、兵士よ!)
このシチュエーションとこの言い方、そしてサラとカイルの間で交わされているという点で、まさにT1でサラ・コナーがカイル・リースに叫んだ "On your feet, soldier!" を彷彿させます。
→関連記事:サラクロに酷似点が多すぎるターミネーター・ジェニシス
ただ、なぜジェニシスのこのシーンで "On your feet, soldier!"を使わなかったのか推察するに、おそらくジェニシスのこのシーンの段階では、サラ・コナーとカイル・リースは初対面であり、まだ十分に信頼関係を構築できていなかったことが考えられます。
ターミネーター・ニューフェイト
『ターミネーター: ニュー・フェイト』(Terminator: Dark Fate、2019年)は、カイル・リースの「カ」の字も登場しないどころか、ジョン・コナーもぞんざいな扱いで、サラ・コナーもひたすら雑で空回り。全体として、T1,T2を台無しにしてしまっており、当然ながら"On your feet!"といった、個々のキャラクターのつながりを大切にするようなセリフは登場しません。ニューフェイトは殺伐とした雰囲気が終始、漂っており、そのことも大失敗大コケに終わった要因の1つと言えるでしょう。
→関連記事:ターミネーター映画大失敗の致命的な原因
まとめ
オリジナル(T1,T2)の名言 "On your feet!"まで網羅しているターミネーター作品は、「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」しかありません。また、ストーリーの流れとして、T1,T2の主旨を否定していないのは、ターミネーター・シリーズの中でも「サラ・コナー・クロニクルズ」のみです。
ターミネーターのシリーズを通じての名言集といえば、
- I'll be back.
(アイルビー・バック/もどってくる。) - Come with me if you want to live.
(死にたくなければ ついてこい。) - No fate but what we make.
(運命は定まっていない。自ら切り開くもの。) - There's a storm coming.
(嵐がやってくる。)
などが有名ですが、
- On your feet!
(立ち上がれ/立ちなさい)
もシリーズを通して引き継がれている名言の1つであり、また、実生活においては、叱咤激励する時や自立をうながす際などに使いやすい、実用的な言葉でもあります。